昨日、CM大賞の祝賀会のあと、最近ご無沙汰してたスナックに行ってきたんですけど、ママさんが調子が悪くってお休みだったんです。
従業員のサッちゃんが一人でお店をやってたんですけど、客は私と友達二人だけ・・・
「次の客が来るまでいるから・・」っていったのが運のつき!
次の客がなかなか来ない!
けっきょく2時間いましたよ。・・・カラオケ20曲ぐらい歌ったかな?
レパートリーは、スタンダードナンバーから演歌、軍歌、民謡・・・・・
歌えるものは何でも歌ったっていう感じかな?
あ、いっときますけど、昔歌手だったときリクエストで覚えた軍歌ですからね!
軍歌のリアル体験はありませんから!
地元のクロスカントリーの大会が終わり、翌日の練習も休みになった。
中学校を出たのも4時ごろだったので、本屋で立ち読みすることにしたのだが、目的の本は「バレンタイン用の手作りチョコ」の作り方の本。
「湯煎」してチョコを溶かすということは知っていたのだが、どんなデザインにするのか、そのほかの飾りはどうするのか・・・・そんなことが知りたかったのだ。
型もどうすればいいのかわからなかったし、全部本で仕入れようと思ったのだが、本屋に行ってみると、そこで立ち読みしているのは全て女性・・・・
そりゃそうだ・・・料理コーナーだもの・・・・・・
立ち読みのつもりだったが、適当な本を手にとって、パラパラとめくり、すぐにその本を購入してしまった。
料理コーナーにいたOL風の女性には変な目で見られるし、書店の店員さんにも「この男の子、なにするつもりなの?」っていう風な、不審な目で見られた。
書店を飛び出すように出て、すぐに鞄の中に本を隠す。
そこへ斉藤とその彼女がやってきた。
「大山・・・・何の本を隠したんだよ?」
鞄の中にすぐ本をしまったので、斉藤は私が「エロ本」でも買ったんじゃないかという風に見たようだ。
「バレンタインチョコの作り方の本だよ」
そう答えると、事情を知らない斉藤の彼女まで変な目で私を見た。
「真由美に贈るんだ」と答えてもいいが、とかく女性は口が軽いもの・・・・
できるだけ誰にも知られないようにしたい。
「ああ、うちの母さんが、親父に手作りチョコを作るんだよ」
ごまかしきれたかどうか、わからないがいいわけをし、すぐにその場を立ち去ろうとしたのだが、2~3歩、歩き出すとすぐに斉藤が追いかけてきて、
「デザインが決まったら、俺にどんなのを作るのか教えろよな・・・審査してやるから」といった。
帰るついでにスーパーに寄って板チョコを5枚購入する。
家に戻りまず先にしたことは、チョコを冷蔵庫に入れること・・・・わたしはビニール袋に5個の板チョコをいれ「健二のもの」と書いた紙も一緒に入れておくことにした。
それからベッドに寝転がり、買ってきた本を読んだ。
型はいろいろな種類が売られてるらしい・・・・ウサギの型も本で見る限りはホームセンターで売られているという。
また、いろいろな色の飾りも、スーパーなどのお菓子作りコーナーにおいてある事がわかりウサギの目や鼻はそれを使うことにした。
「赤いリボンもつけたほうがいいなあ」
それもリボンの形をしたゼリーのようなものがあるということも本で知った。
「よし、デザインは決まった」
私は、簡単なウサギの絵を書きながら、斉藤の家に電話をした。
「ちょっと出て来れないか?・・・うん、俺んちに来てくれよ」
斉藤を呼び出して自分のデザインを見てもらうことにしたのだが、電話を終え部屋に戻ろうとして居間を見ると、母親がチョコレートを食べていた。
「母さん、それ冷蔵庫に入れておいた俺のだろ?」
「いいじゃないの1個ぐらい・・・あとで買ってあげるわよ」
夕飯までのあいだ小腹がすいて、ちょうど冷蔵庫にあった私のチョコを見つけたらしいのだが、私の剣幕にいいわけを始めた。
「あんたチョコをこんなにどうするのよ・・・女の子でもあるまいし、手作りのバレンタインチョコ作るんじゃないでしょ?」
