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お料理、特に揚げ物などをしていて天ぷら油が眼に入りかけたことはありませんか?高温の油が眼に入ったらどうなってしまうのかちょっと心配ですよね。 ところが人間というのは良く出来たもので、現実にはなかなか油が眼に入ることはありません。危険を察知して瞬間的に眼を閉じるので、「眼に入った!」と思っても実際はまぶたに油が当たっただけということが多いんですね。 先日もある患者様が「天ぷら作っていたら揚げ油が目に入った。滅茶苦茶痛いので飛んできた」といって来院されました。私が「意外と本当に眼に油が入ることはないんですけどね。良く診せて頂きましょう」と拝見すると、、、、、、 油、本当に眼に入っていました。ちょっと珍しいですね。上の写真で緑色に丸く変色している部分がそうなのですが、高温の油が当たって黒目(角膜)に炎症・点状の細かな密度の高い傷に加えて一部上皮欠損を起こしています。黒目は非常に敏感な部分なので、このくらいの傷でもかなり強い痛みが出ることがあります。 目薬と眼軟膏を処方して本日再診して頂いたのですが、 ほとんど治っていて私もホッとしました。 このくらいの傷だったらすぐ治るには治る訳ですが、かなり強い痛みが出るのは事実なので、皆様も料理中には油が目に入らないように十分注意してくださいね。
2009.10.19
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我々人間は外界からの情報の80%を目から手に入れていると言われており、だからこそ目はとても大切なわけですが、その目の真ん中に開いているのが瞳孔です。この瞳孔なんですが、動物によって形が違うことは割りと知られていません。 (眼科セカンドオピニオン 銀海舎 P53より) 我々人間が真ん丸なのは皆様ご存知でしょうが、ヒキガエルはなんとハート型なんですね。 ネットを巡回していると、なんと 「ハート型の瞳孔を持つ猫」 もいました!。 ただ残念ながらこの猫は「エイプリルフール用の合成写真」だったようなのですが(私は本物かと思ってかなり驚いていたのですが)、 実は 人間でも「ハート型の瞳孔」を持つ方が存在する のです。 これはある患者様に検査のために散瞳薬という目薬を入れたところなのですが、上方の虹彩(茶目)の一部がその後ろの水晶体とくっついている関係で、偶然「ハート型」になっています。 患者様に「目がハート型になっていますよ」とこの写真をお見せしたら大変喜んで頂いたのですが、とっても珍しいものが見れて私も嬉しかったです。こういった様々な楽しいことがあるので私は外来診療が大好き なんですね。
2009.08.04
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さて、「目の周りに塗るだけでそれがじわじわ滲みて目の中のかゆみが取れる」という魔法のような世界初の機序を持った、アレジオン眼瞼クリーム。 こちらが実際の製剤になります。 ノズルがめちゃ細いです。目の周りにちょっとだけ塗るものなので、あまりクリームが多く出過ぎないようにと言う配慮だと思います。日本ナンバーワンの眼科薬メーカーの参天製薬のお薬と言うのは、使いやすいようにいつも隅々まで細やかな配慮がされているんですね。 院長が寝る前に塗ってみました。実際にアレルギー持ちなのですが、次の日の朝の目のかゆみが明らかに少なくなっていました。これはやはり効能が期待できそうです。 このアレジオン眼瞼クリーム、専門的に言うと、瞼(まぶた)の皮膚を通過して目の玉(眼球)と白目(結膜)に届いてかゆみを取ってくれると言うものです。 ただこれを実際に製品化するには極めて高度な製剤技術が必要で、「薬を溶かす技術が世界一」の参天製薬だからこそ実現できた薬だろうと思います。おそらく他の後発メーカーには至難だろうと思いますし、参天製薬のレベルの高さに眼科専門医として改めて感嘆しました。 今のところ、発売は5月下旬と噂されています。実際に世に出る日が楽しみですね。
2024.05.14
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本日の日記は眼科専門医向けのやや特殊な内容となっております。ご了承下さい。 さて、白内障手術と言うのはテレビ等でも喧伝されているようにほとんどの場合は短時間でうまく行くわけですが、我々手術する外科医側から見ると、それぞれの工程での一つのミスが命取りになることもあり、術中は全く気を抜くことが出来ません。 これは白内障手術というものが極めて完成度が高く無駄がないものとなっているためですが、そのため手術終了後には毎回「廃人同然」というくらいの疲労感に襲われます。毎週極限の緊張感・ギリギリのストレスポイントの中で戦っているので、我々白内障手術専門医は常に覚醒して持てる能力の全てを発揮しなければならない状態で働いており、だからこそ患者様にとって最善のクオリティの高い眼科医療を提供できていると言う部分もあります。 さてこの「患者様には優しいが、手術する側から見ると余力が少なく厳しい」白内障手術を実際に行うに当たっては様々な無数の注意点があるわけですが、手術に臨むその瞬間にたくさんの注意点を同時に思い浮かべることはなかなか出来ません。そのため私は大切なポイントに絞り下記の3つのことに気を付けています。 1. なるべく大きなCCC(水晶体の前嚢という袋の表面をめくる手技のこと)を作る。 2. 短めの強角膜切開(白内障の手術操作のための傷口のこと)を作る。 1は、ハイドロダイセクション時のCBSを防ぐこと、US中の前嚢チョップを防ぐこと、術中の操作性を上げること、様々な効果がありますし本当に大切です。 2は、術中の操作性が良くなり、結果としてOPの難易度が下がり安全に施行することが出来るのでこれまた大切です。切開(3面)が長すぎると、角膜に皺が寄って極端に視認性が落ちたりとOPの難易度が急激に上がったりすることがあるので、常にそうならないように気を付けるべきです。 そして、上記の1.2を確実に実現するためには、 3. 常にZ軸(目の縦軸方向)を意識してOPをする。 ことが大切です。CCCの最初の穿孔についても十分な角度が無いと池田式CCC摂氏がうまく刺さらないですし、強角膜切開の4面の穿孔時にもZ軸方向へのベクトルはやはり必要です。またUS中に適切な高さで核を処理するのにもZ軸の意識は大切ですし、最後のIOL挿入にしてもZ方向へのベクトルがなければ永遠にクルクル回ってしまうということにもなりかねません。 このようなシンプルな原則を胸に、そして万一のトラブル発生時には多くの引き出しから適切で最適な選択肢を選び取れるように、これからも毎日の勉強を続けて行きたいと考えています。
2011.10.11
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目の中に入った異物や汚れを洗い流すために使う、洗眼薬という市販薬があります。小林製薬の「アイボン」がその代表的な商品です。 私も使ったことがありますが、アイボンで目を洗うとすっきりして気持ちがいいんですね。目にゴミが入ったとき・花粉症で眼が痒くてどうしようもない時などに大変重宝する良い薬だと思います。 ところがこのアイボン、使っているうちにその爽快感・スッキリ感が癖になってしまい、1日に何十回も使用している 「アイボン中毒、略してボン中」 とでも言えるような状態の方がいるんですね。 先日、「目の調子が悪くてアイボンを1日に20~30回くらいしていたのに、治らないので来た」という患者様が来院されました。目を拝見すると、 黒目(角膜)にたくさんの傷(上の写真で水色に濃く染まっている部分)が入ってしまっています。 これはアイボンのしすぎで、ムチン層という黒目の表面を守って涙の状態を安定させる大事な物質が洗い流されてしまったことによるものです。例えて言うなら、 アカスリし過ぎて皮膚がズル剥けて真っ赤っ赤 というような状態ですね。 また、我々の涙には「ばい菌をやっつける天然成分」が元々入っています。アイボンをしすぎるとこの大切な天然成分も流れてしまい、逆にばい菌への抵抗力が減ってしまうこともあるので注意が必要です。 さて、この患者様にはアイボンを中止し点眼薬を処方したところ、1週間後には、 症状はほぼ改善しました。 アイボンは良いお薬ですが、使いすぎるとこのようにかえって逆効果になることもあります。なので、アイボンを使うときには用法・用量(1日3~6回)を必ず守るようにして下さいね。
2010.05.08
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さて当院では新型白内障手術機械のインフィニティを購入したところですが、今日は製造販売元の日本アルコン社のサージカル担当の方にお願いして、A-Vit(エービット:前部硝子体切除)の勉強会をしました。 このA-Vitというのは、白内障手術時に後嚢破損(こうのうはそん)という合併症が起こった場合にトラブル処理に使う機械です。登場頻度は極めて低いのですが、だからこそ事前の入念な準備が必要なんですね。 本物のセットを開けて、インフィニティに接続して使用してみます。 このインフィニティには、アキュラスという硝子体(しょうしたい:目の奥のドロドロした物質)切除用の本格的で切れ味の良いカッターをつなぐことが出来ます。しかも25Gという極めて細い最新型の物が使えます。傷口を拡大せずに小さな切開創から使用できるので患者様の負担も軽いんですね。 ただ、インフィニティで唯一問題なのは、A-Vit使用時に毎回「Vitrectomy Cut I/A」モードを選び直さなくてはならないことです。元々の設定が「Vitrectomy I/A Cut」モードになっており、これを修正できないんですね。 A-Vit時には、必ずCut→I/Aモードを最初に使用する必要があります。I/A→Cutモードを先に使うと網膜はく離などの重い合併症に繋がることがあるので要注意なんですね。 素晴らしいマシンであるインフィニティがこんな単純なおかしな設定を修正できないというのは不思議な気がするのですが、サージカル担当の方によると「アメリカでは専門が別れているので、白内障手術専門医は本当に白内障しかしない。トラブルが発生して追加のA-Vitが必要になるとそのまま硝子体手術専門医に送るシステムになっておりあまりA-Vitを使わないので、多分そのせいで細かい設定に大らかで気にならないのでしょう。」ということでした。 うーんなるほど、機械を通してその国の医療システムが透けて見えると言うことなんですね。とっても勉強になりました。
2011.10.13
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さて、いよいよその発売が迫ってきたドライアイの大型新薬、ムコスタ点眼液ですが、先日ようやくサンプルを戴けたので実際に試してみました。 ユニットドーズ製剤と言って、使いきりタイプの点眼剤です。早速開けてみましょう! おぉ、白色の濁り液です。うーん、これは溶けにくくてお薬の成分を目薬に仕上げるのに苦労したでしょうね。。。大塚製薬の開発者の方、お疲れ様でした。では早速点眼してみます。大型新薬ですので、院長の私はもちろんスタッフの皆も挑戦してくれました。その感想は、、、、 点眼した後、1分くらい目がかすんで見えない。 鼻から口にかけてかなりの苦味が来る。 あたりの、ネガティブな意見が最初に多く出ました。 添付文書にも苦味が多いということは書いてありましたし、ホリエモンではないですが、まあ「想定の範囲内」ですね。(笑) ただ、点眼後しばらく経つと、 なんだか目がスッキリした。 目がしっとりと潤ってきた。 目が暖かい感じで調子が良くなった。 など、やはりムコスタ点眼液のパワーを実感させるポジティブな感想が多く出ました。ムコスタ点眼液は、対照薬となった参天製薬の歴史的名薬の0.1%ヒアレイン点眼液に対して有意差を持ってドライアイ症状を改善するというデータが出ていますし、やはり力はありますね。 私の個人的な感想を言うと、「点眼直後のかすみや苦味は確かに弱点だが、それを上回る効果は間違いなくある! 少なくとも重症のドライアイに苦しむ患者様はトライする価値のある目薬である。」というものでした。 またこのムコスタ点眼液は、先行して発売されている同じ「ムチン産生促進薬」のジクアス点眼液とは作用の仕方が違うとの事なんですね。 添付文書には色々と難しいことが書いてあるのですが、ムコスタ点眼液が実際にどういう理屈で効くのかはまだ分かっていないとの事です。 ただ、ムコスタはジクアスの作用点であるP2Y2受容体には影響を及ぼさないことは分かっており、もしかすると、ジクアス点眼液とこのムコスタ点眼液を併用すると1+1=2のように、ドライアイにもっと効くのではないか?という期待も膨らんでしまいます。 いずれにしても、近い将来のムコスタ点眼液の登場が本当に待ち遠しいですね。
