お盆休みも3日目はとくに予定もなく・・・・・「ヤマメつかみ取り大会」というイベントを見つけたので、川内っていうところまで、ジュニアを伴って行ってきました。
今年最高の猛暑だったんで、川の中が気持ちよかった・・・・
収穫は・・・・たいしたことなかったんですけどね・・・でも美味しかった。
文化祭の翌日は、学校もお休み・・・・でも、演劇部の公演で「神様」に恥をかかせたのでは・・・と気になり・・・一成は起きると同時に隣の「神様の家」に電話をいれました。
しかし、電話にはだれも出ません・・・・・
ますます気になり、一成は出かけていくことに決めたのです。
玄関先で声をかけます。
「おはようございます・・・・友也君いますか?」
「友也君」とは「神様」のここでの呼び名・・・・しかしだれも返事がありませんでした。
「友也君・・・おばさん?・・・誰もいないんですか?」
もう一度声をかけても、やはり返事はなく・・・不安を感じた一成は勝手に家に上がりこんだのです。
もしかしたら、昨日の演劇で・・・最後に「神様」が、気持ちよく締めくくったはずの「大マジックショー」を・・・芝居を大団円に終わらせようした一成のせいで邪魔をされ恥をかかされたと思ってふてくされてしまったのか・・・もしくは成績も上がり彼女もでき・・・そして最後には芝居の主役を演じるヒーローになった一成との約束が終わったと思ったのか・・・・いずれにしても、この場所にはもういないような予感がしました。
この家にはもう誰もいないのでしょうか?
真っ直ぐ「神様」の部屋に行こうと思い・・・途中居間の前を通ったとき・・・「吉田竜平さん」がテーブルの前で爪を切っていました。
(ああ・・よかった・・・吉田さんがいたんだ)
しかし、すぐに考え直したのです。
(もともとこの家は吉田さんの家じゃないか・・・ここにいて不思議はないんだ)
吉田さんは一成と目を併せても、何の感慨もないように目を一瞬併せて・・・すぐにそらしてしまいました。
「おじいさん・・・友也君は?」
吉田さんはその質問に・・・あごをしゃくって見せました。
「二階におるじゃろう・・・」・・・そう言ってるように見えました。
一成は二階に上がります。・・・そして「神様」の部屋へ・・・・
引き戸を開けるとそこに・・・「神様」は正座をしていました。
「ここにいたんですか?」
「アア・・・マロはずっとここにおった・・・夕べからな。。。」
「夕べから?」
「ああ。お前がすぐ来るものと思っておったのじゃ・・・しかし、マロの思い通りにはならなかった」
「神様」の思い通りにならないことがあるのでしょうか。
一成はこのとき、ふと思いついたことがありました。
「もしかしたら、この神様・・・昨日の芝居のように・・・狐?」
そのとき「神様」はにっこり笑ってこういったのです。
「これこれ・・・・マロの思い通りにならないこともあるのじゃぞ・・・何しろこの国には800万柱の神がおるのじゃ・・・それぞれの思いが違うなら思い通りにならないこともあるのじゃぞ」
「神様」の会議にも多数決が適用されるようです。
「じゃあ・・・僕と和代さんのこれからは・・・・もしかしたらあなたの考えたとおりにならないことも?」
「これから神無月・・・・マロは出雲に行って、これからのお前たちのことを決めて参ろう・・・・心配するでない・・・なんとでもなるわい」
そう言うと「神様」は立ち上がりました。
「なんとなく、狐につままれているようですね?」
一成がそう言うと・・・・
「お前はバランスとタイミングという二つのことを学んだ・・・・これを間違わなければ良いのじゃ・・・・・将来の事はお前が知ってもつまらんじゃろう・・・なにが起るかわからんから、この世は楽しいのじゃ・・・将来の事はこの”神”に任せて置け・・・神のみぞ知る・・・・と申してな・・・ワハハハハハ・・・・」
その笑い声を合図に、押入れから「神様」の父親役の侍従と母親役の官女・・・「お歯黒お母さん」が正装で出てきました。
「お歯黒お母さん」はもちろんしっかりお歯黒をし・・・十二単で出てきたのです。
「一成殿・・・神様はああおっしゃっておりますけど・・・あなたの将来は約束されておりますからご心配なく・・・オホホホホホホ・・・」
そう言って笑ったのです。
そしていつの間にか彼らはだんだん影が薄くなり・・・・フェードアウトして行きました。
「神様!・・・もうここへは戻られないのですか?!」
一成が叫ぶと・・・・
「おいおい、マロの社はここにあるのじゃぞ・・・いつでも帰ってくるわい」
凛とした「神様」の声が聞こえました。
それから10年・・・・・・・・
一成の家の前にある神社で・・・・「一成」と「和代」の結婚式が行われました。
2人の「仲人」は一成の親戚筋に当たるという夫婦でしたが・・・なぜか仲人の奥さんは・・・「お歯黒」をしています。
そして荘厳なる「祝詞(のりと)」を読み上げる神主さん・・・・・
なぜか言葉のはしはしに「マロ」と言う言葉が入り・・・少し気になりました。
あの・・・「方」が帰ってらしたんですかねえ・・・・
この10年・・・・一成にも和代にもいろいろなことがありました。
そして・・・・きっとこの「神主」さんや「仲人」さん達にもあったことでしょう・・・・
そのお話しは・・・・またの機会に・・・では・・・・・
「終わります」
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