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2019年05月17日
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人生のある局面を、鋭く鮮かに切りとっていきます。
短い・・・
故に・・・
起承転結がイメージできなければ途中で読むのを止めたくなる・・・・
最後に何が起こるのか?わくわくさせてくれるのが妙に気持ちいい・・


【短編小説】  天皇死す時  ●第八章 ◆現金の行方

​そのころ、犬山橋から数キロの地点を、富山から日本銀行名古屋支店まで旧い紙幣を運ぶ為、現金輸送専用荷物車(マニ30形)が岐阜県美濃太田駅にさしかかろうとしていた。

列車前方のレールに小さな白煙が立ち上がった直後、高速貨物コンテナ列車の先頭2両は脱線転覆、3両目以後最後部に連結されていた現金輸送列車も大きな衝撃轟音と共に脱線した。

「ガッガッガッ~ン」

「ヤッタッゾ!奥田!」
「富田さん達は打ち合わせどうり反対側をたのみます。」

富田と子分1人は現金輸送列車の反対側に駆け寄って逃走や反撃を防ぐ役目だ。
現金輸送車両正面ドア前には奥田率いる尾形と富岡、それに富田の子分2人が各々MP5短機関銃とコルトM1911A1自動拳銃をドア前に構えて立って、奥田の次への行動を見守った。
奥田は素早くC4(プラスチック爆薬)をドアに仕掛け、車両内部に大声で叫んだ。

「爆薬を仕掛けた、今すぐドアを開けよ!開けない場合は爆破する!一分待つ!」

「・・・・」

内部からは小声ではあるが、焦りのある会話が微かに聞こえた。
おそらく輸送機関本部にでも連絡を入れていると思われる。

「開ける意思は無いと判断した!死にたくなかったらドアから離れていろ!」

数秒後には爆発音と共にドアが大きく破壊され、中にいる人影が爆発煙の中、ボンヤリ見えかけた時に、空に向けたMP5短機関銃から威嚇射撃の発射音が鳴り響いた。

「全員ゆっくりと手を上げて出て来い!」

出てきたのは日本銀行の職員のほかに警備を担当する国鉄の公安職員(JR化後は鉄道警察隊)で、10人以上いた。

この警備の物々しさは、札番号が連番の新紙幣を積み卸しや運送するときよりも、旧い紙幣のときの方が特に厳しかったといわれている。

「そこにうつ伏せになれ!」

奥田達はテキパキと現金を二台の逃走用車両に積み込むと、2km程先の林道へと消えていった。

Pixabay:フリー画像/動画






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Last updated  2019年11月11日 15時57分59秒
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