成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2012.04.06
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カテゴリ: メディア掲載情報
本日付の『日経MJ』でも、「高速乗り合いバス規制緩和 バス各社、対応分かれる 名鉄、一部運賃3割下げ 富士急、制度の内容見極め」と非常に大きく報じていただいた。<新制度ではツアーバスの仕組みを取り込み、乗り合いバスも増便や柔軟な運賃設定ができるようになる>として、名鉄バスの、<「顧客ニーズをいち早くつかみ、新制度移行後の運賃も検討する」>という前向きなコメントが紹介されている。一方、<「高速バスは共同運行便も多く、1社だけで簡単に価格を決められない」との声もある。富士急行は「制度の内容を見極める」として当面、価格や本数を据え置く構え>。後者の声は多くの事業者から聞かれるわけだが、利用者には全く関係ない話であり、少なくとも共同運行が多い件を新制度への不満に置き換えていただきたくない。引き続き報道を確認しだいご報告する。

さて昨日書いたように、また上記『MJ』でも紹介されているように、高速ツアーバス企画実施会社は全社、新制度への移行を希望している。何度かご説明したが、<気の合う仲間と一緒に旅行やスキーの仕事をしたい>程度で立ち上げた会社たちが、気付けば数百人の雇用、生活に責任を負うまで成長したのだ。これまでがむしゃらにやってきた(まあ、その「がむしゃら感」に賛否はあろうが)彼らだが、より永続、安定へ舵を切るべき正にその時機に、制度改正の話が降ってきたことは運命的ですらある。上司やプロジェクトに恵まれポンポン出世するような幸運なヤツが時々いるが、制度改正にたずさわった張本人である私さえ、彼らをいささか妬ましく感じるほどだ。

さらに営業面では、彼らはこれまで、長距離夜行中心に成長した。だがそれはいつまでも続かない。5年前、販売側の責任者として、まず首都圏~京阪神、次に「B路線」首都圏~名古屋・仙台、最後に「C路線」首都圏~青森・金沢・徳島などへと業界のリソースを1年単位で傾斜配分する戦略を立てた私自身こそが、その限界を知っている。そもそも、圧倒的に総移動量が大きい首都圏~名古屋・京阪神と、夜行移動が定着している首都圏~北東北以外は、夜行路線の事業規模など大きくはない。高速バス市場の「本丸」は大都市(東名阪)や中核都市(仙台や福岡など)と地方部を結ぶ多頻度昼行路線であることは明白だ。

彼らが次に目指すのは短・中距離の多頻度路線への進出であり、それには「わかりやすいバス停」「車内発券」がもたらす「気軽に乗れる」高速乗合バスの制度の方が圧倒的に有利である。純粋にビジネス的観点から見ても、「乗合化」は利点の方が大きい。

つまり、「ツアー」と「乗合」を比較した場合、参入の容易さと、運賃など細かい部分の柔軟さでは高速ツアーバス業態が上でも、経営的観点から事業として見た場合、高速乗合バス業態の方が有利な点が多い。そして今回の制度改正では、その柔軟ささえ高速乗合バスに追加され、営業面だけ見ると新制度はまるで高速ツアーバスそのもの。定められた集中移行期間内に移行を完了すれば、「開かずの扉」だったバス停も国交省が設置の支援をしてくれる……ここから2年、歯を食いしばってハードルを越えることさえできれば、今よりずっと安定して事業継続、成長できるというのが高速ツアーバス各社の「本音」だろう。

ただ、ここまでご紹介してきた考えは全て、高速ツアーバスの「企画実施会社」のものだ。だが「運行会社」すなわち貸切バス事業者の立場は少し異なる。企画実施会社の子会社に当たる運行会社や、特定の企画実施会社と密接な関係を作り上げ高速ツアーバスの運行業務に強い思い入れがある事業者は別として、一般的な運行会社の悩みは深いだろう。よく高速ツアーバスは「安い仕事」と言われるが、絶対額はともかく比較においてはメディア系旅行会社の募集モノの仕事より単価はそれなりに高いはずだ(もちろん金額に不満はたくさんあろうが、そんなの、私がいただくコンサル料もそうだが、どの業界でも仕事をもらう側に不満がないはずがない。それを「搾取」と叫ぶか素直に感謝するかの問題だ)。雪道やら海水浴渋滞やら知らない道を走るわけでもなく、通年で安定して仕事がある。

ところが新制度に移行後は、そう気軽に受けるわけにはいかない。書面上は「管理受託」の大臣許可を得ることになるが、それ自体はおそらく普通に貸切バス事業を営んでいれば問題なく通るだろう。だが、受託した以上、事故はもちろん重大な法令違反があれば委託者(つまり発注元)にも罰則が与えられる可能性がある。今ならば、監査等で法令違反が露見しても自ら罰則を受ければ済む話。まじめな企画実施会社からは「切られる」かも知れないが、所詮は自業自得。これからは、発注元にも迷惑がかかる点が異なる。仮に、だ。私の仕事に置き換えてみれば、私が何か法令違反をやって、それが原因で●●電鉄バスや××交通に罰則……私は多分、バス業界から二度と仕事をいただくことはできないだろう。

まっとうな貸切バス事業者が、これまでと同じようにウィラーやオリオンの運行(今後は管理受託)を続けようと考えるなら、今日この瞬間から、法令違反と事故をゼロにするよう心するしかない(受託の許可の際に累積点数が問われる。まあ、繰り返すが普通にやっていれば問題ないレベル)。そして、そのハードルを越える自信がない事業者は、申し訳ないがこの仕事を続けることはできない(再々度繰り返すが、普通にやっていれば問題ない)。

いずれにせよ、いい加減にやってきた企画実施会社、運行会社がもしあるならば、仮に書面上は移行を完了しても事業継続は難しい。「乗合事業者になる」という事実の重大さを認識し、相応の覚悟を持って臨んでほしい。その覚悟ができないなら、残念ながら移行への努力は無駄に終わるだろうし、すなわち(法的には禁止されないものの、「大人の事情」で)本事業を継続することは事実上困難であることもまた、認識する必要がある。ただ上に書いたように、そのハードルさえ越えたならば、事業の安定とさらなる可能性が待っている。






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Last updated  2012.04.06 10:28:18
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
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