「ナイトにホラーは無理だった」という意見と、「今までよりいいよ」って言う意見をいただきました。
自分じゃ面白いか面白くないかわからないんで、ただ一生懸命書いてるだけなんですけどね。
マア、こうやって皆さんに育ててもらってるようなもんですから、そのうち、「あっ」と驚くような雑文も書けるようになるんじゃないかと思ってるんで、何とかここは、がまんして長~~~い目で見てください。
強盗犯の車のトランクに載せられ、着いた所は鯛島の見える脇野沢の海岸だった。
車は先日キャンプしたところから50メーターほど離れた民家の前に停められ、誰も見ていないのを確認してからなのか、少したってからトランクから出された。
「さあ、家の中に入れ」
縛られたまま、口にはガムテープを張られたまま・・・私は背中を押されてその民家の中に押し込まれる。
しばらく誰も住んでいなかったような家・・・・埃っぽい、すえた匂いがした。
「ここは俺の家なんだ・・・・・・もうだいぶ前に親に死なれてな・・・・独りになったから、ここをほっぽりだして・・・俺は青森の会社に10年間勤めた。・・・・一生懸命働いたんだよ・・・・そしたらそこの社長・・・・お前は腕がいいから独立してもやっていけるななんて言いやがってよ・・・・俺も馬鹿だから本気にした。・・・・」
そこまで言うと、男は靴を脱ぎ囲炉裏のある部屋の真ん中に座って話しを続けた。
「下請けの会社を作らないか・・・なんていわれてその気になって・・・・貯金を全部はたいて会社を作って社長になった・・・・・社員の誰もいない社長にな・・・・・その勤めてた会社の社長が・・・仕事を回してくれるって言う言葉を信じてよ・・・・それが独立したとたん・・・・仕事は回してくれねえ・・・たまに仕事があると、代金を値切られる。たちまち俺は食うに困った・・・・ていのいいリストラにあったってわけよ」
男は立ち上がり、こんどはわたしの靴も脱がせ、その部屋にあげて、奥の大黒柱に改めて縛り付けた。
「俺はどうしようもなくなって、金を貸してくれとその社長に頼みにいったんだが、今会社も景気が悪くなってと断りやがった・・・・だからその社長を殴り倒し、財布を抜き取って逃げたんだが・・・・行くところもねえ・・・・この下北半島に逃げてきたんだ。・・その財布には1万円しか入ってなかったこともしらねえでよ・・・」
男はスーパーのビニール袋からおにぎりを二個と牛乳のパックをだした。
「お前も腹が減ったろう・・・・・今ロープを解いてやるがな・・・逃げるんじゃねえぞ・・それと、ガムテープもはがしてやるが、ここは隣の家までけっこう離れてる・・・大きな声を出しても誰にも聞こえないからな・・・・・」
念を押しながら、ロープを解いてくれた。
梅干のおにぎりと、牛乳のパックを与えられ私は後ろ手に縛られたロープもはずしてもらい、食べ物を口にすることができたのだが、そのとき、自分の血だらけになった手をはじめてみた。
おにぎりを持ってみたが、手に握力がなかった。
「もしかしたら、指の一本ぐらい折れてるかもしれないなあ・・・マア勘弁しろや・・・」
そのとき、土間にある台所の古いかまどの陰から声がしたのである。
「佐伯さん・・・・・」
声のした方向を見ると急に影が立ち上がったように見え・・・・その影が話し掛けてきた。
「それは違うよ・・・佐伯さん」
それははっきりと小島の声であり影であった。
これからなにが始まろうとしているのか?
明日へと続く
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