アニメや映画・ゲームなどのキャラクター仮装を楽しむ若者たちは、我こそは目立たんとばかりにコスプレをアピールし、お気に入りの仮装をした人を見つけるや声をかけ一緒に写真を撮るというのだが、何しろ公道に広がって撮影が行われるものだから、私のようにハロウィン以外の目的で渋谷を訪れた人には交通の妨げとなり、ほとんど身動きがとれない状況になってしまっていたのだ。中には仮装をしていない通行人の女性にまでも悪ノリでナンパをするといった事例もあって、三流大学の新入生歓迎コンパのノリが街中に広がっているとの批判もされていたそうなのだ。「我が物顔で渋谷に集まってハロウィンだか何だかよくわかりませんが、まさに乱痴気だ」という地域住民の声も上がっている。
普段からクラブ帰りなどの若者が多い渋谷では朝方にはゴミが散乱している光景が日常だそうなのだが、それでも当日は昨年の反省をふまえ警視庁は警備人員を昨年の4倍の約800人にし、渋谷区も着替え用のテントやゴミ箱を設け、衣装などが路上に散乱しないよう対策を強化したのに、マナーとモラルというものがない状態だったというのだ。ハロウィンでは仮装衣装やガラス瓶にペットボトルなどが散乱し近くの店の従業員らが清掃に追われたため、今年は渋谷区が複数のゴミ箱を設置することにしたというのだ。しかしそれでもポイ捨てられたゴミを翌日に処分していた仮装姿の若者からは、「だって渋谷はゴミ箱が少ないじゃないですか」というような声が聞かれたというのだ。
JR東日本が発表した「各駅の乗車人員 ランキング」で5位の渋谷駅は1日平均で371,789の利用客があり、東横線と副都心線の相互直通運転が開始されたこともあって埼玉や横浜からも多くの若者が集まるようになったといわれている。ゴミを翌日に処分していた仮装姿の若者のコメントにもあるように、渋谷駅周辺にはゴミ箱の設置がほとんどないのは渋谷だけのことではなく主要エリアにもあてはまる東京の特徴だというのだ。これらには地下鉄サリン事件やアメリカでの同時多発テロ事件などを受けて、東京都内のテロ対策が強化され次第に街からゴミ箱が消えていったという経緯があるという。観光都市のスイスやパリなどには当然のこと、テロに見舞われたニューヨークの駅構内でさえも多くのゴミ箱が設置されているそうなのだ。
こうした観光都市に比べると東京ほどゴミ箱が少ない都市は珍しいというのが現状だという。ニューヨークのゴミ箱はテロ防止のため厚いスチール製の円筒状になっており、爆破されても周囲に飛び散らない構造になっているという。渋谷のハロウィンでも仮装をした外国人やお祭り騒ぎを楽しもうとカメラを構える外国人観光客の姿も多く見られたそうなのだ。たしかに路上等にゴミを放置するハロウィンの参加者には困ったものなのだが、ゴミが散乱した渋谷の掃除をするボランティアの若者も数多くいるそうで、これから2020年の東京五輪を控え観光客や若者たちのゴミ問題だけでなく、その背景にあるテロ対策についても考えねばならない時期にさしかかっているのかもしれないようなのだ。
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