成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2012.04.09
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カテゴリ: 高速ツアーバス
「バス事業のあり方検討会」の最終報告書について、本日付 『東京交通新聞』 第一面でも報じていただいた(上記リンクから「立ち読み」可)。とはいえ、高速バスの話より「バス・タク併用認める 同一営業所で効率運行 地域公共交通確保に一石」の方が大きな扱いなのがタクシー中心の同紙らしい。この件や「乗合/貸切併用登録」「貸切バスの営業区域」なども、機会があれば解説してみたい。

さて、前回、<高速ツアーバス各社にとって、高速乗合バスに移行するのはメリットが大きい>と書いたわけだが、とはいえ「はい、そうですか」と簡単に移行できるわけではない。まずご理解をいただきたいのは、理屈ではわかっていても、これまでの自分たちのやり方を半強制的に改めさせられることは気分のいいものではないし、何より誰だって怖い。一人ひとりの生活がかかっているのである。それに、特に旅行会社からバス事業者に変わらないといけない数社にとっては、かなりの資金も必要になる。

合わせてネックになるのが、やはり「バス停の確保」問題だ。報告書でも、<特に、移行に際して必要となるバス停留所については、国土交通省において高速バス停留所調整協議会(仮称)の開催や同協議会における調整の指針となる高速バス停留所調整ガイドラインの策定等を実施し、関係者の協力を得つつ、その確保を支援する。具体的には、大都市圏のターミナル駅周辺などの優先度の高い地区を中心に協議会を設け、関係団体の意見やパブリックコメントの結果を踏まえて策定する高速バス停留所調整ガイドラインに基づき、調整を実施する。確保できた停留所は公平かつ客観的な基準により配分する。>とある。

これに対し、既存の高速乗合バス事業者側の反応は様々だ。もちろん多くは「様子見」なのだが、現実的な事業者の中には、現在の自社バス停を死守すべく、駅の裏側や、駅前から交差点を一つ越えた辺りの「1.5等地」に新バス停を設置してはどうかと周囲と根回しを始めた会社もあるようだ。もちろん、既存事業者が勝手にバス停を「采配」できるわけでないとはいえ、少なくとも考え方としてはこれは非常に賢明な選択と言えよう。

おそらく「停留所調整ガイドライン」には、新設される、または既存事業者と共用となるバス停について、高速ツアーバスから移行する事業者の「既得権にはならない」との表現が入ると考えられるものの、それでも昨日書いたように、そのバス停を使い「移行組」が短・中距離路線に参入する蓋然性は大きい。長距離夜行ではあまり集客力と連動しないバス停の位置だが短・中距離路線では大きなポイントであり、<どうぞどうぞ、この辺りでいかがでしょうか?>と先に「1.5等地」に「隔離」してしまうのは既存側にとって得策だ。

逆に、<なぜツアーバスごときにバス停をあげないといけないんだ>とばかり、客観性のない理屈をこねバス停の新設や共用を拒み続けたらどうなるだろう。報告書には、<なお、これらの取り組みによっても必要なバス停留所の確保が進まない場合は、バスターミナルへのイコール・アクセスを義務付けている英国の例や混雑空港における発着枠の配分ルールなども参考に、制度整備の可能性を含め、さらなる取り組みを検討する必要がある>とある。「英国の例」とは、高速バス分野の規制緩和(需給調整撤廃)後においても「バス停の権利」がネックになって新規参入が進まなかった同国において、公共のものはもちろん既存事業者自身が運営する私有地のコーチ・ステーション(高速バスターミナル)にも、一定割合で新規参入側の入線受入を義務付けた「アファーマティブ・アクション」を指す。

つまり最もアグレッシブなパターンとして、「バス停再配分の制度化」が考えられるのだ。もっともそこまで行き着かなくても、「内々での話し合い」でコトが実現しなかった場合、地域ごとに、「高速バス停留所調整協議会」を開催することとし、運輸局長名で関係者を招集することになる。既存の乗合事業者の本心では「先祖代々受け継がれた己が領地」であるバス停も、公の場に出てしまえば、そう主張することはできない。福島県であったように公正取引委員会マターとなってしまったり、誰か(誰?)のリークにより地元メディアで「●●交通、バス停新設を拒否。新規参入側は既得権益と反発」などと報じられてしまったりしたら、地元との関係を最重視する各事業者にとって得なことは何もない。

あえてネガティブに考えれば、どこか1~2か所の地域において、そのような「騒動」が起こりメディアを賑わせたならば(そうなると間違いなく私はこのブログで紹介するだろうし)、全国の残りの地域では調整が一気に進み関係者の苦労は少なく済むわけだが、できればそのような事態にはなってほしくない。少なくとも、私のクライアントである乗合各社にだけは、その騒動の主人公にはなっていただきたくはない。しばらくの間、各社におかれては、バス停関係の発言(特にメディア対応)にはよく注意いただきたい。



最後にもう一度、「バス事業のあり方検討会」に関係した全ての皆様に、心から感謝申し上げる。





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Last updated  2012.04.09 11:02:22コメント(0) | コメントを書く


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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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