2011.11.09
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さて先週からデモを開始させて頂いた、新型白内障手術機械のステラリスですが、今日はそのファーストインプレッションを個人的なメモ書きとして残しておきます。なお、本日の日記は眼科専門医向けのやや特殊な内容となっていますことをご了承下さい。 1. 新開発の超音波ハンドピースは確かに出来が良い。 贅沢な6クリスタルなのが効いていて、思ったとおりの滑らかな溝がシャリシャリ掘れるので手術のストレスが少ない。この点、溝堀り能力では抜群の日本アルコン社のインフィニティとほぼ同格と感じる。 2. 溝堀後のセグメントモードだが、ハイドロダイセクションがしっかり回ってかつ2分割がきちんと出来ており、チン氏帯が普通ならばという前提付きだが、とにかくセールス文句通りのパフォーマンスで目を見張る。ベンチュリーならではの吸引力・水晶体核の保持力は驚異的であり、今のところ4分割して核処理をしているものの、実際には2分割さえ出来ていればUStipを前房のセイフティーゾーンにのんびりと置いているだけで魔法のように処理してくれる。 3. またその前房の安定性も掛け値なしに凄い。フットペダルを自信と確信を持って踏み込める感じで、ステーブル・チャンバー・チューブ・システムの威力をまざまざと感じる。極めて安全な手術を行える感じで、嬉しくて術中に「思わず笑みがこぼれる」ほどである。 4. IAでも特に違和感は感じない。アボット社のシグネイチャーのペリスタポンプでのIAの精度には叶わないと思うが、合格点のレベルには達している。 5. 逆に欠点としては、この間の福岡でのJSCRS2011でも指摘されていた通り、術中にエアバブルは確かによく発生する。これは率直に言ってかなり邪魔で手術のストレスになる。 6. 売りのステーブル・チャンバー・チューブ・システムだが、一日に5例くらい連続で手術をすると、やはり詰まってしまうことがあるようである。 実際のデモ中でも連続4例くらいが限界かな?と言う感覚があった。詰まると手術効率が急激に落ちるとの事で、危険でもあるしコストがかさむという問題もある。 7. 私も含めペリスタマシーンに慣れている術者が多いので、完全ベンチュリーマシンのこのステラリスに対応するには、気を使わなければならない点がいくつかある。具体的にはハイドロと核の2分割を確実に行うことが必須条件であり、手術の基本手技能力に対してはシビアなマシーンである。 8. まとめると、そのステーブル・チャンバー・チューブ・システムは確かに素晴らしい。圧倒的な吸引力と前房の安定性は、「これこそ次世代のマシーンだ」と素直に実感させられる。その一方でいくつかの欠点もあり、現段階ではまだ評価しきれないと感じている。
2011.08.05
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さて当院では日本のトプコン社のOCT(3次元眼底撮影装置)である、 DRI OCT Triton(トリトン)2 を先日四国初導入しました。全国発売が今まさに開始されたばかりの超ホットな新型機となります。 当院では元々トリトン1を2017年に導入していたので、9年ぶりに最新型に買い替えたということになります。 このOCTと言うのは現代の眼科医療においては無くてはならない必須機械であり、日常診療の「大黒柱」とも言える最重要の存在です。買い替えた理由ですが、一番は緑内障と言う病気の検出力が圧倒的に進化したことです。 スキャンエリアが12×9ミリと広くなったことによって、ごく早期の緑内障性変化も見逃すことが無くなりました。デモで機械を持って来て貰って数日で、「これは凄まじい進化だ。新型機だからべらぼうに高価だけど、これは買うしかないな。」と強制的に納得させられた感じでした。 なぜかトプコン社の営業の方はこの「緑内障の検出力の強化」については全然ちっともプレゼンされず違うことばかりアピールされていたのですが、絶対最初にこれをイチオシで言うべきだと思います。というか、自分が営業の立場だったら絶対にそうします。 またそれ以外でも、画像の撮影スピードも凄く早くなりました。これは患者様の検査負担がとても軽くなることに直結します。 当院は「身近でコンビニ的な、気さくな開業医」として、「とにかくお待たせすることなく、スピーディーで快適、そして同時に高品質な医療サービスを提供する」ことを強く意識しており、これからもその目的達成のためにスタッフ一同全力で努力していきます。
2026.03.02
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まだまだ蒸し暑い時期が続きますね。草刈り等の農作業も多く、「目にゴミが入った」などの訴えで受診される患者様が多い季節です。 さて、この目の中なのですが、実に様々な異物が入り込みます。今日はどのようなものが入るのか、いくつかその内の珍しい事例を見て頂きましょう。 ↑ この患者様は以前も紹介したことがありますが、農作業中に田んぼで転んでその時に目にヒルが食い付いてしまいました。非常にすばしっこく逃げるので摘出するのが大変でした。 ↑ この患者様はみかんの摘果作業中に目にゴミが入り「洗っても何してもどうしても取れない」との訴えで受診されました。それもそのはず、蟻が目から振り落とされないように結膜(白目)に足を深く刺してしがみついたまま絶命していました。このありんこも引っぺがすのが大変でした。 ↑ この患者様は、「まぶたの裏で何かがもぞもぞ動いている!」との訴えで来院されました。上まぶたをめくって調べて見ると、ショウジョウバエと思われる2ミリ大の虫が目の中で既に絶命していました。 このように、目の中と言うのは様々な異物が入り込みます。自力ではなかなか取れないもの、取るのが危険なものもあります。ですので、「あれ?何か目にゴミが入ったぞ。」という時には、是非気軽にお近くの眼科専門医を受診するようにしてくださいね。
2012.09.01
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さて、ようやく学会場に到着しました。今回の日記、学会場に着くまでが長かったですね。ただし、この後も激アツな話が続くのでJSCRS参戦記は少しロングシリーズとなる予定です。御了承下さい。 最初に参加したのは、 「全身疾患と白内障手術」というシンポジウムでした。もちろん会場の最前列に座って気合を入れて勉強しました。 この中で勉強になったことを自分用のメモ書きとして下にまとめておきます。一般の方で難しい場合は読み飛ばしてください。 1. アトピー性皮膚炎がある患者様の白内障手術はとにかく要注意。鋸状縁(きょじょうえん:目の奥の網膜の一番隅っこの見えにくい場所)付近の毛様体上皮裂孔や、網膜剥離裂孔を伴っていることが多いので、強膜圧迫による手術中の眼底検査が必要である。 2. 前立腺肥大で排尿障害の治療のためにα1遮断剤というお薬を飲んでいる患者様が激増している。具体的には「ハルナール、フリバス、ユリーフ」などの商品名のものが多い。これらが日本では現在なんと年間で8億個!も処方されている。泌尿器科の先生はカジュアルに気軽に処方するが、これらの薬を飲んでいると白内障手術時に40%の確率でIFIS(アイフィス:術中虹彩緊張低下症候群)というやっかいな合併症を起こす。 これはα1遮断剤が「瞳孔散大筋のブロック」を起こすからだが、α1受容体を選択的に活性化させる「フェニレフリン」という薬剤でこのIFISは予防できる。ただしミニムスという使いきりタイプの点眼剤を個人輸入しないといけない。後、一般的な散瞳剤の「ミドリンP」にもフェニレフリンは入っているが、原液でないと前房内濃度が足りない。ミドリンPには防腐剤が入っているので原液使用は無理。 3. 糖尿病を合併している患者様の白内障手術は非常に多いわけだが、手術前にHbA1C値を3ヶ月で3%以上、つまり1ヶ月で1%以上改善させると、元々中等度以上の非増殖性網膜症では高率に術後に網膜症と黄班浮腫が悪化する(いわゆる糖尿病治療後網膜症)。そのため、内科の先生方に対して我々眼科医側から、「手術のための急速な血糖改善はかえって良くない」ことをしっかりと伝えていく必要がある。 後、糖尿病の基準が11年ぶりに改定されて、「HbA1C6.1%以上」となった。 4. 白内障手術前に抗血栓療法(ワーファリンや、アスピリンなどの抗血小板薬)を一旦中止すべきかどうかということが以前から議論されてきたが、基本的に休薬の必要はない。 (2009年の循環器科の治療ガイドラインにも記載されているとのこと) 白内障術中には0.04%の確率で「駆逐性(くちくせい)出血」という恐ろしい合併症が起こるわけだが、最近は「極小切開なので更に減っているでしょう」と。 「むしろ休薬によって高頻度(1%)の確率で虚血性の恐ろしい脳梗塞や心筋梗塞などのイベントが起こるので、そっちの方が危ない」 とのこと。そのため、「休薬する場合は必ず同意書を戴く必要がある」と。 ちなみに当院では開院時から抗血栓療法薬の休薬はしていません。 非常に勉強になるシンポジウムでした。(続く)
2011.07.06
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現在緑内障の治療では「プロスタグランジン関連薬」という系統のお薬を第一選択薬として使います。眼圧(眼の血圧)を下げる効果が一番強いからですが下に示すのがその代表的な薬(プロスト系)です。 上の写真の中で、左端の 「キサラタン点眼液」 が発売されたのが1999年、この薬の登場が緑内障治療を劇的に変えたといわれる、当時まさに画期的な新薬でした。ちなみに私が眼科医になったのも1999年のことで、それで我々は「キサラタン世代」と呼ばれています。 キサラタンはあまりに画期的なお薬だったためにその後何年もライバルが現れませんでした。数年前からようやく「トラバタンズ点眼液」、「タプロス点眼液」という同系統の薬が発売されたのですが、その薬の効果はキサラタンとほぼ同等で、「もっと眼圧の下がる」キレの良い薬の発売が望まれていました。 10月第一週に 「ルミガン点眼液」 という新薬が発売になるのですが、 この薬は前述の「キサラタン」に対して有意差を付けて眼圧が下がるというデータが出ています。 簡単にいえば 「過去最高の効き目の薬」 ということです。その理由を下の図に示していますが、分かりやすく言えば 「患部に直接ガツンと効く」 ということになります。 ただ、良いお薬には当然副作用もあります。このルミガンは今までの薬よりも 強烈に目が充血する と言われています。早速当院のスタッフにお願いして実験してみました。 右目だけにさしたのですが、 明らかに左目 より強く充血していますね。ただ、肝心の眼圧の方は、 13.7→8.7と確かに良く下がっています。これは期待できそうですね。! この期待の新薬、ルミガン点眼液、発売と同時に当院でも採用します。少しでも緑内障患者様の不安が減ってくれたらと思いますし、私も発売を心待ちにしています。
2009.08.21
