ののじさん、再度のコメントありがとうございました。

ご指摘の内容に、その通りだと思う反面、実はそうではないんだけどなあ、という部分もあります。「運営方針の違いがおかしくて」という下りは全く同感です。

ただ、たまたま両方の業態にかかわった私としては、双方がお互いに無理解で、誤解している点が大きいことが最も問題だと感じています。「既存側」の反応としては、まずは蔑視からくる無視(時にいやがらせ行為)、ある時点からあわてて過剰反応(極端な値下げなど)。一方で「ツアー側」は、一部を除いて「バス屋」ではない人たちなので、厳しい規制と闘いながら綿々と事業を継続成長させてきた既存事業者の考え方や努力に興味がなく、それ故いやがらせ行為などを受けると「既得権益」と反発する。その中で、たとえば新宿地区の配車ルールについても度を越してしまうし、また既存側にしてもその件を追求しすぎると「停留所の権利」というパンドラの箱を開けてしまうことに(「停留所の権利」が彼らにとっては自明のものだけに)気づかない。停留所の問題だけではありません。事業(ビジネス)上、最も大切な安全志向、顧客志向についても、お互い学びあえるはずなのにそれがうまくいかない。

私としては、引き続き協議会を通して高速ツアーバス各社には厳しいことを言い、また来年から始まる「新高速」移行を手伝いつつ、このブログでは、主に既存の高速路線バス事業者の皆様にメッセージを伝え続けたいと考えています。 (2011.12.31 09:04:23)

成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2011.11.20
XML
カテゴリ: メディア掲載情報
フォーラムが終わって休みを取ったのだが、その間にもいくつか動きがあった。まず18日付の『東京新聞』夕刊に 「停留所なし 悩みの路駐 高速ツアーバス急増で深刻化」 と報じられた。しかも1面トップ。「柔軟な価格設定やインターネットによる宣伝効果」により高速ツアーバスが急成長し、主に新宿駅西口に高速ツアーバスの路上駐車が目立つ状況がレポートされている。

ただし、この記事の主題は路上駐車そのものではない。<高速バスといえば、かつては「乗り合いバス(路線バス)」だけだった。それが2000年以降の規制緩和をきっかけに、ツアーバスが続々と参入>しているが、<しかし、乗り合いバスと異なり、ツアーバスは道交法などで公道への停留所の設置が認められていない>ことが問題だとしているのだ。そして国交省も「バス事業のあり方検討会」を通してその問題を取り除く準備をしており、<国交省の担当者は「すべてのツアーバスを主催する業者に新制度への移行を促し、路上駐停車をなくしていきたい」としている>。

本記事は、これまでこの問題のことを知らなかった幅広い層にインパクトがあったようだ。さっそく前田国土交通大臣の記者会見でも取り上げられ、「あり方検討会」に対し、<現実に即した対応策を示してほしい>というコメントが出されたようだ。それにテレビ局が何局か対応した。既に放送されたのは18日のFNN(フジテレ=関西テレビ系) 『スーパーニュース』 だ。私も電話でご取材に対応し、コメントを紹介いただいた。

当初はニッチ商品に過ぎず、また2001年当時には法的にもグレーな存在だった高速ツアーバスだが、2002年の改正道路運送法施行(乗合バスの需給調整撤廃)に伴い、募集型企画旅行(主催旅行)形式による二地点間輸送を禁止する通達(いわゆる「昭和61年通達」。銀嶺バス等の札幌~稚内の会員制バスに端を発する騒ぎの結果、発出された)が廃止され、さらに06年には事務連絡、07年には通達上で明確に容認された。今日、高速ツアーバス業態にとって法的な面での課題は「法令遵守意識の低い貸切バス事業者への委託」と「集合場所における車両、利用者の輻輳」の二点である。そのうち前者は個別各社の意識や努力で改善すべきことだが、後者は業態そのものが内在する課題である。

したがって、この問題をテーマにご取材を受ける際には正直言って緊張する(ふだんは「既存組」の高速路線バス各社に対するコンサルティング事業を行なっている私も、このような時だけは高速ツアーバス連絡協議会の渉外担当顧問という立場に変わる…)。全身全霊を傾けてご質問に耳を澄ませ、無用に事を荒立てないよう、しかし質問者の疑問を解きほぐすよう、慎重に言葉を選んで回答する。専門誌・紙の記者さん達なら気心も知れているが、テレビ局、全国紙だと初めて話す相手も多く、この問題に対しどのような主張をお持ちなのかもわからないのでなおさらだ。さらに社会に対する影響力も大きい。

結果、『スーパーニュース』では、「バスに乗るのにバス停なし? 大量路駐の意外なワケ」などという風に、上記『東京新聞』同様、公共のものであるバス停が、なぜか一部の会社には与えられていない、という論調で報じていただけたので内心ほっとしたところだ。VTRを踏まえ安藤優子キャスターも、高速路線バスと高速ツアーバスの違いについて比較したうえで「あり方検討会」に触れ、「現実に即して対応すべき」と締めくくってくれた。

なお、ここで言う「現実」とは、単純に、<高速ツアーバスも、現実には路線バスとほぼ同じ事業を提供しており、だからバス停を与えられるべきだ>というものだろう。VTR中の利用者のインタビューでもそのようなものがあった。もっとも、だから高速ツアーバスにもバス停を与えるべきだ、などと主張すれば、高速路線バス事業者にとっては「盗人猛々しい」「居座り強盗」と反発するだろう。独自のバス停を持つことこそ路線バス事業者の証であり誇りであり、自分たちは何十年にもわたって、そのバス停を維持するために多大な努力を重ねてきた。逆に言うと、路線バス事業者でもない高速ツアーバス各社がバス停を持てるはずもないのは、「業界のオキテ」から言えば当然だ。



