◆長屋村       あらっ!ご近所さん♪

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September 18, 2010
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カテゴリ: ◆NovelでTea☆Time
指切り


三陸[4]


リュックから洗濯物などを取り出しながら亜紀はまた話し始めた。
「それから次の日にはね、観光タクシーで北山崎と龍泉洞を見学したの。本当はね、バスや三陸鉄道を使って観光をしたかったんだけど、調べたら連絡が難しいの。だいぶ待たなくちゃならないのよ。でもね、バスや列車だと海の近くへ行けないでしょ?観光タクシーにして良かったわ。海の側まで案内してくれたわ。特に鵜巣断崖からの眺めは絶景だったわ。太平洋にそそり立つ雄大な絶壁で、足元がすくむ思いだったの。美佐代の腰が抜けそうになって佐智子と二人で大笑いよ。あとね、北に向かってリアス式の絶壁がいくつも連なって見えるのよ。素晴らしかったわ。それから北山崎からの景色も最高だったわ。リアス式海岸を満喫出来て最高よ。佐智子なんて感激の涙を流していたわ。その後で龍泉洞へ廻ったの。龍泉洞はね、地底湖の水が綺麗だったわ。どこまでも限りない透明度を誇っているのよ。鍾乳石も美しくて素晴らしかったわ。その時観光案内してくれたタクシーの運転手さんが、十年前まで東京でタクシーをしていたんですって。写真を撮ってくれたりして優しかったわ。旧道を走ってくれて身近にリアス式海岸を満喫させてくれたわ。えっとね、真崎海岸や山王岩にも寄ってくれたの」
「高いんじゃないの?」
「それがね、観光タクシーって定額料金なの。浄土ヶ浜から北山崎を回って龍泉洞まで一万五千円なの。3時間くらい案内してくれたわ」
「あら、三人で割ったらひとり五千円ね」
「そうなのよ。考えたら安いわ」
「そうね。亜紀、食事の準備が出来たわよ」
「はい。それでね、その運転手の方ね、面白い本を出しているって言うのよ。言われた通り、帰りに盛岡の本屋さんへ寄ったらあったのよ。この本なの。帰りの新幹線の中でみんなで廻し読みして楽しかったわ」


「東京タクシー物語?」
「ええ、浅草中心に走っていたそうよ。面白いわよ。この辺りの話しもあったわ」
「どれ、どれ」
浩二は新聞を置き、代わりに本を手にとって読み始めた。

「雪祭りはどうだったの?」
亜紀は芳子の作った夕食に箸を付けながら話を続けた。
「楽しかったわ。テレビで見る札幌雪祭りほど派手じゃないけれど、かまくらの中でジンギスカンを食べたり、冬に上がる花火も綺麗で、とても楽しかったわ」
「花火も上がったの?」
「ええ」
「冬の花火も素敵でしょうね」
「そうなのよお母さん。見とれて寒さを忘れるわよ。そうだ、今度お父さんとお母さん、二人で行ってみたら?」

「ああ」
「気のない返事ね」
「本に夢中よ、お母さん」
「亜紀、所で袴の準備はいいの?」
「大丈夫よ」

「そうね。早いわね」
「私達のほうがもっと早いわよ。ねぇ~、あなた」
「ああ、もう二十二才の社会人だ。亜紀には頑張って、今までかかった分を返して貰わなくちゃ。なぁ~母さん」
「そうね」
「いいわよ。お二人の老後の準備をしてあげるわ」
「そりゃ有り難い。あはははは」

明るい家庭であった。






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Last updated  September 18, 2010 11:20:57 AM
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