成定 竜一~高速バス新時代~

成定 竜一~高速バス新時代~

2015.09.23
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カテゴリ: 高速路線バス
このブログを始めてもう6年半になるが、今回はちょうど400回目の投稿らしい。始めた当時、私自身は楽天トラベルの高速バス予約事業の責任者をやっており、合わせて、「楽天=ツアーバス陣営の親玉」という印象が強かった頃だ。生まれたばかりの高速ツアーバスをまずは育て上げ、そうすることで、ウェブマーケティングなど見向きもしない「既存組」の高速乗合バス事業者に振り向いてもらおうという戦略を描いた中で、彼らへメッセージを送るツールとして書き始めたものだ。「既存組」に営業の電話を入れると、当初は会社名を名乗った瞬間にがしゃんと切られたりいきなり罵倒されたりしていたが、そのうち「お話しには興味があるんですが、上司にばれるとまずいんで会社に来られるのは困るんです」というような反応が増えてきて、そういった方々への情報発信であった。

楽天が「既存組」の高速バスを本格的に取扱うまでには10年かかるかなあ、と考えていたが、その半分で道筋ができあがり、それどころか高速ツアーバス自体が乗合化し、そのおかげで私は今、コンサルタントとして両者(主に「既存組」)のお手伝いでメシを食えている。

そんなことを書いたのは、当時からの読者の方から「今思えば成定さんの考えを誤解してました」とお聞きしたからだ。当時私は「既存組」に対し「ウェブ予約には対応しているがウェブマーケティングには未対応。楽天を活用し新規顧客を取り込みましょう」と主張していた。地方では十分な認知を誇る高速バスも大都市では認知度が低く、その潜在需要の喚起にはウェブが最適だ、との考えも書き続けた。その方はそれらの投稿を読んで「国内全ての高速バスを楽天で取扱うことを目指している」という印象を持ったらしい。楽天のサイトを訪れれば全ての高速バスを予約できる「ワンストップ化」を目標としていると考えたとのこと。

それは半分正解だが半分間違いだ。たしかに、私が考えたのは多く(できれば全て)の「路線」を楽天が扱うことだった。だがそれは「全ての予約」を楽天のサイト上で行なってもらうこととは違う。描いたのは「多く(全て)の路線の一部の座席」を取り扱うことだった。

従来からも、単純なウェブ予約であれば「既存組」も実現していた。京王が基幹システム「SRS」をウェブ予約に対応させた「ハイウェイバスドットコム」や工房による「発車オーライネット」(基幹システム名とサイト名が共通)などだ。それらは、しかし、事業者自身による集客を前提としていた。具体的には、各事業者の公式サイトでまず情報(時刻や運賃など)を閲覧し、「いざ予約」という時点でこれらのサイトへリンクされることが前提だった(もちろん、二度目以降の利用のリピーターが各サイトに直接訪問することはあるけれど)。高速バスの認知を高め公式サイトにアクセスを集めるのは事業者側の責任なのだ。

それに対し楽天の立ち位置は、積極的に高速バスの認知を広め新規需要を喚起し、それを予約・決済にまでつなげるというものである。ただし、当然、「ハイウェイバスドットコム」や「発車オーライネット」がシステム利用料相当の低いコスト負担で済むのに対し、楽天は集客に関わる費用も含め手数料率はかなり高い。両者の本質的意義は全く異なる。

だからこそ、各事業者は、楽天でも販売するかどうかを路線ごとに選べることはもちろん、便ごとに、かつ随時、楽天で売りたい座席数を制御するという絵を描いた。手数料が高い楽天では売りたくない日や便は登録座席数をゼロにし、手数料を負担してでも新規需要を望む便は増やす。事業者自身が販売窓口を便ごとに主体的にコントロールし、コスト負担を最小限に抑えながら運賃収入を最大化させるのである(「チャネルコントロール」と呼ぶ)。

「既存組」を扱い始めた当初、基幹システム上で一部座席をブロックし、手運用で楽天に提供してもらう「アロットメント」方式しか選択肢がなかった(ただ事業者側が随時コントロールせず、アロットの売れ残りがそのまま空席で残ってしまう事態も発生した)。やがて京王が「SRS」を楽天とシステム連携させるという決断をした際、「SRS」上で「販売上限数」を設定できるよう対応してくれた。日ごと便ごとに「何席を上限として楽天で売りたいか」を設定すると、その席数までは楽天が販売することができる。一方で各事業者の直販(電話予約や「ハイウェイバスドットコム」)好調だと、自動的に楽天の販売上限数が減っていく仕組みだ。最後には自社販路を優先する「Last Seat Availability」という考え方である。

今では楽天だけでなく、ホワイト・ベアーファミリーの「高速バスドットコム」や、WILLERが運営する各サイトに対しても同様の設定が可能になっている。



結局、京王や名鉄など「SRS」系の事業者以外は、チャネルコントロールという概念を理解してくれなかったのだ。

この事態は、一見、予約サイトに都合いいように見える。繁忙日など人気の高い便の在庫が自動的に出てくるからだ。楽天などの予約サイト側としては「しめしめ」と感じているかも知れない。しかし私には、非常に残念なことに、事業者側はもちろん、予約サイト側にとってさえ、マイナスにしか見えないのである。
次回に続く





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Last updated  2015.09.24 13:36:41
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京帝117@ ご参考まで この度 K電鉄バスの取締役安全技術部長に…
京帝117@ 残念でした 他にメッセージをお送りする方法を知らな…
成定竜一@ Re[1]:中央高速バス~ふたつの路線~(02/24) 京帝117さん、コメントありがとうございま…
京帝117@ Re:中央高速バス~この風は、山なみの遙かから~(03/02) 86年に私と、その後KKKに入社したH君の2…
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