市場へ行こう。小高い丘にも上ってみよう。

2004.04.09
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カテゴリ: 日常記
■追記2


高校では、弓を覚える過程である儀式…じゃないけど、
ほとんどの人間が通る行いがありました。

隠れ実射です。
弓道部に入り、1年ほどは的に向わせてもらえません。
ぽくたちの高校だと、毎日4kmのランニング、
100回ずつの腕立て伏せと腹筋他、そしてゴム弓を半年間。

その後、道場内にある巻き藁に向って、棒矢(ぼうや)と呼ばれる

(ちなみに、矢には、甲矢(はや)・乙矢(おとや)の二種類があって、
競技では各2本の計4本×2回=8射、甲矢・乙矢の順に用います。
見分け方があるのです)

一年も続けると、さすがに的に向いたくなるのが心情。
近いうち、その日は来るのですが、がまんできません。
休日は道場も休み。なのですが、同級生と示し合わせて集まります。
道場の雨戸を2的分くらい開け、この時を待ってましたとばかりに
弓を引きます。

そこに、おもむろに上級生の登場。
「やばい、怒られる」と思いきや、ニコニコしています。
聞けば、「俺たちもそうだったよ」「弓を引きたくて入ってきたのだからね」

うすうすわかっていて、様子を見にきたのです。
自分たちが上級生となったときも、やはり同じことが繰り返されました。
顧問の先生は、県大会で模範演技をするほどの腕と地位にあった人でしたが、
こうした話を、やはりニコニコ。

いま思えば、「好きこそ物の上手なれ」と、教え子たちを温かく見守っていたのでしょう。

私生活の公開。気を許してくれていたのでしょうね。



■追記。
武道や茶道、華道など、道の言葉には独特の言い回しがあります。
中には、生活の言葉として生きているものあったりして楽し。
思い出した弓道用語をちょっと。

・手の内 (てのうち)
弓手(押手)での弓の握り方、かたちのこと。弓は左手の親指の付け根と
小指の付け根でぐっと絞るように、後の指は軽く握って添えるのが基本。
弓を射る際、すべての動作に影響を与える重要な部分です。
「手の内を見せるな」は、ここから来た…のかどうかはわかりませんが、
そうなのかな?

・もたれ
矢を射る機が来ているのに、手元から離れていかない、その動作が出来ない。
上達過程で、心が臆するのか? 精神的なものらしい。実は、経験あり。
かなり苦しみ、入門者のゴム弓に戻し、その後、二段をとりました。
かぁっこいい。でも、このときはさすがになにをか感じたなぁ。

・早気 (はやけ)
もたれの逆。 矢を引いてきて、会に至らず、離してしまう。
これも、精神的なものが関係してしまうらしい。多くの人が経験あり。
催眠術のように身体が反応してしまうから、ほんと不思議です。

・手下 (てした)
弓の握りより、下の総称です。

・勝手(かって)
弓を押す押手(おして:左手)に対して、弦(つる)を引く右手のこと。

・会 (かい)
弓を押し引きしてきて、 引き分け、やがて離れに至る過程。

・離れ (はなれ)
離すではなく、離れ。会から、的がぐ~と手元に寄ってきて、
時満ちて、手元から矢が離れていく。ぴんと張った糸がプツリと自然に
切れていくように。そう教わったけど、これがなかなか、その境地には。

・残心・残身 (ざんしん)
矢を発した後の姿勢のままに、心身の緊張が収まっていくのを待つかたち。
「心」の方だといいますが、これもまた、なかなか。

・物見 (ものみ)
的を見こむために、的のほうへ顔を向けること。
弓構えのときは、矢を伝わって的を見て、また同じように顔を戻します。

・金的 (きんてき)
対抗試合などの、弓のイベントで使います。ほんとに金的。
ハレの日の、祝いの的して用いる小さな的です。

・口割 (くちわり)
矢を引き納めたとき、矢幹が唇の合わせ目にくるように。
ひとつの目安ですが、こうなる姿がやはり美しい。

・肩入れ (かたいれ)
素引き。弦(つる)を張った弓に、矢をかけないで耳の後ろあたりまで引くこと。

・澄まし (すまし)
これは、武道共通かな? 稽古の前後に正座して目を閉じ、雑念を静める。
高校の道場は、民家と接していて、夕方の街頭田舎チャイムとともに、
飼い犬の遠吠えがはじまり、笑いをこらえるのに必死でした。
とくに1年生のときは。3年生は神様的存在でしたから、ほんとまずいっす。



バスの中から、道着を着た少年が降りてきた。

素足に草履もかっこいいぞ。空手かな?
見たところ、中学になるかならないか。
でも、黒帯。経験もわからないので、早いのかそうでもないのか、
検討がつきません。

これが弓道なら、早い。だいたいこの年齢じゃ、やらんだろうな。
他の武道の黒帯に当たる段位には、実技以外に筆記もあるし、
そこそこ年齢がいかないと、なじみのないものでしょうね。
高校時代の3年間は、弓を引いていました。
(二段取得のときの筆記試験の一題は、「弓道と自然観について」みたいな…
ははは。出すなよぉ、そんな問いを。なに適当に書いたんだろ?)

道着、好きでした。気持ちの背骨がすくっと伸びるような感じがして。
いつも着るわけではなく、大会が近づいてきたときだけ。前・中、ですね。
ふだんはジャージに、学生ズボンとか、思い思いの格好を
しているのですが、試合を前にして誰からともなく。
白い綿着に、黒の袴姿。
和のいでたちに、日常を脱ぎ、射るためのあらたな時間に向う。
そんな心持ちが湧いてきたように思います。

道着は、道気なのかもしれない。気構えの気。覇気の気。
ゲゲゲの気。そんなものはない。
道着を着ると、気持ちが天地に伸びていったような気がしたのは
いまだに覚えています。

1,2年ほど前に、車で15分くらいのところに市の立派な道場が出来ました。
以来、ずっと「弓復活」を企てているのですが実現しません。
理由は、察しがついていて、要は気持ちに余裕がないのです。
でも最近は、これは反対で、やることによって、
あらたな時間のほぐし方が生まれてくるのだろうと思っています。

やってみたいことをやらない理由をつくってしまっているのでしょうね。
再び、道着から入る。も、アリかなと。
気持ちの背骨をすくっと伸ばす時間を創るためにも。

野球やサッカー、レーシングスーツなど、好きなスポーツのユニフォームが
かっこよく見え、そこから本道の魅力にハマっていく。
も一度、これで行こうかいな。





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Last updated  2004.04.09 21:45:31
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