「証人尋問?・・・・何で私が?」
「被告がその日、その時間にあなたの会社に伺っているというものですから、弁護士側の証人としてぜひ・・・・・」
「その裁判っていつなんですか?」
「◎月△日の午前10時です。」
「その日はダメですよ・・・・私、出張で東京ですから。」
「日にちを変えていただけないですかね?」
「無理ですよ・・・・大事な商談なんですから。」
「無実の被告のためなんですよ?・・・・あなたの証言がいただければ、それで無罪放免になるんですから・・・・」
「私じゃなくていいでしょ?・・・だいたい彼は、私に用事があってきたわけじゃない。・・・・うちの工事部長に用事があってきてたわけで・・・・」
「でも、あなたとも話をしたんでしょ?」
「そりゃ挨拶ていどにはね・・・私は普段いないから・・・・たまたまいた時だったんで、ほんとの挨拶だけですよ・・・・お世話になってますって・・・・」
「彼の証言によると・・・・あなたの会社に行ってあなたと会話した・・・・ってことになってるんですが・・・・」
「うちの会社に来たのは事実です。・・・・だけど用事は工事部長に・・・・」
「彼はあなたと会話したといってるんです。」
わが社と取引のあるメーカーの営業マンが、ある事件の犯人として逮捕されたが、その日のその時刻・・・・彼は私の会社に来て工事部長と話していた。
私も彼とは面識があり、私が社長室を出て工事部を覗いてみると彼と目があって挨拶した程度だったのだが・・・・・
「工事部長でもいいんじゃないですか?」
「でも被告は・・・・あなたと話したと・・・・・」
「実際の中身は工事部長と話してるんですがね。」
「犯行時刻は午前11時から12時の間・・・・工事部長さんとは10時半のアポで・・・・11時にはあなたと話をしたといってるんですよ。」
「そんな・・・・そんな細かい時刻、よくわかりましたね。」
「ともかく、犯行時刻はあなたと話していたようですから・・・・・」
「あ、でも犯行現場は、うちの会社から車を飛ばしても2時間くらいかかるんですよ?・・・・どっちにしろ犯行は無理じゃないですか。」
「無理だと思いますよ・・・・しかし、なにしろ裁判ですから・・・・きちんとした証拠や証言によって成り立っていきますから。」
「だから、工事部長でもいいでしょ?・・・・それじゃなきゃ、ほかの社員もたくさん会ってるんですから。」
「ナイト社長、何とかなりませんかね?」
私はその裁判のある日・・・・どうしても東京に行かなければならないのだ。
会社の浮沈にかかわる大事な商談で・・・・・
「裁判の日にち・・・・その翌日になりませんかね?」
「裁判所も日程が詰まってるんです。・・・・何とかその日に裁判所へきて・・・・」
「じゃ、私・・・・彼とあったことはない・・・・ってことにします。」
「いいんですか?・・・・無実の人間を罪に陥れることになるんですよ?」
「そんなことを言ったって・・・・私だって忙しいんですよ。・・・・だから、工事部長に・・・・」
「被告はあなたと会ったと証言しています。」
「私と会ってどうしようっていうんですか?」
「ですから証言を・・・・」
「証言って・・・・その時刻に彼と会いました。・・・でいいんでしょ?」
「そうです。」
「それくらいなら、社員は誰も知ってることですから・・・・・」
「裁判所から出頭命令を出しても構いませんか?」
じつはこれ・・・・・先日見た私の夢なんです。
だから・・・・実際は裁判の日に用事があった時・・・・どのような対応になるのかわかりません。
だって裁判所なんか、民事の訴訟をして一度行ったきりですから。
でもこの夢を見たことによって、汗びっしょり・・・・
気持ちのイラつく朝を迎えてしまったことは事実です。
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