成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2011.12.28
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カテゴリ: 高速路線バス
全国の高速路線バス事業者を回っているが、そろそろ各社から、新制度に基づく管理受委託の話題が現実の話として出てくるようになった。<新制度では、御社の高速バス部門は委託側としてこんなことができ、貸切バス部門は受託側としてこんなチャンスがあるんですよ>と言い続けてきたのは私の方だが、いざ、<ウチのこの路線を委託するとすれば委託料はいくらくらいになるんだろう?>と具体的な質問に会うとその場で固まってしまう。

もっとも、制度の詳細はまだ決定していない。細かい点を議論中だ。その議論の中に「委託料の算出基準」みたいな話が入っているから、今の時点で誰も答えられるものではない。ただ、あらゆる商品には何事も「相場感」のようなものが必要だ。コーヒー一杯は、セルフサービス店なら200円、街の喫茶店なら500円、高級ホテルのラウンジでは1000円くらい、というのは一つの「相場感」だ(※投資家が相場を読めるという意味での「相場観」ではなく、これくらいの価格だよね、という共通認識が成立するという意味での「相場感」)。

実際には、まずは路線延長や所要時間、次に契約の規模(通年なのかスポットなのか。あるいは他の路線も含めた大規模な委託契約か単発か、など)といった様々な「目に見える」条件が、委託料を決定する最大の要素だ。また貸切バス型管理受委託では、車両自体も受託者のものを使用することになるから、例えば3列シートなどの「特車」を所有する貸切バス事業者(あるいは高速路線バス事業者が、自らの高速バスの予備車両を「乗合貸切併用登録」することも考えられる)は高い委託料を取れるかも知れない(もちろん、委託者が現有車両を受託者に譲渡又は貸与し、委託料と相殺するケースも生まれるだろう)。

もう一つ、いざ受委託が行なわれるとなると、運用(オペレーション)で二つの類型が考えられる。現状の説明にいったんさかのぼるが、現状では、高速路線バスは車内発券が認められているし、逆に運送引受義務もあるから、満席等の正当な理由がない限り乗車券を持たずに停留所に現れた乗客を断ることはできない。一方で高速ツアーバスは車内での現金収受は認められていない。ただ、高速ツアーバスのほとんどは300km5時間以上の長距離区間(ほとんどが夜行)であり、利用者サイドから見ると、制度のいかんにかかわらずおおむね事前予約して利用する。今日ではウェブ上やコンビニでの決済手段が普及したため、事前決済(発券)の手間も一気に低下しており抵抗感は小さい。

そして制度的には車内発券が認められている高速路線バスでも、長距離夜行路線に関しては、ノーショー対策として事業者側が発券期限を設けている例がほとんどだ。結局、制度的には車内発券可能な高速路線バスも、夜行については事実上「事前予約・事前発券必須」に近いのだ。フリー乗車(飛び込み)は制度上は可能だが営業上は無視できるほどの数だ。

そこまで説明した上で今回の「新高速バス」制度に話を戻すと、系統または便ごとに「事前に予約または予約発券が必須」という制限をつけることができる。そういった路線では、受託と言っても本質的には貸切と変わらない。もちろん、安全面でのハードルをはじめ乗合の決まりごとはあるが、現実的な業務の内容としては、貸切バス事業者が、高速ツアーバスやTDRツアー、甲子園の応援団輸送など長距離の仕業を請けた感覚で受託できる。

他方で「事前発券を必須としない」路線を受託した場合は、車内での現金収受までが「業務」となる。単なる運行に留まらないのだ。現金収受など簡単ではないかという指摘は間違いで、それを行なうには、例えば釣り銭を準備して出庫時に持参させ、入庫時に精算するといったノウハウと手間など、貸切バス専業者では普段行なわない業務が発生する。これが夜行路線ならまだいいが、多頻度の昼行路線ならかなり複雑になる。極端な話をすれば、高速上の途中バス停で待っていた乗客に、<お待たせしました。新宿行です>と伝えると、<回数券を持っていて、かつ一本後の便に予約してあるんだが、この便に空席があれば乗せてもらえるかね? しかも回数券は中央道府中までだが、今日は差額を払って新宿まで乗りたいんだが>。貸切専業者にはお手上げである。他にも、渋滞で到着が遅れたから、復路は全便、一本ずつ「段落とし」で、などなど、運行面も独特の複雑さがある。

ここまでが「目に見える」受委託の要件だ。実際に委託料が決まるには、これらに加え受託事業者の「格」という要素が加わる。そこまで含めて「相場感」である。法令上、委託料の算定基準を明確化することで下限を設けようという考え方もあり、一定程度は意味があることだと思うが、最終的には「いいものは高く売れる」市場環境を整備することが必要だ。バス業界の一部の人たちは、貸切バス分野において、<バスのことを知らない素人(旅行会社)が、価格だけを見て安い貸切バス会社に発注するから業界がダメになった>と主張しているが、高速バスの管理受委託において発注者は素人ではない。

高速ツアーバスからの「移行組」は別として、「既存組」の高速路線バスにおいて、この度の貸切バス型管理受委託は、まずはグループ内の貸切バスや共同運行先同士での受委託に活用されるであろう。それであれば、受託者の「格」を問うことなく、続行便設定が容易になり、また以前に書いたように大都市側事業者と地方側事業者とで仕業配分の適正化が進むからだ。一方、リスク(一例:受託者に重大な法令違反が判明すると委託者にも罰則が与えられる)とコスト削減効果を天秤にかけ、まずは老舗の貸切専業者、やがては中堅事業者にまで委託先の範囲を広げていく委託者(高速路線バス事業者)も出てくるだろう。






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Last updated  2011.12.28 06:10:24
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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