大学時代の友人の話だが・・・同じ学科ではなかったので、初めは本名を知らなかったという話。
確か、「機械学科」のやつである。
なぜかコーラス部に入部してきたが、同じ機械学科の一年生は誰もいなかった。
だいたい・・・・コーラス部に入部するやつで・・・・・工学系の学部にいるやつはいなかった。
理学部系や文系の人は多かったが、工学系は私が土木工学科で一人だけで、あとは機械学科の彼だけだった。
彼は入部してくると、入部届に「星飛雄馬」と書いた。
「おい、冗談で書くなよ。」
先輩の声はかなり怒っていたが、「親が本当につけてくれた名前なんです。」
彼は真剣にそう言っていた。
「星」という苗字は、私の地元には多いので・・・・・彼も岩手出身ということで・・・私の隣の県・・・東北出身者だからあり得ないことではないのだが・・・・
誰も信じてはいないのだが、ほかに機械学科の人がいなかったから、ほかに呼びようがなくて・・・
結局・・・「星飛雄馬」で定着してしまった。
彼はけっこう真面目に部活に出てきた。
コーラスの経験があるわけではないのだが、音楽が好きだと言っていた。
しかし・・・・しかしである。
彼の目的は、一年先輩の「A子」先輩であったのだ。
大学を卒業してから2年後・・・・
私が勤務していたデパートに、彼から電話があった。
「ナイト、頼みがあるんだが・・・・・実は・・・・」
彼が結婚するというのだ。
「え?もう結婚するのか?・・・・相手はA子先輩か?」
彼は一浪していたから、「A子先輩」とは同じ年だが、大学時代から付き合い始め・・・彼女が早く結婚したいということで、結婚式をすることになったようだ。
「明日、二人で行くよ。」
私に「引き出物」をまかせてくれようという、ありがたい申し出だった。
翌日、「星飛雄馬くん」と「A子先輩」が二人でやってきた。
品物も決まり・・・・「星家・◎▲家」と書こうとしたら・・・・・
「ナイトごめん・・・違うんだよ。」
「え?」
「俺・・・・吉田なんだよ。」
「吉田?」
聞きなれない名前が・・・・
「俺、本名は吉田和之丞っていうんだよ。」
「和之丞・・・・?」
「その名前いやだろ?・・・・だから星飛雄馬って名乗ってたんだよ。」
「A子先輩」だけは知っていたらしい。
「で・・・・もう一つお願いがある。」
「なんだよ?」
「結婚式で、みんなを呼ぶだろ?・・・・吉田っていうとみんな、ご祝儀をA子の家に持ってくんだけど・・・・男性はみんな吉田家で呼ぶんだ。・・・・コーラス部はな?」
「だから?」
「お前、受付にいて・・・コーラス部の人に、俺のまこと本名は吉田だって伝えてくれ。」
私が受け付けにいて・・・先輩や後輩・・・そして同期の仲間に謝る係りにさせられてしまった。
だから、披露宴に関してはみんな・・・奇妙な感覚のままだったに違いない。
HirokochanさんCalendar
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