「前にも読んだような・・・」・・・・
そうなんですよ・・・前にあらすじ書いてましたよね。
でも今回のはそのあらすじにそって、本番のお芝居をしているところなんですよね。
せりふだけだと心の動きがわからないと思い、説明まで書いているんであらすじと同じになってるんですけど・・・・
でもこれから・・・・舞台上で繰り広げられる、事件が出てくるようにしてます。
男三人組が舞台に登場しました。
レストラン東京の女将(お歯黒お母さん)が、自分の食堂で起こったことを、回想風に説明しているシーンで・・・舞台の下手側にスポットライトで食堂を再現していました。
ですから、2メートル四方ぐらいのスポットライトの中に、3人の男・・・柔道部の男がひしめいています。
女将はスポットライトの中に入らず、暗闇から声を出して「陰の声」のような感じです。
「いやあ、車が故障して一時はどうなることかと思いましたね。」
「こんな近くに食堂があって助かりました。」
「そういえば、食事をちょっと早いですけど済ましておきましょうか?・・・修理工場へ電話を掛けてもらったお礼もありますからね。」
「メニューは・・・っと・・・おやおや・・・田舎の食堂だからろくなもんがない・・・”シェフのお勧め”っていうのがありますけど?」
「シェフって・・・この食堂にシェフですか?」
「厨房の奥に、爺さんがステテコ姿で立ってますけど・・・あれがシェフですかね?」
「手がぶるぶる震えてるような爺様ですよ・・・あれで包丁が握れるんですかね?」
「まあ・・・贅沢いってもしょうがない・・・シェフのお勧めって言うのを3つください」
3人で、暗闇のスポットライトの中で現代劇風に話してるんですけど・・・何しろ化粧が「くまどり」ですから・・・少し異様です。
で、今度は女将の影の声・・・・
「サア、注文はもらったんざますけどね・・・何しろまだ午前中だったんでね・・・材料も何もそろってない・・・・だから、夕べ私が食べた残り物が冷蔵庫に入ってたから・・・それを出したんざますよ・・・ホホホホホ・・・・エ?シェフのお勧めじゃないじゃないかですって?・・・シェフのお勧めざんすよ・・・・だってあたしがシェフざあますもの・・・厨房の奥のおじいちゃん?・・・・それはきっと二階で寝ていた爺ちゃんが、トイレに起きてきたんざんしょ・・・・あくまでもあたしがシェフ」
それからまた柔道部の3人が会話を始めます。
「おい、田舎料理だと思ってたら・・・意外といけるじゃないか!」
「そうですね・・・これなら、名物料理として観光客に食べさせられますね」
「駐車場も廻りは野っ原出し・・・10台は停められるし・・・ここ、今度の観光コースの昼食会場でいいんじゃないですか?」
そして暗転・・・・吾作の家の中が今度は明るくなりました。
「というわけでね・・・・来週から観光バスがうちでお昼を食べることになったざますよ・・・これもひとえに、この旅人様のおかげ!(拍手を打つ)・・・とりあえずお礼方々ご挨拶・・・・いやあ・・・これで景気もよくなるざますよ・・・ホホホホホ」
こういって女将は下手に下がります。
「おどろいたなや・・・・ひとりでくっちゃべってひとりで拍手を打って・・・そのままいっちゃったよ・・・」
「わしが言ったように、あの食堂にいいことがあったじゃろ?・・・・何しろわしは神様じゃからな・・・アハハハハハハハ・・・」
舞台が暗くなって場面転換・・・・吾作の家の中ですが、ちょっと事務机なんぞがおいてあり、そこには吾作と、最初の場面で川で洗濯をしていた村娘3人がいました。
「でも、驚いたわねえ・・・・あのレストラン東京の観光バスのことがあってから、村には次々いろんなことがあって・・・・・それがみんなうまくいく・・・・」
「やっぱり、あの人只者じゃないと思っていたら・・・本当に神様だったのよねえ」
「徳永さんとこのケン坊が行方不明になったときなんか・・・・消防団も出て探したけど・・・どこにも見つからない・・・”もうだめ”ってあきらめてたら・・・あの神様がやってきて・・・”鎮守様の社で眠ってる”って・・・言ってみたらほんとにそこで寝てたもんねえ」
「この前の村会議員選挙のときも・・・いつも落選してた”弥八さん”・・・神様にお願いしたら”今度の選挙は当選だ”って言われて・・・・見事当選・・・当たったもんね」
「あれは、逆に、”神様が当選だっていうなら応援しなければ”って・・・村の人がみんなその気になったのよ・・・神様をうまく宣伝に利用したのよね・・・・」
「ここも・・・村の人だけでなく、近くの町や村の人も来るようになって・・・・いつのまにかこんな大きな宗教団体になってしまったわ」
「でも、吾作さんも、こんないいところに就職できたし・・・・言うことなしよね・・・これではれておよねちゃんとも結婚できそうだし・・・」
「でも、奥の会計を担当している人たち・・・・神様がどこからか連れてきたらしいんだけど・・・・地元の人じゃないしね・・・・いつも威張ってて・・・・本当なら、吾作さんが事務局長かなんかになって一番偉い人にならなきゃいけないのに・・・」
「そういうなよ・・・・神様が信頼できる人が経理でいいじゃないか・・・・この団体の経営も順調に伸びていってるし・・・」
そこへ奥の部屋からドアが空き・・・その経理の係りが顔を出し・・・・
「おい。お客様が来ていらっしゃるのに気がつかなかったのか?・・・お茶をお出ししなさい」
「あれ?気がつかなかったなあ・・・どなたがいらっしゃったんですか?」
「たかが事務員のお前が気にしなくていい・・・だれかお茶を早く」
そういうとバタンとドアを閉めたのです。
ひとりの娘がお茶の準備をし・・・ほかの3人は事務机に座りなおして、仕事を始めました。
そして・・・・しばらくすると・・・・お茶を出しにいった娘が戻り、吾作の顔をうかがうと・・・ほかの娘2人だけを呼び集めたのです。
「ねえねえ・・・誰が来てたと思う?・・」
「エ?お客様ってあたし達が知ってる人?」
「ねえ・・・誰よ・・誰が来てたの?」
「あのね・・・・」
もう一度、吾作の顔をのぞきこむようにして・・・・またみんなのほうを向き直り
「来てたのはおよねちゃんのお父さん!」
「なんの相談なんだろう?」
「およねちゃんのことなんだけど・・・・お嫁さんに差し出すって」
「吾作さんとこに嫁にやるって言う話し?」
「そうじゃなくて・・・神様のお嫁さんに差し上げるって言ってるのよ・・・」
「ええ?およねちゃんを神様に?」
聞いた娘達は、思わず大声になってしまったのです。
だから・・・吾作の耳にも入ってしまいました。
さあ・・・どうなるのでしょう?
って・・・あらすじは前もって話してありますからわかりますよね・・・・
ちょっと時間がないので、・・・続く
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