成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2011.06.18
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カテゴリ: バス産業
「バス事業のあり方研究会」中間報告書の第5回。

昨日までの補足だが、高速ツアーバス企画実施会社が「新高速」に移行するためには、制度上は「一般乗合」の事業許可が必要になる。企画実施会社がバス部門を持っている場合はその部門が取得するが、旅行会社とバス会社が親子関係の場合は多少の整理が必要だ。さらにバス事業を一切行っていない旅行会社の場合は……新規にバス事業部門を作るか、他の事業者を買収するか(企画業務から撤退し販売事業に徹するという道もなくはないが)。

<そんな会社が乗合許可を取得できるの?>という疑問も出そうだが、実は法的な要件に限ってみると乗合も貸切もほとんど変わらない。乗合事業参入のハードルは高いという「常識」は、ほぼ「バス停の権利」に起因すると言っていい。現にコミバスではタクシー会社などでも乗合許可を取得できている。ただ、実際の運用面で求められるレベルは上がるだろうから、そこは死に物狂いでついて行ってほしい。合わせて、運行会社(貸切バス事業者)も「管理受託」に関する許可を新たに受け、かつ委託者から安心して委託してもらうためには努力が必要だ。むしろ大変なのは運行会社の方かも知れない。

さて本日は報告書解説の最終回。今回の報告書をよく読むと、「あえて書いた」と思われる部分と「あえて書かれなかった」部分がある。まず、「あえて書いた」方から。

高速バスのパートの最終章は、「事業者横断的な情報提供・販売」というテーマが振られている。高速バスという輸送モードは鉄道や航空からの転換を目指す挑戦者であり、また地方部では既存高速路線バスの認知度が大きい一方で大都市部では認知されていない現状を把握した上で、<新規利用者獲得のためにはウェブサイトの活用が有効>とし、具体的には<潜在需要の取り込みのためには、様々な交通機関をカバーしている一般的な旅行サイトの積極的活用>が求められている。「一般的な旅行サイト」が具体的にどこを指すかはご想像にお任せする。

大震災で新幹線の代役を高速バスが求められた際、ふだん高速バスを使わない層まで高速バスの情報を求め、ウェブで予約を試みた。それら「新規客」が初めて高速バス関連の各サイト(各事業者の静的な公式サイトと高速路線バスの基幹システム系予約エンジンも、高速ツアーバスの各企画実施会社の自社サイトも、それから楽天トラベルのような総合予約サイトも)を使ったとき、サイトへの辿りつきやすさにおいても、サイト上での予約動線も、提供される情報量もサイトによって大きな差があり、「ウェブサイトの実力、総合力」とは何なのか、実感できたそうだ。それら利用者の実感はこのたび関係者に集約され、主に既存高速路線バスの基幹システム系予約エンジンのユーザビリティに若干の苦言が呈されるなど、私の予想さえ上回る強い論調で文言が確定した。

一方で「あえて書かれなかった」内容とは何だろう。議事の初期において、「既存側」からは、何度も「内部補助理論」に基づく説明がなされた。高速バスの競合激化が結果として過疎地の路線バスを危機に追いやっている、という内容だ。だが、報告書を読めば分かるように、結果として一行たりともそのような文言は見受けられない。

繰り返すが、今日の法の理念では内部補助は求められていない。むしろ、それに頼ることはどの事業者にとってもプラスではない。まあ余談だが<地方の事業者の経営を守るため、競争を制限し既存高速バスを保護しろ>という論理を展開すれば、JRバスなど高速バス(ほぼ)専業の事業者はもとより、親会社の鉄道事業やグループ各社、平場の路線バス事業でも利益を出す大手私鉄系バス事業者の高速バス事業にも制約を求める結果になる。JRバス関東や京王など一流事業者が高速バス事業から泣く泣く撤退することを誰も喜ぶまい。

ただ、車両調達と運賃の柔軟化により、彼ら超大手事業者の生き様も変化するかもしれない。従来の高速路線バス事業のあり方では、「頭脳」の役割を誰がどう負うのかという観点が欠如していた。採るべき戦略を考えそれを現場に落とし込む役割が、無競争とその一方での複雑な共同運行関係の中で全く抜け落ちていた。レベニューマネジメント、多様化する販売チャネルなど変化する環境を思えば、「考える」機能をより強化せねば生き残れまい。そして彼らの戦略機能の実力を見比べながら、地方の既存事業者が主体的に大都市側の共同運行相手を選びなおす……大都市側事業者どうしに競争が生まれると同時に、本当の意味で共同運行関係は対等となる。パートナーとは、馴れあうための相手ではない。



今回、「企画と運行の分離」がまず高速バスにおいて実現する。平場の路線バスの今後のあり方を占う意味でも大きな一歩となるだろう。そして何より、高速バス事業の成長のためには、現状で考えられうる最高の制度ができると確信している。しかし、新業態の開発もまた重要なイノベーションだ。数年後、次に台頭した新業態新勢力をどう扱うか、同じ様な会議が再び開催されることこそ、この検討会の本当のゴールかも知れない。





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Last updated  2011.06.18 05:49:53
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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