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謎の失踪を遂げた夫・貴之のあとを継ぎ、探偵となった下澤唯。偶然、佐渡に渋川さわ子という関係者がいたことを突き止めるがすでに彼女は死んでいた。切れそうになる夫への細い糸をたぐって、唯は執念の追跡を続ける。さらに2年を経て、さわ子の友人で佐渡から信州・蓼科へ移ったというペンション経営の大谷憲作のもとへと向かった。そこには貴之の目元を残した美少女-小松崎ゆいがまっていた……この物語の前作『観覧車』を読んだのは3年くらい前のことでした。そのあとがきには7年前にプロ作家として初めて書いたというのが『観覧車』だったとあったのです。その話の続編となるのがこの『回転木馬』。そう、この物語は完結するのに10年もかかっていたのでした。このミステリーがすごい!という本をよく手にするのですが、たくさんの話題の作家さん自らが執筆の予定などを表明していてとても興味深いページがあります。その中で柴田さんがいよいよ観覧車の続編を出すと語っていたので、それはそれは楽しみにしていたのです♪これしかないよな、という展開であったところもありますが、これからどうなるのよ!?という終わり方だった唯の物語が進展するんだという期待感であっという間に読めました。図らずも関わることとなって登場したそれぞれの人たちも、いろいろな人生を経てきたんだということがとてもよく語られていて深い物語になっていました。私の中でいろいろな思いもあったせいか、唯がじわじわと貴之との距離を詰めてゆくのをとてもドキドキとして読んでいました。ほんとにほんとに長い長い、思いのこもった物語でした。
April 30, 2007
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時をこえて届くあの頃からの贈りもの。儚いけれど、揺るぎない―「家族」という絆。デブねこの赤い首輪にはさんだ手紙がつなぐ、ぼくとタカキの友情『モノレールねこ』。夫を待つ時間に取り組んだ白いパズルの中に、犬の気配が『パズルの中の犬』。家族をいっぺんに失った中学生の私と、ダメ叔父さんの二人暮らし『マイ・フーリッシュ・アンクル』。私と偽装結婚したミノさんは、死んだ婚約者がそばにいると信じていた『シンデレラのお城』。ロクデナシのクソオヤジに苦しめられてきた俺に、新しい家族ができた『ポトスの樹』。会社で、学校で、悩みを抱えた家族の姿を見守るザリガニの俺『バルタン最期の日』。 私の中では表題作のモノレールねことバルタン最後の日が特に心に残る作品でした。子供の姿を見ていると私はこうだった、あぁだったとか、どうしてこんなこともわからないの!などと怒ったりもするわけですが、よくよく思い出してみると、そんなにも道理がわかって分別ある行動をとれるようになったのは、ずっと後のことだったと気づくのです。特に妹達と昔の話をしているとけっこう忘れちゃってるもんだな…と実感するんです。今振り返ってみてもとても仲の良かった姉妹だったような感じしか残っていないんですよね。でも昔のことをそれぞれ語っているとそのときの様子が詳細に浮かびだして、一番下の妹がかくれんぼの鬼になったときに二人して絶対に登れないようなところへ上がって、苦労して探している様子をうかがってクスクス笑っていたこととか思い出すわけです。けっこういじわるなこともしてたな(笑)。そんな今の私だからこそ、大切なことをすっかり忘れてしまっていたり、記憶の奥底へしまわれてしまっていたりすることがすんなり信じられたし、他のなにものとも違う姉妹のつながりを改めて感じました。そういうことを語るためにかそれぞれの短編の中でいろいろな生と死が出てきて、一冊読み終えるとちょっと重い感じも残るのですが、それぞれはさっぱりと、でも心に響くそんな物語となっていました。そういえば!この本を予約したのはNHKのBOOKレビューという番組であさのあつこさんがこの本について語っていたからでした!その中で『モノレールねこは特に大事件があるわけではないが、読み終えて「あ~生きてみようかな」と生きにくい今、改めて思える本』だと言っていたからなのですが、どれもこれも大事件ばかりだったような気がする私なのでした(笑)。
April 27, 2007
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ネットオークションにはまる専業主婦。会社が倒産し、主夫となる営業マン。夫と妻。ちょっとずれていて、でも愛情がないわけでなく…。ずっと外にいた夫の王国か。ずっと家にいた妻の城か。ビター&スウィートな「在宅」小説。最初の短編から引き込まれる楽しさでした。○サニーデイズは専業主婦の主人公がインターネットオークションにはまってしまう話なのですが、出品した直後から彼女は入札者の数が気になりだし、その後も購入者の評価に心乱れ、その様子はこのブログなどでもありえることなのでとっても身近すぎて恐かったですね(笑)。○ここが青山 『ここがせいざん』と読むのですが、会社が倒産し主夫となった主人公の意外な落ち着き振りがとても楽しめました。○家においでよ 妻が家を出た。なにもなくなった家に自分好みの家具をそろえるため、毎週家具屋めぐりを始めた主人公の家に同僚たちが毎晩集まり始めてしまう話。『…男が自分の部屋を持てる時期って、金のない独身生活時代までじゃないか。でもな、本当に欲しいのは三十すぎてからなんだよな。CDやDVDならいくらでも買える。オーディオセットも高いけどなんとかなる。けれどそのときは自分の部屋がない…』この言葉は沁みましたねぇ。○グレープフルーツモンスター 新しく内職を引取りに訪れた営業マンに会った夜から、とんでもない夢を見始めてしまうようになってしまった主婦の話。妄想の大暴走という感じが笑えました(笑)。