nipparatの日記 囲碁 不思議体験 

nipparatの日記 囲碁 不思議体験 

Sep 16, 2008
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テーマ: 囲碁全般(752)
カテゴリ: 囲碁
※2回戦


 白の森選手の弱石が二つある。それを分断している黒石に手を入れる前に、行きがけの駄賃で黒から利かしを打った場面。次に白を切りとって生きる手があるので、受けるとばかり思ったら、ここで白が反対側から一線にコスミ。
 「ん?何だこれは?」一瞬意味がわからない。岩井選手もおそらく一瞬何の事かと思ったはずだ。ただ、ここで岩井選手の手が完全に止ってしまった。

 「あら?」と思ってよくよく読むと、生きるはずの黒石の半分がどうしても助からない。そこが取られると弱い白石が全部繋がってしまう。岩井選手愕然としたことだろう。白の勝ちとなった。
 利かしに来た瞬間の際どい切り返し、相手の隙を絶対逃さない森選手の恐ろしさが出た一局だった。

※3回戦
 二日目の三回戦は、どの局も注目対局ばかりだ。

中園・向島戦
 黒番中園選手の豪快な中央作戦の一局となった。最近、中園選手はこういう展開が多い気がする。おそらく意識的に棋風を変えているように思う。ただ、どんなに豪快な模様作戦でも無理をせず最後は細かい碁になる所が面白い。

 それでも白は常形の一間に構えたのだが、黒はハネにあるより働きと考えたのだろう。その柔軟な発想には感激した。同時に、何も考えずに頭をハネてしまった手が敗着となった自分の碁が情けなくなった。

金沢・土棟戦
 決勝のような顔合わせだが、見ごたえも3回戦で一番であった。
 金沢選手の白番。白の高目から外ツケ引き外切り定石、白抱えに黒手抜き、白桂馬に黒手抜き、さらに白から桂馬で圧迫に黒手抜き、と我が道を行く序盤の駆け引きが面白かった。

 中盤以降、黒が技をしかけ白が耐える展開となる。終盤には白が黒を取っていた場所が劫になったりで、黒がはっきり良いと思ったのだが、結果は金沢選手の3.5目勝ち。
 黒も途中自信を持っていたような雰囲気だったのだが、どうして白勝ちになったのか訳がわからない。大会を通して金沢選手の終盤の強さに強烈な印象を受けた。
 昨年の覇者土棟選手も貫禄十分で、本格派で落ち着いた打ちっぷりに感心した。

吉田(晃)・伊達戦
 最近各棋戦で大活躍の伊達選手の碁を見るのは初めてなので楽しみにしていた。相手は、まだ全国優勝がないのがアマ囲碁界7不思議になっている吉田選手。

 序盤中盤と黒の吉田選手の打ちまわしが冴える。アマ界の秀策というべき美しい碁は健在だ。勢いに乗っている伊達選手も、吉田選手相手にこの碁をひっくり返すのは無理だろうと思った。
 この碁でギョッとしたのは、中盤吉田選手のノゾキに対して伊達選手が反発して地で頑張った手。おそらく誰でもツグ事しか考えない局面、吉田選手もノータイムでノゾいたので手抜きはまさかと思ったはずだ。 

 中盤から終盤にかけて白が必死に頑張る。黒はやや楽観して着手が緩くなった気がする。だんだん細かくなる。そしてついに逆転、白の1.5目勝ち。

 この結果は見ている方もショックだった。あれだけ打ち回していたのに、最後は若さの粘り勝ち。若さが憎い!
 伊達選手が最近好成績を上げているのも納得できた。一局を通して一瞬たりとも集中力を切らさず、一瞬のチャンスをものにできる能力は素晴らしい。

平田・斉藤戦
 3回戦で一番面白い碁だった。福島の斉藤選手、全く知らない若い選手だったが随所に魅せてくれた。


 どう打開するかと注目していたら、下ハネからカケツギ、黒アテに劫に弾き。面白い!
 序盤早々でトンでもない劫争いが始まる。白から中の一子をアテる劫立てがあり、意外と一筋縄で行かない。さすがの平田選手も初めての変化のはずであり、時間を注ぎ込み考える。

 対角の隅でも面白い形ができる。定石形に進むかと思った瞬間、平田選手が変化する。見たこともない分れになる。これはさすがに思いつきではなくて研究だと思う。平田選手、今も棋士の研究会などに参加して勉強していると聞いたことがある。もしかしたら、ある程度知られているの変化なのかも知れないが、それにしても恐れ入る。

 黒の変化が成功して一本取った感じになった。封鎖されると白の石に目がないので、白は外に出て行くと思った次の瞬間、白の次の一手を見て2mほど飛び上がってしまった。

 何と白の一手は、第一線にハネ。その方向は黒の確定地ではなく模様なので、普通にハネツギになっても白が辛い。ただこの手の意図は良くわかる。ハネツギになれば封鎖された時に生きることができるのだ。この手には善悪を超えた工夫と執念を感じた。

 ただ黒は外して一間に受ければ、模様が固まる上に白の目も増えない。当然一間飛びかと思ったが、次の黒の手にも驚かされた。
 何と、ハネを無視して上を封鎖、白は跳ね上げて黒模様に進入。周囲が広いのですぐに目を取れる石ではない。模様が荒れてしまうのだが、黒は寄り付き味を残して満足し、他方面に向かう。

 この黒の打ち方には恐れ入った。何と言う若さだろう。最善手かも知れないが、この手が打てるだろうか?すでに碁は優勢、さらに一間に受けて確実に得できる場面で敢えて夢のある方の手を選ぶ姿勢に魅せられた。
 その後も白は大暴れし、最後は玉砕。芸では遥か上の相手に最後まで全力で向かって行く若い斉藤選手の闘志が眩しかった。
続く





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Last updated  Sep 17, 2008 01:05:19 AM
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Comments

nipparat @ Re[1]:追悼 畑正憲氏(04/08) GO!さんへ  ぜひお楽しみください。今回…
GO!@ Re:追悼 畑正憲氏(04/08) 11/11にしずおか囲碁まつりでまた伺う予定…
GO!@ Re[2]:追悼 畑正憲氏(04/08) nipparatさんへ 久能山東照宮は行ってみ…
nipparat @ Re:追悼 畑正憲氏(04/08) あまり確認しておらず、返事が遅くなりす…
GO!@ Re:追悼 畑正憲氏(04/08) しばらくご投稿がなかったので、案じてい…

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