◆長屋村       あらっ!ご近所さん♪

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October 6, 2010
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カテゴリ: ◆NovelでTea☆Time
指切り


+ 腫瘍 + [14]

「・・・・・・」
「肥大部分と腫瘍部分が一度に切除出来るかどうか、もしかしたら二度の手術をしなくてはならないかも知れません。」
「あなた・・・」
「前例はあるんでしょうか?」
「肥大だけとか、腫瘍だけとかならありますが、二つ一緒というのは正直ありません」
「体力的にはどうなんでしょうか?」
「若いですから、出来れば一緒に切り取ってしまいたいのですが・・・」
「別々にやって助かる確率と、一緒にやってしまっての助かる確率はどうなんですか?」

「一度にやってしまったほうが良いという事ですね」
「出来ればそうしたほうが宜しいでしょう」
「このままほおっておけば?」
「恐らく・・・五年くらいかと・・・」
「五年?」
「あなた・・・・」
「・・・・・・・先生、手術はいつ頃になります?」
「来月の、四月の八日に予定を入れたいと思いますが・・・。しかし最終結論を出されるのはご本人とご家族のご両親ですので」
「亜紀・・・・」

亜紀は心臓肥大の他に腫瘍があると聞かされ、愕然としていた。
それも難しい位置にあると・・・。

そうしないと意識を失って倒れていたかも知れないと思ったからだ。
「亜紀」
「亜紀、しっかりして」
亜紀は浩二と芳子の呼びかけによって我に返った。
「亜紀、大丈夫か?」

「手術、受けような」
亜紀は浩二の言葉に頷くのが精一杯だった。

「先生、宜しくお願い致します」
「分かりました。
それから手術の際の輸血の件についてですが、自己血輸血という方法があります。
これは手術までに自分の血液を保存しておき、手術の際に使用するという方法です。
当然、自分の血液なので感染症の心配がないというのと、アレルギーなどの免疫反応の心配がないのがメリットになります。
お考え下さい」
「分かりました」

父の浩二に肩を抱かれながら診察室を出た亜紀ら三人は、廊下の長椅子に腰を落とした。
時が止まったかのような、一瞬の静けさだった。
何を考えていいのかと、三人がそう思った。

「亜紀」
少し経って時が動いた。
最初に口を切ったのは浩二であった。
涙を拭きながら、ゆっくりと顔を上げた亜紀は父の目を見た。
「亜紀、向き合おう。病気としっかり向き合おう」
「うん」
「先生を信じて、頑張ろう」
「うん」
「少し、落ち着いたか?」
「ええ。もう大丈夫」
「お部屋へ戻ろう」
下手な慰めは愚かなことだと思い、これ以上のことは言えなかったのだ。






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Last updated  October 6, 2010 10:29:16 AM
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