◆長屋村       あらっ!ご近所さん♪

◆長屋村 あらっ!ご近所さん♪

September 22, 2010
XML
カテゴリ: ◆NovelでTea☆Time
指切り



廊下に出ていた浩二と芳子が中へ入って来た。
「頂戴したの?」
「ショコラですって」
「美味しそうね」
「ええ・・・・。楽しかったなぁ~、旅行。お母さん、夏にまた行けるかな?」
「早く元気になる事ね」
「・・・・・」
「先生から、仕事に行けるか聞いてみようかなぁ~・・・・」


言わなければならないだろうと、浩二は亜紀の枕元に歩み寄った。
「亜紀」
「なに?」
「実は、病気が治るのには半年かかるんだそうだ。それで迷惑にならないうちにと思って、お前が勤めるはずだった会社へ、今朝方断りの電話を入れてきた。亜紀に言わないうちに電話をしてしまって、ごめんな」
「・・・・・・・」
「でもな、治ったら連絡してくれって言われた。力になってくれるそうだ。海外は無理かもしれないけど、国内なら使ってくれるかも知れん」
「そう・・・・。仕方がないわね。心臓だもんね。旅行もダメだね、きっと」
「あまり悲観的になるな。病は気からだ。頑張って治そう」
「そうよ、亜紀。しっかり治せばまた元気に何でも出来ますよ」
詳しい検査結果がでるまで、こうして励ますしかなかった。

昼食前に浩二と芳子の二人は、夕方来るからと言い残し、自宅へと戻っていった。

(仕事・・・・折角内定したのに・・・・)
(旅行、また行きたいなぁ~・・・・・・)
(心臓・・・・肥大・・・・・生きて帰れるのかしら?)
思わず大きなため息が出た。
(そうだ、このお部屋のみんなに挨拶をしなくちゃならないわね)


「亜紀さん、っていうの?」
「え?あ、はい」
隣のベットの女性が、亜紀に声を掛けてきた。
「あなた、若いから大丈夫よ。きっと元気になるわよ」
七、八十歳くらいの、ふっくらとした暖かそうな女性だった。
「私はもう歳だから仕方がないけれど、あなたは若いから希望を持ちなさい」
「はい。私、大村亜紀と言います。どうぞ宜しくお願い致します」
病室にいる全ての人に挨拶するように、少し大きな声で言った。

亜紀を見て肯き返す人や、具合が悪く知らんぷりをする人までいた。
「私は三田ハル。宜しくね」
「はい。こちらこそ」
亜紀は、隣のベットの三田ハルによって、思いがけない入院デビューをさせられた形となった。
(良かったわ)
内心、心配していた挨拶のことがすんなりといって、亜紀はホッとしたのだった。

亜紀には、色々な検査が待っていた。
心電図
心臓超音波検査
MRI検査
ドップラー血流検査
頸動脈エコー検査
心臓カテーテル検査
血管造影検査
心臓電気生理学的検査と・・・・。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  September 23, 2010 12:53:41 AM
コメント(0) | コメントを書く
[◆NovelでTea☆Time] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: