成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2012.04.03
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カテゴリ: バス産業
一昨年12月から1年3ヶ月にわたって議論を続けてきた「バス事業のあり方検討会」が終了し、本日、 最終報告書が発表 され、同時に省令等の改正についてパブリックコメントの募集に入ることができた。座長の竹内先生をはじめ学識経験者、有識者の先生方ならびに事務局(国交省自動車局旅客課)の皆様方には、難しい議論をよく導いてくださったとお礼を申し上げたい。委員の中には、会の途中で人事異動になったり体調を崩されたりして交代になった方もいらっしゃるが、一人ひとりに心から感謝している。また、直接は関係ない高速バス分野の議論にもお付き合いいただいたばかりか、貸切バス分野の議論では明らかに不当な言われ方(議論の趣旨はともかく、相手の尊厳を否定するような言い方は、曲がりなりにも政府の会議でなされるべきではないと思う)をしてフラストレーションが溜まったであろう旅行業界の委員の皆様にはお疲れ様でしたとお伝えしたい。

さて、中間報告書の際と同様、何回かに分け検証したい。本報告書は、「1.開催の経緯等について」「2.高速バスの健全な発展に向けて」「3.貸切バスの健全な発展に向けて」「4.今後の課題」の4部構成だ。まずは「2」高速バス分野の「1.はじめに」の部分から。

この章は、ほぼ中間報告書の該当部分をトレースしたものであるが、ここまでの高速バスの成長の軌跡と現在発生している課題がまとめられている。特に注意すべき点は、高速ツアーバスという事業モデルについて、制度面と事業面との両面で、その成長の背景があらためて整理されている点である。<この高速ツアーバスは、平成12年及び平成14年に実施された貸切バス事業及び乗合バス事業の需給調整規制の廃止による規制の変化と、その後の貸切バス車両の増加・実勢運賃水準の低下やインターネットの普及による広告宣伝・予約・決済コストの低下等の環境の変化が相まって発展したものと考えられる>

つまり、制度面では、【1】平成12(2000)年の貸切バスの需給調整撤廃、【2】平成14(2002)年の乗合バス需給調整撤廃が要因であるとする。そして事業面ではインターネット(以下:ウェブ)の普及が【3】広告宣伝費用の低下(効率のいいマーケティング)と、【4】運用(予約・決済)コストの低下を誘引し、高速ツアーバスの成長につながったとしているのだ。

そのうち、【3】【4】については詳しい解説はもう不要だろう。1984年頃から、業界では「クローズドドア共同運行制」が定着し、大都市側、地方側双方の既存路線バス事業者どうしが大都市と全国津々浦々とを結ぶ高速バスを共同運行するようになった。地方では地元路線バス事業者の存在感から高速バスの認知が高まったのに対し、複数事業者が方面別に事業を展開する大都市では市場開拓が遅れていた。ウェブという高効率なマーケティングツールが登場しそれを活用したことで、高速ツアーバスはその大都市圏で需要を喚起した。また、ウェブ上での予約・決済の普及は、「駅前一等地に窓口(店舗)を持つ」といった旧来企業のアドバンテージを(高速バス分野のみならず一般的に)急速に奪っていった。

一方、【1】と【2】については両者を混同して理解している方が少なくない。まず、【1】が高速ツアーバスに与えた影響は、貸切バスの新規参入が増加したことで単価(チャーター代)が下落し、運行コストが下がった点である。つまり、貸切バス分野での需給調整撤廃は、本質的には、制度面ではなく【3】【4】と同様、事業運営面で影響を与えたのだ。

逆に【2】は、より直接的に制度面から高速ツアーバスの成り立ちに影響している。報告書から引用すると、<即ち、規制緩和前は乗合バス事業・貸切バス事業ともに免許制の下、需給調整規制が存在し、乗合バス事業者の経営を保護する観点から、貸切バス事業者が乗合バスに類似したサービスを提供することが厳しく制限され、スキーバス、帰省バスなどの2地点間を結ぶ高速ツアーバスのようなサービスは従来から存在していたものの、高速乗合バスの需要の浸食を防止するため、通年運行は行わないものとされていた>

つまり、1986年に発出された通達(北都観光の「会員制高速バス」問題に端を発したもの)により、今日でいう高速ツアーバスの事業モデルは禁止されていたが、2002年乗合バス需給調整撤廃によりその通達は廃止された。それ以来、<需給調整規制は撤廃され、高速乗合バスと高速ツアーバスが理念的には競合するようになった>。未だ高速ツアーバスを違法、脱法呼ばわりする人がいるが、まずは本報告書のこの部分をよく読んでいただきたい。



私が今回、報告書の冒頭に制度の変遷を入れていただくことにこだわったのは、全国の高速乗合バス事業者に、まずは10年分の反省をお願いしたいからだ。いや、<高速ツアーバスは違法だ>と主張すること自体は自由である。だが【2】の事実やその背景をいっさい認識しないまま法改正前の感覚で「違法」と主張し続け、その反面で本当に大切な事業運営面での環境変化、すなわち【1】【3】【4】の動きに背を向け続けた責任は大きい。全国の高速乗合バス事業者は、10年の遅れを反省し、意を決して環境変化(競合の増加や、ウェブマーケティングによる新規需要開拓と比較検討の容易さ。すなわち「お客様がバスを選んで乗る時代」の到来)への対応を急がねばならない。そしてその具体的なヒントは、本報告書に実は丁寧に説明されている。次回以降、それらの点をご説明する。
※本ブログでは「高速路線バス」という表記を続けていますが、本報告書関係の記事のみ、報告書に合わせて「高速乗合バス」と表記します。





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Last updated  2012.04.03 15:19:02コメント(0) | コメントを書く


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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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