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当院では現在、日本アルコン社の「インフィニティ」という白内障手術装置を使用して皆様の手術を施行しています。 このインフィニティは、白内障手術機械の歴史上最も多く売れ、現在世界で最も多く使用されているベストセラーマシンです。発売は2003年と古く既にモデル末期なのですが、この9年間続々と新機能が搭載され、絶え間なくアップグレードされてきたことにより未だに高い戦闘力を誇っています。その最大の特徴は、 通常の白内障手術機械が、水晶体を削るための超音波が縦にしか出ないのに対して、このインフィニティは横にも出るということです。 そして横に出る超音波というのは、縦に較べて効率が良い上に目へのダメージが少ないのです。ただ、横発振だけでは機械が詰まったりすることもあったのですが、 数年前にOzil IP(オジールアイピー)と言って、横発振だけでは無理な場合に必要に応じて縦発振を入れることが出来るようになり、その欠点もほぼ解消しました。 私がクリニックを開業させて戴いている愛媛県八幡浜市は、高齢化率が極めて高く、そのために白内障が非常に進行した患者様が多い地域です。そういった進行した「固い核の白内障」に対してはこのOzil IPを搭載したインフィニティが他社のマシンに較べて相対的に優れていることもあり、 現在御機嫌で稼働中なのです。 このインフィニティ、発売後9年が経過し、その間に欠点・弱点を一つずつ潰してきたためにとにかく完成度が高いです。良く「輸入車買うなら、熟成度の高いモデル末期を買え!」みたいな話がありますが、このインフィニティも全く同じ状況です。そしてインフィニティの製造販売元の日本アルコン社の素晴らしいところは、常に開発・進歩の手を緩めないことです。 白内障手術では、IA(アイエー)と言って、水晶体の皮質という周辺部分を取る手技があるのですが、これには専用のIAチップという道具を使います。このIA中というのは、我々白内障手術専門医が最も恐れている合併症の破嚢(水晶体の袋が破れること)が割と起こりやすい時間帯であり、非常に神経を使います。 今回この大切なIAに関して、日本アルコン社から画期的な新チップが発売されました。 この新型IAチップは、先端が従来型の金属製ではなく柔らかいポリマー素材で出来ています。そして、チップ先端で眼内レンズを移動したり回転させたりすることがスムーズに行えるような表面処理がされています。また、スリーブを確実にセットできるように設計されてもいます。 実際に使用してみてすぐに感じたのは、「とにかく前房(目の中)が安定している」ということでした。スリーブのセットが確実で隙間がないことが影響しているのでしょうか?、後嚢(水晶体の袋の底面)がピシッと安定していて自信を持ってフットペダルを踏めます。 またチップ先端の表面処理も効いています。眼内レンズを思ったように躍らせて粘弾性物質(手術時に目の中を保護しているヒアルロン酸製剤)を快適に安全に除去できます。 逆に欠点としては性能が高くて吸引力が強いので従来型のIAに較べると5センチほどボトルを上げなくてはならないことと、完全ディスポで1本1500円(定価)するということですが、これは一回使って見ればその価値・凄さはすぐに分かると思いますし、当院でも是非採用したいと願っています。そして、全国のインフィニティユーザーの先生方にも是非一度お試し戴きたいと考えています。
2012.09.20
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黒目と白目の境目がどんどん白くなってきたのですが大丈夫ですか? と言う質問を患者様から受けることが良くあります。そうですね、大体1ヶ月に数回は聞かれます。今日はこの問題について考えて見ましょう。 まず結論から言うと、これは 老人環(ろうじんかん senile ring) というものです。「お年のせい」ということですね。加齢によって脂質が沈着して黒目の周りが白っぽくなったものですが、通常は視力低下に繋がったりはしないので気にしなくて大丈夫です。 それではこの老人環が一体どのようなものなのかを具体的に一緒に見ておきましょう。 上の写真で水色の矢印で示したのが老人環です。ちょっと分かりにくいので色を塗ってみましょう。 緑色に塗った所が老人環です。黒目(角膜)の隅っこなので視力などには影響はないので心配しなくてもいいんですね。 そしてこの老人環、70歳以上だと大体80%くらいの方に存在します。なので、 目の白髪 くらいに思って頂いて良いと思いますね。
2016.06.21
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目にゴミが入ったら皆様どうされますか? まず目をこすって取ろうとしたり、それでも取れなければ洗面器に水を張って目を洗ったりしますよね。それでも取れなければ? 眼科を受診されますよね。 今日は 「みかんの摘果をしているときに何かゴミが目に入って、 洗っても何しても取れない」 という訴えで患者様が来院されました。 この摘果というのは「実が小さいうちに取ってしまい、果実の数を制限することにより,1つづつの果実により多くの栄養がいき届くようにし、外観の美しい果実、適当な大きさの果実を残すようにすること」なのですが、私のクリニックのある八幡浜エリアは全国有数のみかん産地で今がその摘果の最盛期ということもあり、作業中にゴミが入って受診される方が後を立ちません。 患者様は強い目の痛みを訴えて苦しんでおられます。早速目を拝見すると、 確かに目に黒いゴミが入っています。ピンセットで軽くつかんで引っ張ってみてもなかなか取れません。良く見てみると、、 なんと、ありんこでした! 足を白目(結膜)に深く刺して落ちないようにしがみついたまま絶命しています。なので、洗ったくらいでは取れなかったんですね。 このように、実は目の中というのは色々なものが入ります。洗っても取れない場合は今回のようなこともありますので、是非お近くの眼科専門医を受診されてくださいね。
2009.08.08
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さて先日の日記の続きです。怖い怖い「白内障術後眼内炎」の発症予防には、手術終了時に前房(ぜんぼう:目の中)に抗菌剤を投与するのが効果的であるという2006年のヨーロッパでの発表は我々白内障手術医に大きな希望を与えました。 そして今回の論文で患者様に投与されたベガモックス点眼液は、 最新の第4世代フルオロキノロン系抗菌剤で、様々なばい菌をやっつけてくれる広域スペクトルと最小発育阻止濃度(MIC)を誇る、現段階で「眼科最強」の戦闘力を持つ目薬なのです。更に防腐剤無添加の目薬なのでTASS(中毒性前眼部症候群)のリスクも極めて低く、投与法も目薬をそのまま目の中に入れるだけという簡単さです。 論文によると、ベガモックス0.1mlを前房内に投与するとその濃度は952μg/mlとなります。ベガモックスが眼の中でばい菌をやっつけてくれる濃度であるMIC中央値は3μg/ml以下なので、単純に考えると絶対に必要な濃度の300倍の濃さで手術終了時の眼の中が満たされることになります。これは凄いですね。眼の中の水(房水:ぼうすい)というのは自分で作っているのでだんだん入れ替わっていくのですが、それでもこの濃度だと術後最低5時間は安全なMIC濃度を保つことが出来ます。 また別の報告では、このベガモックスを目の中専用のBSSという液で10分の1の濃度に希釈して手術終了時に投与する(この場合は前房と言う部分を全置換)というやり方も紹介されていましたが、この場合でも濃度は450μg/ml程度と十分です。 理論的にはこれらは眼内炎予防に驚異的に効果がありそうです。ただこの論文ではベガモックス投与の安全性を実証しただけで、その効果の検討はまさにこれからの課題ではあります。
2011.03.01
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さて今日は新型の眼圧測定装置である二デック社のNT-530P のどこが凄いのかを御説明申し上げましょう。一言でいえば、眼圧と角膜厚(かくまくこう:黒目の厚さの事)を同時に測定できて、測った角膜厚によって正しい眼圧を補正して算出してくれるのが凄いのです。 はい、何言っているのかチンプンカンプンですね。(笑) 分かりやすく解説しましょう。我々人間の角膜の分厚さと言うのは平均すると545マイクロメートル(1ミリの約半分)なのですが、実際にはかなりの個人差があります。つまり分厚い方も薄い方もいるのです。そして従来型の角膜厚を測定しないタイプの眼圧計だと、角膜が厚い方は実際よりも眼圧が高く、そして薄い方は低く表示されてしまうことが分かっていました。 このNT-530Pでは瞬時の測定でそれを補正して表示してくれるのです。具体的に見てみましょう。 この患者様で言うと測定値(AVG)は右が14左が15ですが、角膜厚が右548マイクロメートル、左599マイクロメートルと左目が平均よりはやや分厚い目をされています。なのでそれを補正した眼圧値(COR)は右14、左13となります。 そしてこのNT-530Pがその真価を発揮するのが近視矯正手術のレーシック術後の患者様です。レーシックと言うのは角膜を薄く削って近視を治す術式なので、従来型の眼圧計だと極端に低く測定されてしまうからです。実例を見てみましょう。 この患者様は都会のチェーン店展開をしているレーシッククリニックで両眼の手術を受けられています。眼圧の測定値(AVG)は右が6、左が5と非常に低い(正常値は10~19です)ですが、これはレーシックで角膜をかなり削っていて右が390マイクロメートル、左に至っては320マイクロメートルしかないため、それで非常に低く測定されてしまったのです。角膜厚で補正をかけるとその真実の姿(COR)は右が13、左が15となります。物凄い差ですね。もしもこの患者様が将来緑内障を発症し、そして従来型のマシンで眼圧を測定されるとすると本当の眼圧よりも大幅に低い数値が出ることになり、それで的確な治療が行えないという可能性すらあるんですね。 このNT-530Pを導入して私には1つ衝撃的だったことがありました。以前から「眼圧は非常に低いところで安定しているのにも関わらずどんどんと緑内障が進行してしまう患者様」というのが一定数いらっしゃったのですが、そういった方の多くは実際には角膜厚がかなり薄くてそれで従来型のマシンでは測定値が低く出ていたのです。つまり、実際には眼圧が十分には下がっておらず本当はもう少し強力な治療が必要だったかもしれない、ということなんですね。 このようにNT-530Pは驚異の能力を持ったマシンなのです。この3代目のお利口な眼圧計と共に私はご機嫌な診察の日々を過ごしています。
2015.07.29
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さて先日に続いて今日は、最近の私の白内障手術の進化・改善点についてお話してみたいと思います。 白内障手術では水晶体の前面の膜、前嚢(ぜんのう)を丸くめくるCCCという手技が極めて重要であることは前回の日記でも書きましたが、白内障が進行していると視認性低下のために非常に困難な場合があります。 そういった時には前嚢を染めて見えやすくして手術を行うのですが、数ヶ月前までの私はICG(インドシアニングリーン)という緑色の薬剤を使用していました。ただこのICGは溶解液が作成しにくい、染まりがやや悪いなどの欠点がありました。 そのため、当院では2月から「トリパンブルー染色」という新しい染色法を導入しました。 このトリパンブルー染色液は従来のICG染色液に較べて溶解液が作成しやすく、かつ前嚢が良く染まります。具体的に見てみましょう。 薄い水色に前嚢が綺麗に染まっていますね。上の図のハート型に切れているのがCCCという手技になります。このCCCの後、水晶体の中身を吸い取って行くんですね。 このように当院では常により安全な手術を目指して努力を続けています。もちろんこれからも更に術式を洗練させて、八幡浜地域の皆様の目の健康づくりのお役に立ちたいと考えています。
2010.04.23
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さて、必死の思いで発売に漕ぎ着けたムコスタ点眼液ですが、実際に出来上がってきた製品は成分が安定しにくいために一回毎の使いきりタイプのみで、液は濃く白濁し点眼すると強い苦味を感じる、という典型的な、 「良薬口に苦し」のややハードボイルドな使いにくい目薬 でした。 また、ドライアイの患者様には高齢者の方が多いのですが、この1回1回使いきりのユニットドーズの目薬は、「開封が難しい」、「小さいので点しにくい」などの大きな欠点がありました。 また、目薬が白色の濁り液なので、点眼した後にしばらく目がかすんで見えにくくなる、点した後に強い苦味が来る、というのも大きな欠点でした。 このような弱点から、発売後のムコスタ点眼液は臨床の現場では「かなり処方しにくい」、「処方した後に患者様からのクレームが出やすい」、気難しい薬となってしまいました。 製造販売元の大塚製薬では発売前のマーケティング調査で、「使いきりタイプで濁り液なので、それにより普通のフルボトルタイプの無色の点眼液だった場合に較べて売上が1割程度減る。」というデータが出ていたということなのですが、私は初めてムコ点の見本を見た瞬間に「これは実力の3分の1売れればいいところだろうな。」と直感したくらいだったので、やはり発売前のマーケティングに甘さがあったのは事実ではないか?と個人的には考えています。 そしてこの厳しい状況に輪をかけたのが、ライバルの参天製薬のジクアス点眼液の「トータルでの圧倒的な完成度の高さ」でした。 参天製薬は「クスリの成分を溶かして目薬に仕立て上げる能力」では世界一と言われており、またその眼科薬メーカーとしての長い歴史から、「使いやすくて点しやすい」目薬を作ることに長けています。 具体的には参天製薬の目薬というのは、 瓶の真ん中にくぼみ(ディンプル)があって、高齢者等指の力が弱い方でも楽に確実に点眼しやすい工夫がされています。 また目薬に含まれる防腐剤というのは、角膜(黒目)や目の周りの皮膚の荒れを引き起こすことがあるのですが、参天製薬はこの防腐剤に関する 特許 をたくさん持っており、他社よりも目に優しくて安全な目薬を作ることが出来ます。 つまりジクアスは「点眼薬としての総合力が抜群」で、しかも販売でも既に圧倒的に先行していたのです。 発売が遅れ、しかも製品としての総合的な洗練度もガクッと落ちるムコスタ点眼液、その戦いに数多くの苦難が待ち受けていることは初めから明らかだった、残酷な言い方をすれば「最初から勝負は見えていた」ともいえるんですね。(続く)
2013.03.11
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さて白内障手術をするときには、開瞼器(かいけんき)という目を開く器械を使うのですが、私が開業をしているエリアは、目が奥に窪んでいたり(奥目)、目が細くて物理的に開きにくい(狭瞼裂:きょうけんれつ)患者様が多いんですね。 そのため手術の時に術野に水が貯まって見えづらくて苦労すると言うことが以前からありました。それに対しては吸引開瞼器という、術野の水を吸い取る器械で対応してきたのですが、最近新型の、 この「秦/三好氏 調節式開瞼器 吸引孔付」という器械を買って使ってみたところ、べらぼうに使い勝手が良く手術の安全性が上がることが分かったので、たくさん買い増しして白内障手術全症例に導入しました。 一般的な吸引開瞼器は、水を吸い取る吸引孔が大きすぎて結膜(白目)を吸いつけてしまって水が吸えないというトラブルが割りと頻繁に起こって使いにくいものが多いのですが、この「秦/三好氏 調節式開瞼器」はちびっこい孔がたくさん開いていてその弱点が劇的に緩和されています。また開瞼器自体も元々奥目・狭瞼裂(きょうけんれつ)様のものなのでその意味でも最高です。 奥目の患者様が多いエリアで白内障手術を手掛けていらっしゃる先生方には是非お勧めしたい素晴らしいアイテムだと思います。
2013.06.23
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さて今日からは、緑内障治療の第一選択剤である、プロスタグランジン関連薬の世界を見ていきましょう。 初回となる今回はキサラタン(一般名 ラタノプロスト)点眼液です。その強力な眼圧下降効果で1999年の発売と同時に爆発的な大ヒットとなり、「日本の緑内障治療を変えた」と言われる歴史的名薬ですね。 ちなみに私は1999年に眼科医になったのですが、ちょうどこのキサラタン発売と時期が重なったために、緑内障の点眼治療が飛躍的に進歩したことと掛け合わせて「キサラタン世代」と呼ばれていました。今から考えると特に意味はないのですが、当時は何だか最先端の様に感じていましたね。(笑) ところでこのキサラタンが出るまでは、上の一覧表の中のレスキュラ点眼液 が同じプロスタグランジン系統(厳密にはちょっと違う)唯一のお薬としてバカ売れしていたのですが、このキサラタンが発売になるやいなや、見る見るうちにそのシェアを落として、当時販売していた製薬会社のMR(営業マン)の方が真っ青な顔をして夜遅くまで大学医局の廊下に立っていたのを思い出します。多分会社で売り上げ減を怒られて必死だったんでしょうね。 さてこのキサラタン点眼液の特徴を一言で言うと、 眼圧が良く下がる上に副作用が少なくてバランスが良い ということになるかと思います。 前回紹介したPAPという副作用が少なめで、かつ眼圧下降のキレが良い、いいお薬なんですね。 ちなみにこのキサラタンが発売されて20年が経過した今では同じ系統にも色々な薬が出ているのですが、緑内障専門医の先生たちと飲んでいると、「ぶっちゃけていうと、やっぱりキサラタンがトータルで見たら今でも一番いいよね。」というお話になったりもします。(ちょっと秘密) そして私も、「キサラタンはやっぱりいい薬だなあ。」とこの記事を書いていても改めてしみじみと思います。キサラタンに救われた患者様の数というのは莫大と思いますし、もしもこの薬が登場していなかったらと思うと、ちょっとゾッとしますね。 ところで、キサラタンは発売後20年が経過しているので当然ジェネリック(後発)医薬品が存在します。「ラタノプロスト点眼液」というのがそれですが、今だとこの後発品の方が処方されるケースが多いだろうと思いますね。(続く)
2019.03.19
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当院では2021年に日本アルコン社の「センチュリオン」という最新型の白内障手術装置を導入してそれで毎週の手術を行っています。 非常に能力の高いマシンで、導入してから白内障手術時のトラブルが激減しました。手術自体はこの25年間常に全身全霊を賭けて1例1例「すべての症例を自分の父母の目にメスを入れるという感覚」でやっていますので、合併症が明らかに減ったのはやはり手術機械のクオリティが上がったことが何よりも大きいと思います。 さてそんな素晴らしい名機センチュリオンですが、当院では実は2台同時に購入していました。 その理由ですが、機械にトラブルは付き物なので、万一に備えてバックアップのために買っていたのです。これは今回が初めてではなく前機種である「インフィニティー」の時にも2台体制を取っていました。 さて2021年に同時に2台やってきたセンチュリオンですが、1台は花子、もう1台は太郎と名づけられました。彼らは2週間交代で大切な患者様の目の手術に臨みます。ただその後の2台は対照的な運命を辿りました。 花子は優等生で、その後の3年半、一度も何のトラブルも起こしませんでした。オペ場のスタッフも「花子が鎮座していると安心」と言う感じで絶大な信頼を得ていました。 一方の太郎はかなりの暴れん坊で、この3年半で様々なトラブルに見舞われました。具体的に言うと、1. 朝、オペ場で機械を立ち上げようとすると、そもそも起きない。2. 起きても、いよいよ手術が始まるという瞬間になぜかフリーズしていて動かない。3. オペ中に急にイヤイヤ言い出して動作が止まる。4. 前部硝子体切除(A-Vit)という手術トラブル時に使う機能を一度も使っていなかったので試しに動かしてみようと思ったところ、そもそも壊れていて反応が無い。 などでした。そしてこういう時には常に花子が緊急登板して事なきを得てきたのでした。 、、、ところが先日のことです。大エースの花子が手術中に突然操作画面のタッチパネルが反応しなくなったのです。しばらくいじくり回していると動き始めて手術は無事に終わったのですが、次の日にはついに立ち上がらなくなってしまいました。 オペ場のナースたちが「まさか、お利口な花子がこんなことになるなんて。。。」と大きなショックを受けています。でも、問題児の太郎が代打を務め手術は滞りなく終了しました。「太郎にも役に立つことがあるんだねー。」とみんなが感心しています。 その後緊急で日本アルコン社にメインテナンスをお願いすると、花子はタッチパネルの裏側のコネクターが外れていただけで、すぐに治りました。やっぱり優等生だったんですね。 、、、と、こんな感じで我々は毎週楽しく手術に臨んでいます。これからも太郎と花子を常に万全にメインテナンスしながら、より安全で精度の高いオペを出来るようにスタッフ全員で努力していきます。
2025.02.18
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当院では、院内のバックヤードの片隅に金庫を設置しています。警備サービス業首位のセコム製で、金庫の下側は鋼鉄で地面とボルト固定されており、かつ警備システムと連動していて動かそうとすると警報が鳴るという強力で安心感のあるものです。 そこに色々と大切な物を入れて管理しているのですが、今朝開けようと思って、 いつものように暗証番号を入れたのですが、何故か開きません。「あれ、番号間違えたかな?」と思って再入力したのですがダメです。扉を引っ張ったりしてみたいけど、そんなことして警報鳴らしても困るしなあ。何回番号入力を繰り返しても無理なので、 1. この金庫は、もしかすると何回も番号を入力すると自動でロックがかかるシステムなのかもしれない。 2. 単に金庫が故障した。 3. 昨日の夜、誰か泥棒さんが侵入して中身を盗って暗証番号を変えて脱走した。 のどれかだろうと思って、電話してセコムさんに来て貰いました。 さて、その真実は1~3のどれだったでしょう? 答えは、、、、、、、 なんと、 単に電池切れ でした。! 私はこんなところに電池が入っているとは全く知らずにセコムさんを呼んでしまったのでした。申し訳なかったです。でも、金庫が開いたのでホッとしました。セコムさん、有難う御座いました。
2010.05.28
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さて当院では最低年に2回、「院内感染対策」に関しての全スタッフを対象とした研修を行っています。これには外部講師を招くこともありますし、院長の私が行うこともあるのですが、今日はその実際をちょっと見て頂くことにしましょう。 この日は「古くて新しい病気」である結核について私が概説をしました。長引く風邪や咳がある場合、それはもしかしたら結核かもしれません。何故なら今でも1年に20000人以上の方が新しく罹っている病気だからです。 そしてこの結核、実は目にも出るのです。 このように結核によって目の奥の網膜の血管が詰まってしまい出血を起こすことがあるのです。こうして古くて新しい病気である結核は、今でも静かに日本のどこかで広まっているんですね。
2016.04.21
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2012年5月、今から6年前にひっそりと静かに日本国内発売となった緑内障・高眼圧症治療薬のアイファガン点眼液。 このアイファガンは、元々アメリカでは「アルファガンP」という名前であり、1996年の発売以来売上高世界上位のベストセラー薬であり続けている名薬でした。 少し復習をしておくと、この目薬(一般名 ブリモニジン)は「アドレナリンα2作動薬」といって、目の中を流れる房水(ぼうすい)の産生を抑制しつつ流出を促進するという、2つの作用機序を持つ非常に優れた薬剤です。先行して発売されたアメリカではずっと緑内障点眼薬売上ランキングの上位を維持し続けてきたベストセラーであり、我々日本の眼科専門医にとっても長年「喉から手が出るほど」使いたい、欲しいお薬でした。 ただ残念ながらその認可は遅々として進まず、なんと「アメリカから16年遅れ!」でようやく発売となったという、その「ドラッグラグ(海外で使われているくすりが、日本で承認されて使えるようになるまでの時間の差のこと)」の大きさでも話題となりました。 そしてこの2012年にようやく発売となったアイファガンなのですが、 なんと発売から6年が経過した今年2018年になって、多くの屈強な薬剤がひしめき合い、しのぎを削っている緑内障点眼薬の中で、なんと売上1位となった のです。 これはとてつもなく凄いことです。それがどうしてなのかを説明しましょう。1. 現在の緑内障治療においてはいわゆる「標準治療」≒ガイドラインが存在している。そしてその中では、第一選択薬としてプロスタグランジン関連薬(キサラタン、タプロス、トラバタンズなど)を使うことが推奨されており、 アイファガンは「最初に処方されるお薬」ではない。 2. また同時に保険診療上の縛りもあり、アイファガンは「ファーストライン(疾患に対して効果があるとされる複数の治療薬のうち、最初に投与すべきと考えられる治療薬)」として使うことは出来ない。あくまで「セカンドライン」以降の薬と言う位置づけとなっている。つまり、「大きくは売れないことを元々宿命づけられた薬」である。3. 更に悪いことに、発売元の千寿製薬は失礼ながら弱小メーカー(2018年3月期の売上高は379億円。これは製薬メーカーとしてはかなり少ない。)であり、薬の宣伝をする営業マン(MRさん)の数も広告のための予算も非常に少ない。なので「鼻薬を嗅がされた、緑内障学会のとてもエライ先生」が一般眼科医に薬を使うように「啓蒙」し、「応援」してくれることもほぼない。 つまり、 アイファガンが売れたのは、広告や宣伝の力ではなく、薬に本当の実力、「突出したガチンコ力」があったから なのです。でも同時に、千寿製薬には十分なプロモーションのためのお金がありませんでした。なので、アイファガンの良さは静かに口コミレベルで医療現場にじわじわと浸透するしかなかった。その為、2012年の発売からランキング1位となるまでに6年もかかったのです。 そして、資金力のある大手メーカーによる「パワープレイ」が支配的な製薬業界において、発売後6年が経過し更に弱小メーカーからの販売となったお薬が売上ナンバーワンとなるなどということは、医学界の常識では通常ではあり得ない、凄いことなのです。 それでは次回は、なぜアイファガンは数々の不利を乗り越えて売上ナンバーワンとなることが出来たのか? アイファガンのどこがそんなに優れているのか? その、 アイファガンの秘密 に迫っていきましょう。(続く)
2018.05.22
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薬に罪はないのに、日本の厚労省のシーラカンスの様な動きの遅さによる絶望的なドラッグラグ(本国アメリカから発売16年遅れ)、更に保険診療上の縛り(ファーストラインとして最初に処方することが出来ない)、トドメにプロモーション力が圧倒的に足りない業界下位の弱小メーカーである千寿製薬からの販売という、 「3重の地獄の苦難」を背負っての2012年の「ひっそりとした」静か過ぎる日本発売となったアイファガン点眼液。 またこれは完全な裏が取れているわけではない噂レベルの話ではあるのですが、複数の業界筋によると、このアイファガン点眼液の日本販売権に関しては、「アメリカ発売から16年も遅れて、更にめんどくさい1日2回点眼の古い薬なんて、どうせ今更大して売れないよ。」と製薬業界内で嫌がられてたらい回しにされ、それで最終的に弱小メーカーの千寿製薬に販売権が回ってきたという説もあります。(笑) そしてこのように、業界内の誰にも、何だったらもしかすると販売元の千寿製薬にさえも大して期待されないまま (笑) 静かに日本発売後6年が経過した今年、その「突出したガチンコ力の高さ」によって多くの並みいる競合薬を抑えて緑内障薬売上ランキングのトップに立ちました。これはまさに、 アイファガン点眼液が起こした奇跡 です。 今日は、どうして3重苦を背負った、並みの平凡な薬であったならばひっそりとそのまま息絶える運命だったアイファガンが「6年越しの奇跡」を起こせたのかについて、眼科専門医であり同時に発売時から熱狂的なアイファガンファンでもあり続けたこの私が、その秘密をついに語りましょう。 アイファガンの凄い所は以下の通りです。1. 副作用が少なくて効き目が強い。 はい、アイファガンの長所を一言で言えばこうなります。お薬と言うのは全てリスク(副作用)とリターン(作用・効き目)があるわけですが、このアイファガンはそのバランスが抜群にいいのです。 例えば、現在緑内障の点眼治療ではファーストラインとしてプロスタグランジン関連薬 が使われています。これらのお薬は眼圧を下げる力は本当に強くて、だからこそファーストラインなのですが、その一方で多くの特に「局所」の副作用があります。具体的には点眼後の強い充血、更に点眼を目の周りにこぼすと、そこが黒くなったり、くぼんだり、しまいに毛が生えたりします。中には逆にこの副作用を狙って、使い終わって余った使用期限切れの目薬を頭皮にゴシゴシ塗り込んでいるおじいさんさえいたりします。(専門的にはこの副作用はDUES:デューズという名前で呼ばれています。) またプロスタグランジン関連薬に次ぐセカンドラインの位置づけのベータブロッカー点眼剤(製品名でいうとチモプトールやミケラン)は、喘息・コントロール不良の心臓病・閉そく性の肺疾患がある患者様には禁忌で処方することが出来ません。ただ緑内障の方には高齢者が多く、自分で自分の持病を完全に把握できていない場合もあり、この系統の点眼薬の処方は医師・患者様の両方にとって大きなリスク要因となります。 更にセカンド/サードラインとして良く用いられる炭酸脱水酵素阻害剤点眼薬は、ペーハーの関係で強烈に目に沁みたり(製品名トルソプト)、沁みなくても目薬が白い濁り液で点眼後しばらくめがかすんで見えなくなるので、元々目に関して色々な不安を感じている緑内障の患者様にとっては気持ち的に沈んでしまって点しにくい、ついつい点眼をさぼりやすい(製品名エイゾプト)ものだったりします。 つまり、 緑内障の目薬と言うのはどれもそれなりの欠点があって気難しいものが多い のです。ところがアイファガンは非常に点し心地が良く(これ、凄い美点)、更に眼圧も良く下がる(ほぼセカンドラインのチモプトールと同等)のです。なので、患者様に一度処方すると、「先生、今度の目薬、点しやすいし眼圧下がるし、滅茶苦茶いいわあ。」と喜ばれることが多いのです。そして患者様が嬉しいと私達医者も嬉しいのです。何故なら、我々は患者様の「役に立つ」ことが最大の喜びであり、それをモチベーションとして毎日の外来診療を頑張っているからです。 これでもうお分かりですね。 アイファガンがベストセラーとなったのは、患者様に強く求められるお薬であったから。そこに「幸せの、喜びの連鎖」があったから。 なのです。 そしてアイファガン点眼液にはまだ他にも長所があります。2. 防腐剤に工夫があり、角膜障害が少ない。 緑内障の目薬と言うのは大なり小なり角膜(黒目)へのダメージがあります。そして防腐剤として、安価で一般的なベンザルコニウム塩化物(通称 エンベコ)が入っている目薬では、そのダメージが更に増強されます。ここでは具体的には書きませんが、多くの緑内障点眼薬はエンベコを使用しており、特に海外メーカーのものはその濃度もべっとりと非常に高い場合があります。ただ欧米の方はあまり角膜障害を気にされないようなのですが、日本人と言うのは「世界一消費者意識が高くてとても繊細」なので非常に気にされます。 そしてアイファガンは、Purite(亜塩素酸ナトリウム)という、非常に角膜に優しくて安全な防腐剤を使用しており、長期使用に不安が少ないところも大きな美点なのです。 この2点がアイファガンの凄い所なんですね。 ただこのアイファガンにも少ないながら欠点はあります。それは、 点眼後数か月が経過すると結膜(赤目)にアレルギーを起こしてくる場合が一定の確率である ことです。この副作用が出た場合には、違う系統の薬に切り替えることになります。 さて長くなりましたが、以上をまとめると、 アイファガンは売れるべくして売れた ということです。 緑内障点眼薬の中で「総合力が断トツトップ」であり、それが口コミで広がってついに6年経って1位になった ということですね。 これからも名薬アイファガンと共に、緑内障患者様1人1人の眼の状態に合わせた「オーダーメイド治療」に精進していきたいと考えています。
2018.05.27
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義眼の方の目の中はどうなっているんですか? と言う質問を患者様から頂きました。 義眼は怪我や病気などで眼球を摘出せざるを得なかったり眼球の中身を取る手術をした場合に、 眼球があるように見せるために入れる扁平な楕円形のもの で合成樹脂で作られています。ほとんどは反対側の元気な目に合わせて色や形を整えて1つ1つオーダーメイドで作ります。 それでは実際に見てみましょう。 非常に綺麗に義眼が入っていますね。 これを外すと、、、、、 中は空洞 になっています。この空洞(結膜嚢:けつまくのう)の状態に合わせて1人1人の患者様にぴったりの義眼を作っているので、パッと見では義眼と分からないことも多いくらいなんですね。
2016.07.15
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さて今日も第6回四国EYEランドセミナー参戦記の続きです。 ヘルペス角膜炎という病気があります。目の表面や中にヘルペスが出て来て悪さをするというものです。以下に実際に当院で治療した患者様の写真をお示しします。 このヘルペス角膜炎、ずいぶん以前には良い治療法が無くて多くの方が失明した恐るべき病気なのですが、 エリオン博士と言う方が、アシクロビル(ゾビラックス)という特効薬を発明してほとんどの方が治るようになりました。これは画期的な業績でエリオン博士は1988年にノーベル生理学・医学賞を受賞された程でした。 ところがこのアシクロビルは粒子が粗くて目薬に出来ず、眼軟膏(塗り薬)の形でしか使用できないという欠点があります。 また、薬の粒が粗くて目に入れると角膜(黒目)の表面が荒れやすい、更に薬の効き目が短くて1日に5回も使用しなくてはならない、と言う弱点もあります。 更に、最近ではこのアシクロビルが効かない耐性株が出現していることもあり、ヘルペス角膜炎の治療には相変わらず困難が付きまとっているのが現状です。 今回のセミナーでは、日本の目のヘルペスの第一人者と言われるエキスパートの先生の講演があり大変勉強になりました。 タイゲソン点状表層角膜炎やソフトコンタクトレンズによるキズなどのヘルペスと区別しにくい病気の復習も役立ちましたが、 一番印象に残ったのは、 効かない、治らない、ヘルペス角膜炎は、ほとんどは薬をちゃんと1日5回使えていないだけ。 というお話でした。使いにくい軟膏なので、患者様がキチンと1日5回使用するのは至難の業というのが実際なんですね。今後のヘルペス角膜炎の治療にあたって、肝に銘じようと決意しました。 これで第6回四国EYEランドセミナー参戦記は終了です。来年の第7回も是非参加したいと考えています。
2012.06.26
