集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」からの乗客の下船が終わったが、これまで陰性の乗客 1000 人以上が下船し、外国からのチャーター機ですでに759人の外国人が出国して特別機で帰国している。まだ船内には濃厚接触者など1000人程度が残っていて濃厚接触者は陰性の乗客が下船した後国が用意した施設で健康観察を続けることになっていたが、そんな中で菅義偉官房長官は閣議後の会見で新型コロナウイルスの感染予防で品薄状態が続くマスクについて、今週は中国の生産再開や国内企業での24時間の生産体制により例年の倍以上の1億枚を供給していると述べた。今月からは月産6億枚の供給が可能となるようさらなる増産を働きかけてもマスク不足は解消していない。
中国武漢発の新型コロナウイルス感染拡大により日本各地のドラッグストアやコンビニの店頭からマスクが消えてから早くも一月が過ぎているが、家庭向けはもちろん病院や介護施設などで使う医療向けでもマスク不足が深刻化しているという。日本衛生材料工業連合会の統計データによると日本で流通した家庭用・医療用・産業用マスク約 55 億枚のうち、輸入が約 44 億枚で国内生産は約 11 億枚となっている。 8 割を主に中国からの輸入で賄っているのが日本の現状なのだが、菅官房長官は 新型コロナウイルスの感染拡大に伴うマスク不足を踏まえ、「できるだけ早く品切れが緩和されるよう官民連携して取り組んでいきたい」と強調した。国内主要メーカーが 24 時間態勢で増産し例年の 2 倍以上の供給を確保しているという。
マスクの品切れ・品薄状態が続く間でドラッグストアよりもコンビニで少量パックの商品が並ぶケースが目立っているが、流通の構造上直営のドラッグストアよりフランチャイズ店のコンビニのほうが欠品に厳しく優先的に納品されるからだという。「エリエール ハイパーブロックマスク」などを販売する大王製紙の広報課は「フル生産体制です」としており、供給に全力を挙げているが週が明け以降も店頭にマスクが並んでいる様子は見られないという。マスクを販売するユニ・チャームの直販サイトでも「マスク・ウェットティッシュは受注集中のためお届けにお時間を要します」との表示が出ているというが、夜に入荷しても朝には売り切れてしまうコンビニがほとんどでこの状況は少しも変わっていないという。
マスクの流通に携わる関係者からは医療や介護の現場に優先的に配分されるようだとの話が一部から聞こえており、赤羽一嘉国土交通相は新型コロナウイルスの感染予防対策としてタクシー業界団体向けにガーゼマスクを 1 万 2000 枚確保したと明らかにしているという。厚生労働省の協力を得て調達したもので発送する予定だというが、緊急対策として洗って再利用できるマスクを全国ハイヤー・タクシー連合会に 1 万 800 枚と、全国個人タクシー協会に 1200 枚送るという。国土交通省自動車局によると全国のタクシー運転手は約 31 万 5100 人だが、公共交通機関の運転手らに対するマスクの供給は医療機関と同様に重要という認識を示した上で「公共交通機関でマスクが着けられないということがないように努力したい」と述べている。
一億枚の国家備蓄予定分から 1000 万枚振り分ければ各タクシー運転手が一カ月は安全に仕事ができるという。日本交通は先月末からマスクの着用を義務付けているが、川鍋一朗会長は「マスクや消毒液は残り1週間分ぐらいならあるが、その後は足りなくなるかもしれない」と述べ政府の対策に期待感を示している。国土交通省は全国のタクシー事業者などに対し乗車前の検温で乗務員の健康状態把握に務めるなどの通達を出しており、これを受け日本交通は検温以外にも車内換気の徹底やシート・ハンドルをはじめとした車内の消毒などの対策を進めている。あらゆる物の生産を中国に頼りできた製品が日本にやってくる流通過程も複雑を極めているが「次に何の在庫が無くなるかを知るには、店頭を見るしかない」という。
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