○夫とカーテン 何度も仕事を変える夫が「カーテン屋を始める」とまたまた言い出した。困り果てるイラストレーターの妻だったが、夫が転職するたびに自分に起こっていた変化に気づく話。○妻と玄米ご飯 ユーモア小説作家の苦悩を描いたこの話が一番好きでした。普通のサラリーマンから、はからずも売れっ子小説家となった主人公。その妻が急にエコやロハスに目覚めだします。その様子を冷静に見つめる主人公がいい味出てました。しかもネタに尽きた主人公は身近なこのロハスな人たちを小説の中で描きたくてしょうがないのですが、読まれたら自分のことだとわかってしまうと思いとどまります。しかし…、そんな展開が作者の奥田さんそのものなのではないかと思うとまたまた笑えるのでした(笑)。全体的に主婦を笑っている気がするのにまったく憎めない物語。奥田さんにうまく丸め込まれて思うつぼという感じでしょうか(笑)。ユーモア小説家バンザイ♪
April 25, 2007
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十八年間音信不通だった姉が、意識不明で救急病院に搬送された。重傷の火傷、頭部の銃創。それは姉が婚姻届を出した翌日の出来事だった。しかも、姉が選んだ最愛の夫は、かつて人を殺めた男だという……。姉の不審な預金通帳、噛み合わない事実。逃げる男と追う男。「姉さん、あなたはいったい何をしていたんだ……」慟哭の恋愛長編。書き込み忘れしてましたけっこうあるんですよね(笑)。次々読んでいるというのにPCに向かう間が取れなくてそのまんま…あるとき誰かのHPで紹介されていて「あ~これ読んだ読んだ♪私なんて書いたっけ…」といって振り返ってみてびっくり!書いてなかった・・・。なんてことが(笑)というわけでチョット前に読んだ本です。読み始めてすぐ、若い医者である主人公のもとに、たった一人の肉親だというのに18年間かかわりがなくなっていた姉が危篤だと警察から電話が入る、という衝撃にこの本のこれからの展開の早さと恐ろしさを予感せずにはいられないのでした。久々に真保さんらしいサスペンスたっぷりの恋愛ものね♪とうれしくなったりしていました。ICUで明日をも知れぬ様態のままの姉。まるで罪を償うかのように必死に彼女の18年もの足跡をたどり始める主人公の姿と、明らかになってゆく姉の波乱に満ちた人生にただならぬものを感じさせら読み始めたらやめられないのでした。もちろん真保さんのミステリーですからいろいろな複線も楽しめました。しかし過去の作品もそうなのですが真保さんって女性の書き方が浅い感じがしてしまうのです。主人公の一途さはとてもわかる気はするんですけどお姉さんの生き方にちょっとリアルさが足りないような、机上の空論的なものを感じてしまったのですがわたしだけでしょうか。ちょっと毒々しいまでに派手な色ずかいのこの本。なるほどねぇ。。。と一息ついて表紙を見返して読み終えるのでした。
April 17, 2007
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鬼才モリミが放つ、キュートでポップな片想いストーリー!「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。二人を待ち受けるのは奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大転回だった!これは本屋さんで買わなくては!!こんな文章を書いてみたい。こういう雰囲気に包まれていたい。そんな本でした。大学のクラブの後輩に一目ぼれし、なるべく彼女の目にとまるというナカメ作戦を考え、「あっ、先輩。」「いやぁ、偶然だね。」という出会いだけを作るために、それはそれは裏でとんでもないほどの苦労を重ねるのですが、これがどこまでもついていなくて悲しいやらおかしいやら。先輩は彼女が絵本を探していることを聞きつけ、その絵本に偶然手を伸ばして譲り合うというシチュエーションのために、古本市で本をかけての笑えるくらい恐ろしい戦いに巻き込まれます。文化祭では許可を受けずにゲリラ的に上映される演劇に彼女が出ていることを聞きつけると次に上映される場所を探して奮闘し、それを阻止しようとする事務局に追われあわや…。そんな中校内でコタツを広げ鍋を薦める韋駄天コタツも胡散臭くていいのです。『時は大正○年!』と言う前フリで始まりそうな雰囲気たっぷりの物語で、留学する仲間のための打ち上げの様子や、文化祭にかける生徒の一途さが、古き良き時代~という感じがしてとてもうらやましくなりました。摩訶不思議な青春ファンタジー。。。あり得ないのにあり得そう、できればあって欲しいような物語。森見さんの本は初めてだったのですが、噛みしめて読みたくなるとても落ち着いたいい文章、でも語られているのは奇想天外なことで笑えてしまう。それでもちゃんと最後は締めてくれる。読中読後感のよい本なのでありました♪
April 16, 2007
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次男待望の映画をやっと見てきました。彼は先に本を読んでいたので、どうかするとしゃべりそうでヒヤヒヤモノでした(笑)。それはそれは気楽に手放しで楽しめるアメリカ映画でありました♪コメディーモノは小学四年生になりたての彼には吹き替え映画の方が伝わりやすいだろうと入ったのですが、正解でした。裏読みをしてしまうこそくな大人となってしまった私は「これって字幕だったらどう表示されてるんだろうなぁ」などとよぎってしまうこともしばしばでした。次男にとっては楽しく愉快な夢広がる数時間となったようです。映画はこうでなくっちゃね♪
April 14, 2007
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