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さて2月4日(土)、初日に非常に勉強になったのは「強膜炎の薬物療法」、「強膜炎の外科的治療」という2つのプログラムでした。 強膜というのは、眼球そのものを形作っている丈夫で文字通り「強い膜」で、普段は白い色をしています。そして、この膜に炎症が起きている状態を強膜炎といいます。 症状としては、強い充血と痛みです。強膜炎の充血は比較的深いところで発生してるので、黒っぽい赤色に見えるのが特徴です。充血している部分は押すと痛みを感じます。この「痛い」というのが強膜炎の最大の特色であり、しかもその痛みは患者様によっては「鉛筆を目に刺されたよりも痛い」と言うほど激烈です。具体的に実際の患者様の状態を見て頂きましょう。 この強膜炎はリウマチなどの自分で自分自身を攻撃してしまう自己免疫疾患に合併することが多いですが、色々調べても結局原因が分からないことも良くあります。 そして、これだけ医学が進歩した現在でも治療に難渋することが多く、最悪の場合は強膜が溶けて(壊死して)穴が開いてしまうことさえあるのです。そのためこの強膜炎と言うのは、我々眼科専門医にとってはその知識量・経験・状況判断力・決断力を問われる非常に厳しい病気なのです。 今回のプログラムではこの強膜炎について様々な角度から勉強することが出来ました。 ↑ このように強膜炎の原因疾患というのは無数にあり、それがこの病気の治療を難しくしています。 ↑ そして、上のスライドにあるとおり、「とにかく痛い」こと、これが困るんですね。 ↑ そして、目薬だけであっさり治る症例から、内科的・外科的治療を総動員して何とか治った症例、どうしても治せない症例まで、その予後は本当に千差万別です。 ↑ 治療法は一応のフローチャートはありますが、これがまた一筋縄ではいかないのです。 ↑ これは重症例の写真ですが、激烈な炎症で強膜が溶けてしまい、その奥のぶどう膜という茶色い組織が出てきてしまっています。 ↑ こうなると、強膜パッチ術といって、他の方の献眼された目を持ってきて弱いところに貼るという外科的な治療をするというのが教科書に書いてある定説なのですが、 ↑ うかつにこのパッチ術に手を出すと、パッチをしても次から次へと溶けてしまってまた穴が開き、「合計したら数個分の目をパッチに使ってしまった!」というような凄まじい状況におちいることがあるので、「うかつに外科的治療に踏み切らないことが大切である」ことが解説されました。 重症例の治療法の実際を聞くことが出来て、本当に勉強になりました。(続く)
2012.03.23
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先日の事ですが、ヤフーのトップニュースに、 スズメバチ 今季は激増? という恐ろしいニュースが出ていました。 ちなみにこのスズメバチに目を刺されると、 下の写真の様な状態になってしまいます。 この患者様はスズメバチに角膜(黒目)を刺され前房(目の中)にまで毒素を注入されてしまい、その結果、黒目の表面の皮、水晶体(目の玉)が溶けてしまいました。何度かの手術を受けられたのですが、残念ながら視力を失ってしまわれました。 アウトドアでの活動は楽しいですが、是非サングラスや保護メガネをかけて目を防御しながらにして欲しいと眼科専門医として願っています。
2018.11.01
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今の白内障手術と言うのは技術的にはほぼ完成し尽しており、手術後には眼底(目の奥の網膜)に異常がなければ高い確率でよく見えるようになります。 でも、手術をしたらしたで、また「別の問題」が発生することもあるんですね。今日はそういったお話をちょっとして見ましょう。 白内障手術後に患者様からよく聞く訴えの一つに、 「手術が済んだら、顔のシワが増えた。」 というものがあります。特に女性に多いですね。 これは別に術後に急にシワが増えたわけではなく、それまでは白内障があって自分の顔の詳細が良く見えていなかったのが、手術が済んだらはっきりくっきり見えるようになって、それで急にシワが気になるようになってがっかりしたというお話です。 もう一つ多いのが、 「手術が済んだら、家中がほこりだらけで愕然とした。」 というものです。 これも、手術前には白内障のせいで家の中の細かい汚れが見えなかったのが、手術後に急に気になりだしたというお話です。この場合には、 「頑張って掃除をしまくっていたら、今度はぎっくり腰になってしまった。」 というのも、たまに聞くお話です。(笑) このように、白内障の手術後には良くも悪くも見え方は激変します。もしかすると、「手術をしない幸せ」というものもあるのかも知れないですね。
2017.12.11
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「目やにが出る」などの症状に代表されるありふれた病気、結膜炎ですが、治療は抗菌点眼剤で行います。 この抗菌点眼剤には多くの種類があるのですが、現在国内で人気・売上No1なのは日本が世界に誇る点眼薬メーカー、参天製薬のクラビット点眼液0.5%です。このお薬は2000年に発売されたのですが、発売以来ずっとベストセラーを続けています。安全性が高く切れ味のよいバランスの良い薬で、総合力でなかなかこのクラビット点眼液を超えるものが出てこなかったからですね。そうでなければなかなか10年以上もベストセラーは続けられません。 さてそんな名薬のクラビット点眼液なんですが、来たる6月2日に濃度を3倍に上げた通称「スーパークラビット」、クラビット点眼液1.5%が発売になります。 この1.5%クラビット、臨床成績が凄いんですね。 ↑ 発売前の細菌性結膜炎・細菌性角膜炎への有効率はなんと「100%!」、私は今までたくさんの目薬を見てきましたが、有効率が100%というのは見たことがありません。圧倒的な濃度で様々なバイ菌をやっつけてくれる、頼もしい新薬です。 ↑ また、その効き目の早さも驚異的です。 この異次元とも言える臨床成績は1.5%という高濃度から来ています。ただ普通の抗菌剤を目薬にする場合にはここまで濃度を上げられないんですね。その理由は「溶けない」、「しみてとても点眼できない」などですが、大体0.3%とか0.5%とかそんなものです。クラビットというお薬が持つ元々の素姓の良さ、薬を目薬に仕上げる「溶かす」技術では世界一と言われる、発売元の参天製薬の技術力、それらが結集して誕生したのがこのスーパークラビット、クラビット点眼液1.5%なんですね。 ↑ これがその実物の見本です。ただ、中身の入っていない容器だけのもので、実際に点眼してみることは私も出来ていません。 このクラビット1.5%点眼液、発売前から注文殺到で超品薄とのことで、患者様に実際に処方できるのは6月下旬になるのではないか?とも言われています。どのくらいの効果を発揮してくれるのか?、眼科専門医としてとても楽しみにしています。
2011.05.27
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現在当院では、製造販売元のアメリカのボシュロム社様及びディーラーの吉田メディカル社様の御厚意で、最新型白内障手術機械のStellaris(ステラリス)をデモ中です。 ↑ ボシュロムのロゴ、カッコイイですね。 このステラリスは、今我々白内障手術専門医の間で話題沸騰の超ホットなマシーンです。というのは、画期的で革新的なシステムを搭載しているからなんですね。 その最大の特徴は何と言っても「ステーブルチャンバーチューブシステム」にあります。 これはベンチュリーマシーンの欠点を大きく改良したもので、高い吸引圧で水晶体核を保持できるのに、流量は低くて安全で前房(ぜんぼう:目の中の作業スペース)が極めて安定していると言うものです。要は「めちゃくちゃ良くなったベンチュリーマシーン」ということですね。 またこの画期的なチューブシステムだけではなく、 新開発でレスポンス抜群のロータリーベーンポンプ 他社の4クリスタルに対して、6クリスタルと贅沢仕様で滑らかな超音波発振が可能な超音波ハンドピースも出来が抜群という話です。(これは車で4気筒よりも6気筒の方がフィーリングが上質というのと似ているかもしれません) さて、この話題騒然のニューマシーン、ステラリス、実際に使用してみたらどうだったのでしょうか、、、、、、(続く)
2011.08.02
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目の神経が圧迫されて傷むことにより、見える範囲が欠けてきて最後は失明に至る恐ろしい病気の緑内障。 40歳以上の20人に1人、70歳以上ではなんと7人に1人! という大変頻度の高い病気なのですが、 緑内障患者様の10人に9人は未発見で放置されているのが現状 で、「なんだか最近目が凄く霞む。おかしいので来た。」と カジュアルに来院され、突然に失明寸前の末期の緑内障が発見されて途方にくれて立ち尽くされるという悲劇 が後を絶ちません。 ところでこの緑内障、 治らない 失明してしまうというような非常に怖い病気であるというイメージがとても強い のですが、実は同時に、 治療をすればするほど得をする 病気でもあるのです。いったいどういうことなのか説明しましょう。 私たち人間は生まれた時には目の視神経が約120万本あります。これが半分の約60万本以下になると視野(見える範囲)が欠けてきて緑内障になります。 そして、なぜかあまり一般に知られていないことなのですが、 この視神経、生きているだけでどんな人でも年に5000本くらいは自然に減っていく のです。でもこのくらいの減り方なら100歳になっても視神経が70万本残っているわけで元気に目を使って頂けます。ところが 緑内障の方は視神経が弱いので年に20000~30000本減ってしまいます。 仮に年に20000本減る方だと60歳時点で視神経は残り0本、すなわち失明ということになってしまいます。 さてここからが本題ですが、放っておくと年に20000本の視神経を失ってしまう緑内障患者様がここにいるとして、頑張って毎日眼圧を下げる緑内障の目薬を点します。するとこの 失う視神経の量を自然減の年間5000本に抑え込むことが出来る のです。 1年だと20000-5000=15000本、 1日だと約400本の視神経を余分に守り抜くことが出来た、得をした ことになります。そしてこの 得をした目の貯金が積み重なると、物凄い差 になります。 つまり、 緑内障の治療はすればするほど、目の寿命が延びて得をする ということなんですね。
2016.08.06
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さて当院では先日、携帯型のレフラクトメータ(眼の近視や遠視などの屈折度数をチェックする機械)である、米国ウェルチ・アレン社の新型マシン、スポットビジョンスクリーナーを新規導入しました。 これは検査員が遠く離れたところから目の屈折度数や斜視がないかを測定できるという、まるで魔法の様に優れた装置です。以前からずっと欲しかったのですが、現在のコロナ渦で「蜜」を避けてより安全な眼科検査を出来る様にとの思いから、今回思い切って新規導入しました。 また小さなお子様に対しても、距離を取って恐怖心を与えることなくリラックスした環境下で目の状態を調べることが出来るのも大きなメリットです。 それでは実際のマシンをご覧いただきましょう。 驚くほどにコンパクトですね。 当クリニックは、これでまた「新たな武器」を手に入れました。これからも「常に安全で快適」な眼科医療を提供し続けられるように、スタッフ一同精進していく所存です。
2021.04.01
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しばらく前から気になっていたのですが、コロナワクチン接種後に目の充血と強い痛みを訴えて来院される患者様が散見されます。 具体的には、下のような感じです。ちょっと赤黒い充血が特徴で、充血部を触るととにかく痛いのがポイントです。 これは実は、強膜炎と言う病気になります。関節リウマチやベーチェット病などの全身疾患を持つ方に良く出る病気なのですが、これが何故かコロナワクチン接種後の方に頻発している印象があるのです。 原因ははっきりとは分かりませんが、もしかするとワクチンの副反応の一つなのかもしれません。ただ、ステロイドの目薬を適切に使用すればほとんどの方はスーッと症状が治まりますので大きな心配はありません。 なので、皆様もコロナワクチンを打った後に、目の充血や強い痛みを感じた場合には、我慢せずに是非近くの眼科専門医を受診してみてくださいね。
2021.08.16