もっとも、高速バス事業が完全自由化されている諸先進国では、引き換えに平場(地域)の路線バス事業においては、我が国よりも何倍も自治体(多くの場合は広域連合)が事業運営に関与し、公的な資金が多く投入されている。バス事業者(に限らず、我が国の企業全般)の経営環境が大きく変化する中、内部補助による地域公共交通ネットワークの維持など現実的ではないし、高速バス事業における権益を維持したところで路線バス事業者の経営が安泰などとは到底言えない。今日、高速バス事業のあり方を巡って起こっている議論は、その意味で、その渦中にいる私自身が考えている以上に、今後の我が国のバス、公共交通のあり方に大きな意味を持つのかも知れない。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2011.11.20 17:09:37
コメント(4) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


法を守る気はないのでしょうか?  
ののじ さん
毎度拝見しています。
新宿駅周辺の路駐について、この年末もひどい状態です。おまけに相変わらず停車位置は道交法違反です。御存じと思いますが過去に総務省の調査で違法行為を指摘してますが( http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/34390_1.html )、今もって是正されてるとは思えません。停留所がないから“仕方なく”道交法違反するのでしょうか? いや、守る気はないのでしょう。ツアーバス協議会が雇った警備員も何のためにいるのか。法を守った上でその高速ツアーバスの存在をアピールするべきと思うのは私だけでしょうか。
また、先日は警備員が、スキーバスが停車しようとしたところ「どけどけ」とばかりに停めないように手を振ってました。新宿の路上は高速ツアーバスの占用地ではないはず。オマケにどちらも同じ観光バスです。おかしいと思いませんか?(ちなみにその観光バス会社は高速ツアーバスにも携わっています。) このあたり、高速ツアーバスが一部業界人から嫌われるる理由ではないでしょうか。
それと・・・連絡協議会のHPはほとんど更新されてません。存在はカッコだけで有名無実なのですか? (2011.12.30 13:22:04)

Re:法を守る気はないのでしょうか?(11/20)  
nalys  さん
ののじさん、コメントありがとうございます。

まず、おっしゃる意味はよくよくわかります。あえてステレオタイプ的に言えば、私の心理は常に「既存側」と「ツアー側」の行ったり来たりですから、「既存側」心理状態の時の私は、ののじさんと同様のことを感じますし、問題がある現状も、それを完全に是正できていない私の力不足も認識をしています。が、「その力不足を棚に上げて」と言われることを覚悟で、この記事も含め本ブログでは「既存側の私」として、「それを非難ばかりしていても、既存側の成長はないでしょう」と書いているつもりです。

なお、たしかにサイトの更新まで手が回っていませんが、協議会は確実に活動しています。(停留所の配分が非現実的だった場合を除き)各社が「新高速」に移行するという意思も確認済みです。ただ、協議会の事務方も会員各社も、どうしても「新高速」の準備にエネルギーを割き気味で、足元の駐停車対策がおろそかになっていると言われたらその通りかもしれません。

上記の答えではご不満かもしれません。私自身、「ツアー側」としてやらなければならないことは十分にできておらず忸怩たる思いを持っています。ただこのブログの主な読者は既存事業者の経営者、担当者の皆様ですから、「高速ツアーバスの存在をアピールする」ためにではなく、「既存側」に自らの変革と成長を促すつもりで書いているブログであることを、ご理解いただければ幸いです(逆に、「ツアー側」の各社に面と向かったときには、厳しいことを言い続ける立場でもあります…)

引き続きお付き合いお願いします。 (2011.12.30 14:38:30)

Re[1]:法を守る気はないのでしょうか?(11/20)  
ののじ さん
素早いコメントありがとうございます。また、年末なのにお仕事ご苦労様です。

辛口のコメントを書きましたが、やはり路線系とツアー系の運営方針違いが、非常におかしく思ってのことです。
路線系は「現行法の中で如何に事業をしていくか。法律違反にならないようにどうすればいいか」を先に考えていると思います。
一方のツアー系は、「現行法に疑問を投げかける。先に既成事実を作る。道交法違反も現行法がおかしいからだ」と言ってるようでならないためです。
ただ、仮に現行法(道運法だけでなく道交法も)がおかしくても法律は守るべきですよね。例え悪法も法です。交差点手前5m、営業時間中のバス停前後10m、消火栓の標識…など、新宿駅の高速ツアーバスは道交法無視もいいとこです。自分たちの事業転換を優先して違反の是正はおろそかにしているのは、万人が納得しないでしょう。
私は直接の利害はありませんが、路線バスに乗っていて新宿駅周辺の違法停車のおかげでバスが一向に進まないことに苛立ちを覚えて、あえてコメントさせていただきます。 (2011.12.30 17:25:31)

Re[2]:法を守る気はないのでしょうか?(11/20)  
nalys  さん

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Profile

nalys

nalys

Comments

京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
京帝117@ Re:新宿高速バスターミナル(02/21) 私がカウンターに座っていた時は、空いて…

Calendar

Archives

2026.10
2026.09

Keyword Search

▼キーワード検索

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: