成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2012.04.04
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カテゴリ: 高速路線バス
昨日発表された、「バス事業のあり方検討会」最終報告書について、共同通信配信で『毎日新聞』や全国の地方紙に簡単な記事が掲載されたとともに、『日本経済新聞』では総合面で大きく伝えていただいた。制度の柔軟化についてJRバス関東のコメントとして、<「ゴールデンウィークなど需要の多い時期に増便するなど、新制度を積極的に活用する」と歓迎する>と引用しているほか、高速ツアーバスの移行については、<新制度への移行義務はないが、高速ツアーバス各社が加盟する高速ツアーバス連絡協議会(東京・品川)によると、最大手のウィラー・アライアンス(東京・港)など、加盟する約40社のほぼ全社が移行する方針>と紹介いただいた。引き続き各社のご取材は続いているので、報道を確認しだい随時ご紹介したい。

さて、昨日のブログの続きを。既存の高速乗合バス事業者が「実は出遅れてしまった10年」とは、具体的に何で、どうすれば克服できるのか。報告書には以下のような記述がある。<新たな高速乗合バス規制は、高速ツアーバス事業者等の乗合バス業態への移行の円滑化に資する面もあるが、当然ながら、従来から高速乗合バスの運行を行っている高速乗合バス事業者にとっても、飛躍的に向上する供給面での柔軟性を活用して効果的な営業施策を講じることにより、競争力や収益性を強化するチャンスである>。

そして、<チャンスを実際の成果につなげるためには、供給量が中期的に固定された中での価格設定という従来のビジネスモデルから供給量を短期的に柔軟に調整できる中での供給量調整と価格設定という新たなビジネスモデルへ変容する必要があり、発想の大胆な転換ときめ細かなデータ分析、機動的な意思決定、効果的な宣伝・販売が求められる>と続く。あえて付記すれば、機動的な意志決定や効果的な宣伝・販売に注力されていなかった背景としては、高速乗合バスの事業モデルが「供給量」を固定されがちであった点に加え、各事業者の本業である「平場」の路線バスが地域独占事業であったため、努力や工夫により「需要量」を増加させる可能性に目が向かなかったという点も挙げられよう。

ではそこで求められる「新たなビジネスモデル」とは、具体的にどのようなものか。報告書では大きく二つの要素が挙げられている。一つは、「インターネットを活用した総合的な情報提供・販売」である。報告書は、これまで高速乗合バス各社がインターネットによる拡販に消極的だった理由として、<供給量が中期的に固定された中での価格設定という従来の高速乗合バスのビジネスモデルにおいては、需要波動への対応も限定的であり、ポータルサイトを通じた宣伝・販売を含め、手数料等の支払いが必要な宣伝・販売のアウトソーシングは抑制的に考えられることも多かった>とする。

しかし、<地方の高速乗合バス事業者は地元では路線や自社サイトの認知度が比較的高いが、大都市側の利用者に対する知名度や認知度に乏し>く、大都市での認知拡大は喫緊の課題である。そしてそのため、「一般的な旅行サイトなどの他社サイトの活用」、「新たなビジネスモデルに対応した利用者目線での自社サイトの改良」、および「業界横断的なサイトの構築」(成定注:楽天トラベル等は一つ目の「一般的な旅行サイト」なので、ここでは「全ての高速バスを紹介する公的なサイト」を想定している。なお、楽天等とこの「公的サイト」との意味合いの違いは、機会があれば後日ご説明する)の三本柱が提示されている。

そしてもう一つの「新たなビジネスモデル」が、<航空分野や宿泊分野などにおける取り組みも参考にしつつ、高速バス分野におけるレベニューマネジメント(RM:収益を最大化するために消費者の動向を予測し、販売座席数と運賃・料金を最適化する経営手法)や情報技術(IT)の導入・高度化>である。実際にいま私は、複数の高速乗合事業者にお邪魔して、新制度を前提としながら、実際の運用面(たとえば、便によって運賃が異なる場合の乗車便変更の扱いなど)を考慮しつつ、高速乗合バスにRMを導入するための基幹システムの改修準備を進めている。既存の高速乗合バス事業者にとっては全く未知の領域であり、正直、私自身でさえ乗合事業者にお邪魔し「乗合アタマ」になってこの問題に取り組んでいると、頭の中がぐちゃぐちゃになってしまうことがある。

だが、老舗ホテルでRMを導入した際、古株社員から、<そんなこと、ホテルの格式に係るからやめてくれ>と文句を言われ、高速ツアーバス各社にRMを説明した際は、<成定さん、ホテルには合うかも知れないけどバスには合わないよ>と拒絶されながらも、それぞれRMが定着した経験のある私には、高速乗合バス各社にもRMは定着すると楽観的だ。

高速バスの事業モデルは、ホテル同様、「繁閑の差」に収益性を大きく左右される宿命にあることは明白だ。これまで高速乗合バス各社は「ほどほど」の収益性で満足だったかも知れない。だがこれからは、きちんと収益化を追求し、そこで得た新たな収益をサービス水準向上や新商品開発、積極的なプロモーションに再投資するサイクル、すなわち「筋肉質な高速バス」モデルを構築できなければ、それに成功した他の事業者(高速ツアーバスからの「移行組」も含む)によって市場から退出を求められるだけのことである。

昨日、本日と高速乗合バスについて厳しいことを書いてきたが、一方で高速ツアーバス各社にはどのような影響が考えられるのか、について、次回以降ご紹介したい。


昨日、報告書発表と同時に 「道路運送法施行規則、旅客自動車運送事業運輸規則、一般乗合旅客自動車運送事業標準運送約款及び関係通達の一部の改正案について(案)」についてパブコメ募集 が開始された。これが正に今回の制度(省令等)改正である。なお、追って追加の改正があるかも知れない。合わせて、報告書に示された「高速バス停留所調整ガイドライン」と「高速バス表示ガイドライン」については、別途あらためてパブコメの募集が行なわれる予定である。





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Last updated  2012.04.04 06:59:01
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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