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「ヘルペス角膜炎」という病気があります。目の表面や中にヘルペスが出て来て悪さをするというものです。以下に実際に当院で治療した患者様の写真をお示しします。 このヘルペス角膜炎、ずいぶん以前には良い治療法が無くて多くの方が失明した恐るべき病気なのですが、エリオン博士と言う方が、アシクロビル(ゾビラックス)という特効薬を発明してほとんどの方が綺麗に治るようになりました。これは画期的な業績で、エリオン博士は1988年にノーベル生理学・医学賞を受賞された程でした。 ところがこのアシクロビルは粒子が粗くて目薬に出来ず、眼軟膏(塗り薬)の形でしか使用できないという欠点があります。また、薬の粒が大きくて目に入れると角膜(黒目)の表面が荒れやすい、更にヘルペスのウイルスは特に活動期は分裂が早くて凶暴なので、それに対抗するために1日に5回も使用しなくてはならない、と言う弱点もあります。 ちなみに、 眼軟膏を処方してもなかなか症状が改善しない、効かない患者様と言うのが良くいらっしゃるのですが、経験上そういう方はほぼ100% 単にお薬がちゃんと目に入っていない だけです。なので、当院ではヘルペス角膜炎の患者様が来院されたときには「軟膏がちゃんと入れられるようになるまで、何度も熱血指導」をしています。これでほとんどの場合は治ります。 、、、前置きが長くなりました。このヘルペス角膜炎、元々それほど多い病気ではないのですが、最近患者様の数が激増しています。そして、新型コロナワクチンの接種後に発症するケースが特に目立ちます。 なので、コロナワクチンを打った後に、目がぼやける、霞む、ゴロゴロする、涙が止まらない、などの症状がある場合は、是非早めに一度近くの眼科専門医を受診してくださいね。
2022.04.21
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さて当院では先日、ルミナス社のM22という「IPL治療器」を導入しました。 これは美容皮膚科で顔のくすみやシミなどの光老化による症状を一挙に改善する、いわゆる「フォトフェイシャル」という治療に用いる医療機器です。 そしてこのIPL治療器は、我々眼科の分野でもドライアイやマイボーム腺梗塞などの症状改善にも大きな効果があることが知られています。これは元々美容目的でフォトフェイシャルを繰り返し受けていた患者様たちが「偶然にドライアイも一緒に改善した」ことから、その高い効能が分かったという面白い逸話もあります。 こちらが実際のマシンとなります。ずんぐりむっくりしていますね。↓ 保険外の自由治療となりますが、興味のある方は受診時に質問を戴ければと思います。
2025.10.13
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しばらく前に休みの日に散歩をしていると多目的広場でおばあさんたちがクロッケーをしていました。何の気なしに眺めているとそのうちの一人がベンチに座り目薬をさし始めました。「うまくさせるかな?」と気になって見ていると、おばあさんは目薬を滝のように流し、そのほとんどは目じりから下の地面にぽたぽたと落ちていました。 外来ではいつも患者様に説明はしているのですが、 目薬は一回に一滴させば十分です。 目薬の一滴は50マイクロリットル(1ミリリットルの20分の1)なのですが、私たちの結膜嚢(眼の中の目薬を貯めるところ)の大きさは30マイクロリットルしかないのです。つまり目薬は一滴で十分効くようにできているのです。 目薬が目の周りにこぼれると皮膚のかぶれの原因となったり、からだ全体への副作用がでることもあるので注意が必要です。 目薬を一回にたくさんさすことのメリットはただ一つ、 薬が早くなくなって製薬会社が喜ぶ ことだけですので(笑)、皆様気を付けてくださいね。
2009.07.30
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さていよいよ近日中に、千寿製薬という眼科専業の製薬会社から「アイファガン点眼液」という緑内障の大型新薬が発売になります。 ↑ 写真は先行して発売されているアメリカでのものです。アメリカでは「アルファガンP」という名前であり、1996年の発売以来売上高世界上位のベストセラー薬であり続けています。 今の日本には存在しない系統の目薬なので、現在第一選択薬として使われているプロスタグランジン関連薬(キサラタン、タプロス、トラバタンズ、ルミガン)や第二選択薬のβ遮断薬(ミケラン、チモプトール)、炭酸脱水酵素阻害薬(エイゾプト、トルソプト)などと組み合わせて使うと大きな効果を発揮する可能性がありその発売が待ち遠しいです。 今日は先行して、このアイファガン点眼液(一般名ブリモニジン)の特徴を見ておきましょう。この目薬は「アドレナリンα2作動薬」といって、目の中を流れる房水(ぼうすい)の産生を抑制しつつ流出を促進するという、2つの作用機序を持つ非常に優れた薬剤です。 その効果は、1981年の日本発売以来ベストセラーの地位を保ち続けている名薬のチモプトール(一般名チモロール)とほぼ同等かやや劣る程度です。 若干結膜へのアレルギーが出やすく、効果が減退しやすいという欠点はあるものの、今日本で使えるどの緑内障点眼薬とも併用できて更なる眼圧下降が狙えること、また全身への副作用が少ないことから、実際に発売されれば全国の緑内障患者様にとって大きな福音となるでしょう。 私も緑内障治療医として、その発売日を首を長くして待っています。
2012.04.02
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さて昨年の12月13日の発売以来、今日までで当院でも2000本以上を処方させて頂いた「ドライアイ」の画期的な新薬ジクアス点眼液ですが、 たくさんの患者様からその使用感を教えて頂き、また処方後の目の状態を診せて頂くことによって「ジクアス点眼液の長所と短所」がかなり見えてきました。 まず第一に言えることは、ジクアス点眼液は従来型のヒアルロン酸の点眼薬(商品名で言うとヒアレインやティアバランス)よりも明らかに効果が強い、目の表面の傷を改善する力が高い、ということです。やはり15年振りの待望の新薬だっただけのことはあります。 そして次に言えることは、その高い臨床的効果を背景にして患者様の「自覚症状」が改善する場合が非常に多いと言うことです。それは具体的には、 ジクアス点眼を始めてから、明らかに目の調子が良くなった。 パソコンをするときに目がほとんど疲れなくなった。 本が読みやすくなった。 点眼してしばらくすると目が元気になる。 目が常に潤っている感じで視力が良くなった気がする。 などの患者様からの喜びの声で分かります。従来型のヒアルロン酸の目薬では、ここまではっきりした明白な評価を戴ける事はほとんどなかったので、やはり「ジクアスは凄いな」と思います。 その反面、「ジクアスが合わない」患者様も一定の率で存在することも分かってきました。合わない患者様は、 ジクアスさしたら涙が出っ放しになって仕事にならない。 常に泣いてるみたいで目がウルウルになってしまい、本も読めない、テレビも見れない。 涙が出るので気にして目を触っていたら周りが腫れた。 うまく言えないが良くない。前のヒアルロン酸の目薬の方がサラッとしていて良い。 などと仰います。10人処方させて頂くと1人くらいが合わない、という印象です。 ジクアスはその薬理作用上、目の細胞からの水分とムチンという物質の分泌を促進しますので、点眼して「涙が出る」というのはある意味当然なのですが、どうやら「効きすぎる」患者様がいるようなんですね。 そういった患者様に関しては、点眼回数を絞る、従来型の点眼に戻す、などの対処をしていますが、これからも更に勉強を重ねてより精度の高いドライアイ治療を目指して行きたいと考えています。
2011.01.24
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さて白内障手術時には、目の中への器具の出し入れと眼内レンズ挿入のために一般的に2.2~2.8ミリ程度の切開創を作ります。私自身は色々と試行錯誤の末に今は余裕を持って2.5ミリで手術を行っています。以前は2.3~2.4ミリでやっていたのですが、器具の出し入れ時にやや狭くて負担がかかり逆に創の強度が落ちることがあったために、安全性を重視して少し広げました。 そしてこの切開を作るためには スリットナイフ というものを使うのですが、私が開業しているエリアは非常に目が窪んで(奥目)いて更に瞼の幅(瞼裂)が狭い人が多いので、理想通りの切開を作るのに非常に苦労する場合がありました。 この苦労について以前に日記に書いてボヤいていたのを、眼科ナイフメーカーのマニー社(純国産メーカーです) の方が見ていて、「奥目用の新製品が出たので使ってみて下さい。」とディーラーの吉田メディカルさんを通して連絡をしてくれました。ちなみに眼科ナイフメーカーは数社あるのですが、その技術力と切れ味はこのマニー社がダントツのトップで、私は手術でマニーのナイフ以外は一切使いません。そのくらい他社のナイフとは差があり、私はマニーが世界一の眼科ナイフメーカーであると確信しています。 そしてこれがその新製品 ショートヘッドナイフ となります。 アングルから先が従来品よりも2ミリ短くなっていて、飛躍的に操作性が上がっています。またナイフの先端から1.5ミリと2.0ミリのところにラインが入ったことによって更に使いやすくなっています。本物を見てみましょう。 小さすぎて何だかよく分かりませんね。それでは実際に手術時の画像を御覧戴きましょう。 切開が狙い通りに超クールに決まります。滅茶苦茶使いやすくて感動しました。また、奥目の患者様以外でも全然いけます。これは素晴らしいナイフですね。 この新製品のショートヘッドナイフが最高だったので、即日全ての手術で使用するように変更しました。マニーの担当者の方、またディーラーの吉田メディカルさん、素晴らしい情報を教えて頂いて有難う御座いました。
2016.06.02
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さて2010年12月の発売以来、今や日本人の国民病とまで言われる「ドライアイ」の治療を革命的に進歩させた参天製薬の名薬にして、発売7年が経過した今もベストセラー街道をばく進する、ジクアス点眼液。 このジクアス点眼液はその薬理作用上、目の細胞からの水分とムチンという物質の分泌を促進するので、点眼後に涙の量を増やしてくれます。そしてその「うるおい効果」が点眼後約1時間も持続するという、画期的で優れものの目薬です。 その為、「ジクアスが無いともう生活が成り立たない。」と仰られる患者様もたくさんいらっしゃるくらいに大人気のお薬なのですが、ベストセラーで売り上げが多い(2018年3月期で見て、1年間で128億円)が故に、逆にクレームが目立つ点眼薬でもあります。 そしてそのクレームの中で断トツに多いのが、 ジクアスを点眼すると、その後で半透明のネバネバした目やにがたくさん出てきて気持ち悪い というものです。この「ジクアス点眼後に目やにが出る」という患者様からの訴えは非常に多く、私が1週間外来をしていると、最低でも1、2回は聞きます。 これは一体何なのでしょうか? ジクアスの何か危険な副作用なのでしょうか? 今日はこの「ジクアス点眼後の目やに」の正体について、私が眼科専門医として分かりやすく回答しましょう。 先ほども書いたように、ジクアスを点眼すると目の表面からムチンという物質が放出されます。これは納豆の様にネバネバしたものなのですが、この ジクアスの効果で出てきたムチンが、目の表面の常在菌をトラップしてトリモチのように絡めとって「目やに」として出てくる のです。 つまり、 ジクアス点眼後の目やには、お薬が効いている証拠 でもあるということなんですね。 ちなみに、このジクアス点眼後の目やには、無構造でバクテリアなどをトラップしたものであり、炎症細胞はほとんど認められない、いわば無害なものであることが専門的な研究によって既に分かっています。 以上をまとめると、 ジクアス点眼後の目やにに対してはそれほど神経質になる必要はない と思います。ただドライアイ治療ではジクアス以外にも有力な選択肢はたくさんありますので、どうしても不快で気になる場合には違う点眼薬に変えればそれで済む話でもあります。 なので、どうしても気になる方は、是非気軽に次回の外来で私達眼科専門医に相談してくださいね。
2018.06.11
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シリーズでお送りしている「緑内障点眼薬の世界」。 これまでに現在第一選択薬(ファーストライン)として使用されているプロスタグランジン関連薬の紹介が終了しました。 続いては、第2章 ベータ(β)遮断薬 です。 この系統のお薬は、効き方としては主に房水(ぼうすい : 眼球を充たす体液のこと。眼圧を保つと共に角膜・水晶体の栄養補給の役目を果たしている。房水は毛様体という組織で作られ、主にシュレム管を通過し眼外に排出される。)産生抑制作用となります。 ベータ遮断薬は前回までに紹介したプロスタグランジン関連薬とは効き方が全く違うので、両者を併用するとより大きな眼圧下降効果が期待できますし、実際の臨床でも多用されています。 さてベータ遮断薬は、現在緑内障治療の第二選択薬(セカンドライン)として使用されています。第一選択薬(ファーストライン)のプロスタグランジン関連薬だけでは効果不十分だったり、もしくはその副作用で使えない場合などに検討される薬剤ということですね。 このベータ遮断薬は、キサラタンに代表されるプロスタグランジン関連薬が登場するまでは長い間第一選択薬の地位に君臨していました。その理由は何と言っても「眼圧がまずまず良く下がるから。」です。緑内障の目薬は何と言っても「眼圧が下がってナンボ。」なんですね。 ベータ遮断薬には、PAP(眼窩周囲症状 Prostaglandin associated periorbitopathy)のような眼局所の副作用はありませんが、その一方で、気管支ぜんそくや重い心臓病がある患者様には使用することが出来ません。 高齢の緑内障患者様の中には「自分で自分の病気を把握しきれていない」ケースもあり、それがこのベータ遮断薬処方の難しさに繋がっています。ただ逆に言うと、全身状態が良好で問題なく使える患者様にとっては「安全に使える、歴史のある良いお薬」でもあります。 それでは次回からは、このベータ遮断薬を詳しく見ていきましょう。(続く)
2019.07.11
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さて機器展示場巡りを続けます。次にやってきたのは、 MEテクニカという私がいつもお世話になっている手術道具メーカーのブースです。 ↑ これは白内障手術で最も大切な手技であるCCC(水晶体の前嚢という表面の一部を切り取る工程)に用いる特殊なセッシなのですが、先端の形状やハンドルの長さなどで細かく型番が分かれています。それぞれの術者によって微妙に好みが違うんですね。 ちなみに私は、 ↑ 「FR2272S 池田式マイクロカプスロレキシス摂子 BEAK ショートハンドル」という、器具の先端が鳥のくちばしのように尖っていて操作性が抜群なものを愛用しています。 これは1本が16万円もするのですが、白内障手術というのは極論すれば「CCCが全て」という面があり、その手技の安全性・確実性が担保できるのであればお金はいくらかかっても全く構わないというのが白内障手術医としての本音です。そのため、当院ではこの高価なセッシを大量に購入し、全ての手術で実際に使用しています。 展示場の話に戻りますが、偶然にも私の普段からの担当者の方が大阪から来ており、様々な手術小物を実際に触って体験させて頂きます。 ↑ これは「吸引開瞼器(きゅういんかいけんき)」と言って、奥目(目が窪んでいて術野に水が貯まりやすい目)の方に使う、手術時に目を開ける器械です。 私の開業している地域にはこの「奥目」の方が非常に多く、私は当然既に吸引開瞼器を持っているのですが、写真の器械は目を開く部分に工夫が凝らされていて、より無理なく目を開けることが出来るので買い増しを検討しようと思いました。 ↑ これはIOLカッターと言って、手術で何らかのトラブルがあった時に、目の中でIOL(眼内レンズ)を切って、傷口をあまり広げずに摘出できるという特殊なハサミです。当院でも危機管理対策で購入済みなのですが、今日は担当者の方に使い方のコツを聞いて実際にレンズを切って練習をしました。 こういう体験が出来るのも学会の楽しみの一つなんですね。(続く)
2013.04.22
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さて当院では現在更なる業務拡大のため、常勤看護師1名 事務・検査スタッフ1名 を募集中です。 その理由なのですが、根本的な理由として「眼科医療が成長産業である」ということが挙げられます。 目と言うのは、若い頃は多くの方は何のトラブルもないものですが、加齢と共に様々な病気が表れてきてどうしてもメインテナンスが必要となる組織です。そして日本は世界ナンバーワンの高齢化社会なので、眼科医療の需要が以前に比べてどんどんと増加しているのです。 また、眼科医療の進歩の速度が凄いということもあります。一例を挙げると、私が13年前に開業した当時には存在しなかった治療に抗VEGF薬硝子体(しょうしたい)注射というものがあります。これは、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症などの疾患で、目の奥の網膜に腫れが出たときにそれを改善してくれるものなのですが、非常に強力な効果があり、現在多くの患者様がその恩恵を受けています。 ただ、患者様によるのですが、場合によっては繰り返しの治療が必要になる場合があり、結果として注射を打つ回数がどんどんと増えています。当院でいうと、最近では年間の白内障手術数に近いくらいの症例数になってきています。そしてこれは「13年前には全く存在しなかった医療」なのです。 ということで、当院ではより良い医療を提供し続けるために、新しいスタッフの力を必要としています。興味のある方がいらっしゃいましたら、是非お気軽にお問い合わせください。
2021.08.09
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しばらく前にブログのコメント欄で、さおさんに「目薬を点した後、どうして1分ほど目を閉じておかないといけないの? 何の意味があるの?」という質問を戴きました。今日は、その質問について考えてみます。 目薬の点眼後に目を閉じた方が良い理由ですが、目薬が目頭にある涙点(るいてん)から流れ出て行かない様にするためです。涙点から目薬が流れ出ると、 1. 全身に成分が移行するので、目薬の内容によっては副作用を起こす危険性がある。(特に緑内障のお薬) 2. 肝心な目の中(角膜からの浸透)での濃度が薄まってしまい、目薬が期待される十分な効果を発揮出来ない恐れがある。 という、2つの問題点があるのです。 我々の目と言うのは、高速カメラで撮影して調べてみると、まばたきをするときには 「目尻側から目頭側へチャックを閉めるように閉じて行く」 ことによって、目の中の水分を涙点へと押し流していくようになっています。 ↑ これは、チモプトールという長年ベストセラーを続けている緑内障の名薬で、点眼後に、未処置(普通に瞬きをする)、閉瞼(へいけん:静かに目を閉じる)、涙のう部圧迫(目を閉じ、更に目頭の涙穴の部分を圧迫する)の3つに分けて、点眼成分がどれだけ血漿(けっしょう:要は血の中)に移行したかを見たグラフです。 このグラフからは大切なことがいくつか読み取れます。それは、 1. 点眼後にまばたきをすると、成分がかなり血の中(要するに全身)へ移行してしまう。これでは全身性の副作用が心配だし、目薬の濃度も下がってしまうので効果も下がってしまう。 2. 点眼後には、目を閉じるだけで(閉瞼)、目頭を押さえる(涙のう部圧迫)まではしなくても全身への移行はかなり防げている。患者様が目薬を貰うと、良く調剤薬局で「点眼後は5分ほど目を閉じ、更に涙穴を押さえてください」という指導をされると思うが、実際問題としては「忙しい日常生活の中で、目薬のためだけにそんな時間と手間なんかかけられるか!」というのが患者様の実感だろうし、 「点眼後は最低1分目を閉じておく」 くらいでもかなり大きな効果があると考えられる。 ということです。 以上をまとめると、目薬の点眼後は、 少しでも目を閉じてじっとする。そしてまばたきをしない。 ことが大切ということです。皆様も是非覚えておいて下さいね。
2011.08.19
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前回までで日本の眼科医療のレベルの高さ、それを保障している眼科専門医制度の厳格さを説明してきましたが、一旦専門医となった後も各個人が必死に研鑽を積まなければならないことは言うまでもありません。 特に私のように都会から遠く離れた地方都市で更に一人で開業している場合は、学会に参加できる機会が限られ、最新知識を得るチャンスが少なくなりがちなので尚更です。 眼科専門医であり続けるためには、前回の日記で書いたように5年間で100単位、1年間では20単位を取ればよいわけですが、私は個人的に「普通の眼科専門医の3倍は勉強しよう。」と考えており、年間最低60単位の取得を目標としています。また全ての学会・勉強会では常に一番前の席に座り集中して学び、もしも疑問点があればすぐに講師の先生に質問もするようにしています。 ちなみにこの1年では、 合計78ポイントを獲得し、しっかりと目標を達成しました。今年も更に少しでも上積み出来るように頑張ろうと思っています。 ただ地方在住の私がこのように全国を飛び回って勉強し続けるには、どうしてもクリニックを留守にせざるを得ないこともあります。大切な患者様にご迷惑をかけることを心苦しく思っていますが、私が常に極限まで学び成長を続けること、それが結局八幡浜地域の皆様の目の健康を守り続けるために一番大切なことだと確信していますので、どうか御了承下さい。
2013.01.20
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血管に富んだ組織が角膜(黒目)の真ん中に向かって侵入してくる、翼状片(よくじょうへん)という病気があります。 はっきりとした病因は不明なのですが、紫外線(太陽の光)や慢性的な機械刺激などが原因になると言われており、「みかんと魚の街」で、紫外線にさらされることの多い八幡浜市では非常にたくさんの方がこの翼状片になっています。 この翼状片、進行した場合は手術しか治療法がないのですが、単純に切除しただけでは50%!という高率で再発することが知られており、なおかつ悪いことに再発した場合は「より凶悪にパワーアップして進行」します。 そのため初回手術が非常に大切で、私は「有茎結膜弁移植」という手法で極力再発しないような丁寧な手術を手がけています。上の写真の患者様の術後はこのようになります。 ただ、どんなに丁寧に手術をしても再発する方はします。そのためずいぶん昔には再発予防のために切った後、そこに抗がん剤を塗って再発を抑える手術法が多く取られていました。ところが、この術式を受けられた方のなかに10年以上経って、 その抗がん剤を塗った部位が弱くなってしまう合併症が頻繁に見られるようになりました。 なので、私は現在では初回手術ではこの抗がん剤を使用しないことにしています。(再発した場合は使用することはあります) 手術というのは、した後もずっと患者様の状態に責任を持たなくてはならないものなので、「長い眼で見て一番有利」という術式を常に追い求めていこうと考えています。
2009.09.11
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さて学会場に入ります。 気分が高まりますね。 学会場に着いたら、まず最初にコングレスバッグを貰います。 これは学会場で資料を入れるためのバッグですが、学会終了後はそのままエコバックにもなる優れものです。今回は上記の4つからの選択でしたが、 私はこの水色と白のストライプが綺麗なバックを選びました。 さて次はランチョンセミナー(お昼にお弁当を食べながら勉強できる一石二鳥のお得なセミナー)の整理券取りです。これは急がないと行きたいセミナーに入れなかったり、ひどい時は全て売り切れでお昼御飯そのものにあぶれてしまう事もあるのでとっても大切なのです。 今回は十分間に合いました。 さて、学会の日程表を良く見て一日の行動を考え、いよいよ勉強開始です。(続く)
2012.02.07
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