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2014年02月22日
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カテゴリ: 食事
 食べるべきか、食べないべきか、これまで牛乳や玄米についてはそうした意見に触れる事があり、このコラムでも採り上げた事があります。そこへ新たな食材、小麦が加わるとはパン好きの身としては考えもしない事となっていました。

 小麦を食べる事に関する否定的な意見の出所は、アメリカの医学博士、ウィリアム・デイビス博士の著書、「小麦は食べるな」に端を発しており、循環器系科の医師であり、その筋の権威とされるデイビス博士によると高血圧や肥満、糖尿病をはじめとした多くの生活習慣病の原因が小麦にあるとされ、適切に小麦を食べない食生活へと切り替える事で、多くの症状が軽減されえといいます。

 人類が農耕生活を始め、穀物を主食としてたくさん食べるようになったのは、人類の歴史から見ると僅かな期間という事もできますが、時間的にはそれ程短い期間という訳でもなく、また、そのすべてにおいて生活習慣病に苦しめられていたという訳ではないと反論したくもなってしまいます。

 小麦は中央アジアのコーカサス地方から西アジアのイラン周辺が原産地と考えられ、1万5千年ほど前に1粒系と呼ばれる小麦の栽培が始められています。その後、1粒系小麦はクサビコムギと交雑した事で2粒小麦となり、さらに野生のタルホコムギと交雑して今日見られる普通小麦が生まれています。

 普通小麦が誕生したのは紀元前5500年頃と見られ、メソポタミア地方で栽培が行われた後、紀元前3000年頃にはヨーロッパやアフリカへと伝えられています。そのため少なくとも5000年近い歴史を普通小麦は持つ事となり、生活習慣病が問題となるのは近代のわずかな期間に過ぎないと思えます。

 栽培が始められた頃の小麦は小麦の穂が実り、成熟すると風などによって飛び散ってしまう性質があり、収穫には大変な手間を要していたとされ、その貴重性から小麦は通貨のような物として使われていた形跡が残されているといいます。

 栽培する土地がさらに拡大する中で、小麦の品種に関する淘汰が進み、厄介だった成熟した穂が飛び散るという性質が失われた事で小麦は主食に近い位置を占める事になっていきます。しかし、その当時は小麦のライバルとして大麦が存在し、収量が多く収穫が早い大麦の方が小麦よりも重要な穀物として見られていました。

 その頃、小麦も大麦も粒ごと鍋で煮てお粥のような物として食べられていましたが、挽き臼が使われるようになって製粉技術が向上すると粘りを持つタンパク質、グルテンを豊富に含む事で加工が容易な小麦の重要性が高まり、最も重要な穀物として捉えられるようになっていきます。

 中国へはシルクロードが開かれた紀元前一世紀頃に伝えられたと考えられていますが、当時の中国で主食となっていた粟や米と比べると粉に挽かなければ食べられないという一手間の多さが妨げとなり、自動的に粉に挽いてくれる水車が発明されるまでは大きな普及には至っていません。



 そうした小麦が庶民の生活に溶け込んでいくのは18世紀以降の事とされますが、それにしても生活習慣病が問題となるには悲観的な開きが大きく、どことなく小麦と生活習慣病の関係は薄いようにも思えてしまいます。





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最終更新日  2014年02月22日 07時47分49秒
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