成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2011.12.30
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カテゴリ: バス産業
今の会社を設立したのは今年3月であるが、12月決算としたので今月で第1期が終わる。会社勤めと比べると生活は不安定だが、なんとか食っていけそうなメドが立って年末を迎えることができたことに感謝。背中を押してくれたり有形無形の支援をしてくれたりした諸先輩、大小にかかわらずお仕事をいただいた取引先の皆様、様々な形で手伝ってくれた友人や起業仲間に心からお礼を申し上げる。

私自身にとって大きな1年だったのと同様、高速バス業界全体にとっても大きな1年だったはずだ。昨年12月、国交省から「バス事業のあり方検討会」設置を伝えられた際には、正直、高速ツアーバス各社が事業を継続できなくなる危機を感じた。厳密には、そうならない自信はあったがリスクとしては明確に認識した。そしてなんとしてもそれだけは阻止せねばと考えた。もちろん、万一そうなってしまって困る理由の一つは、当時私は楽天トラベルにいて取扱う商品のほとんどが高速ツアーバスであった上に、高速ツアーバス連絡協議会の事務局長として検討会に臨むという立場にあったからだ。目の前の売上、組織での立場、これまで一緒に成長してきた仲間達の生活の全てに大きな影響を与えるからだ。

ただ、その時点では既に私は今の生き方、つまり楽天を離れ、ウェブ販売にとどまらず高速バス事業全体のコンサルタントとして、どちらかというと既存の高速路線バス事業者のお手伝いをすることを決めていた。高速ツアーバス各社が事業を継続できないような結論が出て困ると考えた理由は、したがって、「ツアーバス側」としての事情だけではない。

首都圏~京阪神、名古屋、仙台の3区間において、高速ツアーバスの利用者数は高速路線バスの輸送人員を逆転したとはいえ、高速ツアーバス利用者の7割はその3区間に集中し、全国合計で見ると「路線:ツアー」は「95:5」。高速ツアーバスは未だ5%のシェアしかない。ということは、仮にウィラーやオリオンが必死になって(一切のカニバリなくして)新規需要喚起によって今の倍の規模にまで成長したとしても、「95:10」、つまり高速バス市場を5%底上げするだけである。一方、既存の高速路線バス各社が輸送人員を10%増加させるだけで、高速バス市場全体を9.5%押し上げるのだ。「ツアー」が2倍に成長するよりも「路線」があと10%頑張ることの方が、約2倍の効果をもたらすのである。

成長著しい高速ツアーバスを育てる仕事は大変ダイナミックであり、楽天の仕事に未練はあったし、斬新なアイデアを次々と実現させている高速ツアーバス各社の経営者、担当者を羨ましいと思う気持ちは今でもあるが、私としては、既存各社のお尻を叩き続けるという地味な仕事こそ自分の役回りだと感じたのだ。そして、もし検討会の場で、高速ツアーバスを現実にもまた理念的にも否定し、かつ高速路線バスの制度が何も変わらないという結論が出たらどうだろう? 既存各社は現状に安住し自ら「あと10%の成長」(まあ、10%でなくてもいいのだが)を望むことは絶対にないし、仮にそう望んだとしても「平場」向けの規制を高速バスに当てはめたいびつな制度のままでは、成長は容易ではないだろう。

1年たち、検討会が導こうとしている結論がおおよそ見えてきた。まず、高速路線バスの制度は、「あと10%の成長」を十分に望める内容に変わる。事業者側の意識も、会社ごとに、あるいは個人ごとに差はあるものの、この1年で本当に大きく大きく変化したのではないだろうか。その意味では「既存側」にとってはプラスの大きい結論のはずだ。一方「ツアー側」としては、示されたハードルを超えられればさえ従来よりも安定した形で事業を継続できるわけで、全体で見ればプラスは大きい。ただ、会社単位で見ればそのハードルは高く感じているかも知れない。ただ、そこは歯を食いしばってでも乗り越えてもらいたい。

なお、その「ハードル」だが、高速ツアーバス連絡協議会では、会員全社が「新高速バス」に移行するという原則を臨時総会やその他の会合で何度か確認をしている(ただし、バス停の配分が非現実的な結果になった場合を除く)。貸切バス事業者の旅行業部門が企画する高速ツアーバスならともかく、純粋な旅行会社の場合は自らがバス事業者にならないといけないわけだが、貸切バス事業者を買収する、あるいは新会社を共同出資で設立するなど既に準備に入っている。検討会で議論を重ねた結果、制度上は高速ツアーバスを禁止できないことになったわけだが、高速ツアーバス各社はその事業モデルを放棄するのだ。

既存事業者の中には、「制度上、明確な禁止」とならなかったことに不満があることは承知しているが、それを実現するためには(省令や通達でなく)法律を変える必要があり、法律改正はそう簡単にできるものでないという行政サイドの現実と、各種の状況を踏まえ自らの事業モデルを放棄する決断をした「ツアー側」の現実を、関係者は理解してほしい。

行政のプロが、<現状では高速ツアーバス業態は違法ではない>と何度も繰り返しているのである。それを「事実上禁止」するという判断が、その行政のプロにとっても、受け入れる側にとっても、どれだけ勇気のいる決断か、理解してほしい。もしそれ以上を望むのであれば、逆に既存側がどれだけ代償を支払わされるか、想像してみてほしい。もっとも、私が見る限り、「制度上、明確な禁止」にならなかったことに不満を表明しているのは、一部の事業者の一部の経営者でしかない。あるいは、それもお立場柄、というところか。






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Last updated  2011.12.30 14:19:21
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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