私はカッとなって家を飛び出した。
とちゅう斉藤とすれ違ったのだが、声をかけられるまで気がつかないくらい怒りでいっぱいになっていたのだ。
「大山!・・・人を呼び出しておいてどこに行くんだ!」
このまま家に帰る気にはなれなかった。
そのまま斉藤と二人で、ホームセンターやスーパーで不足の材料を買ってから家に戻る。
居間の母親には声をかけず真っ直ぐ部屋に向かったのだが、斉藤は「おじゃまします。」といって上がってきた。
部屋で自分の描いた絵を斉藤に見せる。
「ああ、これでいいと思うよ・・・さっき買ってきたのが目の部分なんだよな?」
斉藤も満足したようだ。
デザインも見てもらって、それから二人でいろいろな話をした。
「昨日のレース、真由美ちゃんも来てくれて張り切れたろ?」
やっぱり、斉藤が彼女に真由美を誘うように持ち掛けたらしい。
「ああ、やっぱり真由美ちゃんの声が聞こえたから、俄然張り切っちゃったよ」
あの応援がなかったら、やっぱり川畑には勝てなかったと思う。
「でも、お前の彼女が真由美ちゃんか?って親に言われてさあ・・・そうじゃないっていうのもめんどくさいから・・ああって答えちゃったんだ」
「それなら大丈夫だと思うぞ・・・・誘うとき大山君もキャプテンとしてがんばってるから応援に行こうって言ったら、すぐに出てきたそうだから・・・・真由美ちゃんにもその気はあるんだよ・・・後はうまくチョコを作って・・・・」
そうかなあ・・・・・・・
でも、もう準備はしてしまった。
明日にでもチョコを作って、2月14日に彼女に手渡す。
真由美が喜んでくれればあとはうまく行くような気がした。
そしてその予定通り、翌日チョコを作り14日を待ったのである。
2月14日の早朝は雪がふっていた。
朝のマラソンの時間に、真由美の家の前に行き、彼女の出てくるのを待ったが玄関灯がついているのに、真由美はなかなか出てこなかった・・・・
ようやく出てきたとき・・・・「ゴメン、今日は朝急用ができて行けへんわ」
今まで毎朝一緒に走ったのに、バレンタインデー当日、一緒に走れないなんて・・・・
少し不安になったが、今日は一人で走ることにする。
通学の時間になっても、まだ真由美は来ない。
「今日はなんか急用ができたんだろうな・・・まさか学校休まないよな?」
せっかく作ったチョコレートを、まさか渡せないなんてことは・・・と本当に不安になったが今日は一人で学校に向かった。
学校に着く・・・・やっぱり真由美は学校に来ていない。
真由美が学校に飛び込んできたのは、「遅刻ギリギリ」
席に着くと同時に、先生が教室に入ってきたので話しをすることもできなかったが、もともと、教室で話しかけることはない。
授業を受けている最中も、どのタイミングでチョコを手渡せばいいのかいろいろ考えていた。
「放課後・・・・部活に行くときにさりげなく渡そう」
そう考えてはきたのだが、クラスメイトにばれないように渡したいと思っていた。
授業が終わり、教室の掃除の時間・・・・・・
みんなの机を拭き掃除のため移動させるとき、みんなにばれないようにチョコを真由美の机に忍ばせた。
そして掃除が終わり、部活に行くときに真由美に一言
「机の中を見てくれ」と小声で言う事ができた。
ウサギのチョコレートには、私の手紙も添えてある。
サイは投げられた。
それから二時間後・・・・私は練習を終え、教室に戻って真由美の机の中を確認した。
「チョコがなくなってる!」
私の手作りチョコは、真由美の手に移ったのである。
このあとどんな結果になるのか・・・・・・
「こんなに不安になるなら渡さなきゃ良かったなあ」・・・そう思うくらい追い詰められたような気になった。
続く
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