◆長屋村       あらっ!ご近所さん♪

◆長屋村 あらっ!ご近所さん♪

November 20, 2010
XML
カテゴリ: ◆NovelでTea☆Time
指切り


+ 観覧車 + [31]


気を取り直して観覧車があるところまで歩いた。
入ろうとした入り口の所を、ジェットコースターが『ゴーー』っと風を切って横切っていく。
「うわっ」
高志は目を丸くしながら、その下の入り口を入っていった。
二階へ上がりフロアーを通って、観覧車のチケット売場の一歩手前の所へ来たら、再びジェットコースターに襲われた。
今度は上から下へ落ちて行く。
「お姉ちゃん、恐いね」
「凄いわね」

「お姉ちゃん、何?」
「これよ、見て」
壁に写真が貼ってあった。
ジェットコースターに乗っている人たちの、恐怖で引きつっている顔、笑っている顔。
沢山貼りだしてあった。

「写真のストロボかな~?」
「そうね、そこにカメラが付いているみたいね」
「ふ~ん。これが金額?」
「そうみたい」
「高いねぇ~、お姉ちゃん」
「こういう所はそんなもんよ」

亜紀は財布からお金を取り出し、チケットを買った。
「大人と子供、一枚ずつ下さい」
「はい、どうぞ」
「お写真はいかがですか?」

張り出してある写真を見ると、観覧車の前で撮っているカップルなどの写真が貼ってあった。

「そうね、折角だからお願いしようかしら」
「はい。それではこちらへどうぞ」
二人は観覧車のドアの前で仲良くカメラに収まった。

それから二人は係員に案内されて、観覧車へ高志から乗り込んだ。
後から乗り込んだ亜紀は、先に座っている高志を見て不安にかられた。
あれほど楽しみにしていた大観覧車に乗ったというのに、何故か高志から今までの元気が消え去っていた。
下の景色をずっと見ているだけだった。

観覧車が半分登ったところで、今まで様子を見ていた亜紀が声をかけた。
「高志君、どうしたの?」
「うん」
「心配事でもあるの?」
「お姉ちゃん、僕、死んじゃうの?」
「え?何言ってるのよ」
「僕・・・・。聞いちゃったの」
「何を聞いたのよ?」
「おばさんがね、廊下でどこかの人と話していたのが聞こえてきたの」
『子供の心臓病は治らないっていうし。家族揃ってあの世へ行くようになるなんて。何も事故で助かった子供まで連れて行かなくてもいいのに。神様って、いるのかねぇ~』
「・・・・・」
「・・・・・」
「そんなことないよ。高志君。絶対助かるって」
「でも、子供の病気は助からないって言ってたもん」
「ううん。心臓移植が出来れば助かるって。だから希望を持って生きようよ」
「お姉ちゃん・・・・」
「お姉ちゃんが守ってあげるから」
「本当?」
「絶対、絶対。お姉ちゃんが助けてあげるから」
亜紀はどんなことがあっても、高志を守ってあげようと心に誓わずにいられなかった。
「高志君、ほら、見て。もうすぐ一番高いところだよ」
涙を拭きながら、高志は外の景色を見た。
「ねぇ、高志君。約束するね。お姉ちゃんが高志君を守ってあげるから」
「・・・・うん」
「お姉さんも・・・高志君も・・・手術をして・・・元気になったら・・・またここへ来よう。また観覧車へ乗りましょう」
「また来れる?」
「絶対来られるわ。それじゃ、一番高いところで指切りしましょ」
「うん」

ゴンドラがひとつ、またひとつと頂点を越えて行く。やがて・・・・・
指切りをしながら頂点を越えていくゴンドラがひとつあった。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  November 20, 2010 04:38:15 PM
コメント(0) | コメントを書く
[◆NovelでTea☆Time] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: