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義眼の方の目の中はどうなっているんですか? と言う質問を患者様から頂きました。 義眼は怪我や病気などで眼球を摘出せざるを得なかったり眼球の中身を取る手術をした場合に、 眼球があるように見せるために入れる扁平な楕円形のもの で合成樹脂で作られています。ほとんどは反対側の元気な目に合わせて色や形を整えて1つ1つオーダーメイドで作ります。 それでは実際に見てみましょう。 非常に綺麗に義眼が入っていますね。 これを外すと、、、、、 中は空洞 になっています。この空洞(結膜嚢:けつまくのう)の状態に合わせて1人1人の患者様にぴったりの義眼を作っているので、パッと見では義眼と分からないことも多いくらいなんですね。
2016.07.15
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さて当院では最低年に2回、「院内感染対策」に関しての全スタッフを対象とした研修を行っています。これには外部講師を招くこともありますし、院長の私が行うこともあるのですが、今日はその実際をちょっと見て頂くことにしましょう。 この日は「古くて新しい病気」である結核について私が概説をしました。長引く風邪や咳がある場合、それはもしかしたら結核かもしれません。何故なら今でも1年に20000人以上の方が新しく罹っている病気だからです。 そしてこの結核、実は目にも出るのです。 このように結核によって目の奥の網膜の血管が詰まってしまい出血を起こすことがあるのです。こうして古くて新しい病気である結核は、今でも静かに日本のどこかで広まっているんですね。
2016.04.21
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「眼が真っ赤になって市販の目薬さしても治らないし、なんだか眼がズキズキして痛いので来たんだけど。」という訴えで本日女性の患者様が来院されました。早速眼を拝見すると、 確かに眼が強く充血していますね。ただその充血の先を追っていくと、、、、 充血の仕方が普通の結膜炎とは違います。なんというか、「赤黒い」感じがあるんですね。実はこの方は、、、、、 強膜炎という病気でした。 これは 充血と強い眼の痛み が特徴で、悪化すると目の一部が壊死してしまうこともある怖い病気 です。治療には強力なステロイド薬の目薬や飲み薬を使います。 このように「タダの充血だろう」と思っていても、実は結構重い病気のこともありますので、「なんだか結膜炎が治らないなあ」というときは、是非お近くの眼科専門医を受診されてくださいね。
2009.09.07
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2種類以上の目薬を処方させて頂いている患者様から、「どうして点眼間隔を5分あけないといけないの? そんなのめんどくさいから、連ちゃんでちゃっちゃかちゃっちゃか点してるけどなにか悪いことでもあるの?」という質問を良く戴きます。 この質問の前提として、まず私は眼科専門医として「できるだけ処方する目薬の種類を減らす」ことを心がけています。出来れば絶対に必要な1種類だけ、ダメなら2種類、それで無理なら1増1減でやっぱり2種類、それでもどうしても無理ならやむを得ず3種類、そのあたりが限界だと思っています。患者様は目薬を点眼するためだけに日々を生活しているわけではないですし、点眼の種類が増えるとどうしても確実にさせなくなるからです。 さて最初の質問の話に戻りますが、点眼間隔を5分空けなくてはならない理由は、「先にさした目薬が後からさした目薬で洗い流されてしまって効かなくなるから」です。 上の図を見ると分かるように、もしも1分間隔で目薬を点すと最初に点した方は60%くらいしか効かない、というデータがあります。 専門的に言うと、目薬の目の表面(結膜嚢:けつまくのう)からの消失時間は一般的に2分と言われています。なので点眼間隔は最低2分空ければまあ大丈夫なのですが、目薬同士の相互作用を防ぐために、念のために「5分」というお願いを我々眼科専門医はしているわけです。(一部の緑内障薬では10分以上の点眼間隔が必要なものもあります。) なので、2種類以上の目薬を同時に使用するときは「最低2分、できれば5分」と覚えて置いてくださいね。
2011.05.15
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我々人間は外界からの情報の80%を目から手に入れていると言われており、だからこそ目はとても大切なわけですが、その目の真ん中に開いているのが瞳孔です。この瞳孔なんですが、動物によって形が違うことは割りと知られていません。 (眼科セカンドオピニオン 銀海舎 P53より) 我々人間が真ん丸なのは皆様ご存知でしょうが、ヒキガエルはなんとハート型なんですね。 ネットを巡回していると、なんと 「ハート型の瞳孔を持つ猫」 もいました!。 ただ残念ながらこの猫は「エイプリルフール用の合成写真」だったようなのですが(私は本物かと思ってかなり驚いていたのですが)、 実は 人間でも「ハート型の瞳孔」を持つ方が存在する のです。 これはある患者様に検査のために散瞳薬という目薬を入れたところなのですが、上方の虹彩(茶目)の一部がその後ろの水晶体とくっついている関係で、偶然「ハート型」になっています。 患者様に「目がハート型になっていますよ」とこの写真をお見せしたら大変喜んで頂いたのですが、とっても珍しいものが見れて私も嬉しかったです。こういった様々な楽しいことがあるので私は外来診療が大好き なんですね。
2009.08.04
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お料理、特に揚げ物などをしていて天ぷら油が眼に入りかけたことはありませんか?高温の油が眼に入ったらどうなってしまうのかちょっと心配ですよね。 ところが人間というのは良く出来たもので、現実にはなかなか油が眼に入ることはありません。危険を察知して瞬間的に眼を閉じるので、「眼に入った!」と思っても実際はまぶたに油が当たっただけということが多いんですね。 先日もある患者様が「天ぷら作っていたら揚げ油が目に入った。滅茶苦茶痛いので飛んできた」といって来院されました。私が「意外と本当に眼に油が入ることはないんですけどね。良く診せて頂きましょう」と拝見すると、、、、、、 油、本当に眼に入っていました。ちょっと珍しいですね。上の写真で緑色に丸く変色している部分がそうなのですが、高温の油が当たって黒目(角膜)に炎症・点状の細かな密度の高い傷に加えて一部上皮欠損を起こしています。黒目は非常に敏感な部分なので、このくらいの傷でもかなり強い痛みが出ることがあります。 目薬と眼軟膏を処方して本日再診して頂いたのですが、 ほとんど治っていて私もホッとしました。 このくらいの傷だったらすぐ治るには治る訳ですが、かなり強い痛みが出るのは事実なので、皆様も料理中には油が目に入らないように十分注意してくださいね。
2009.10.19
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現在当院では、製造販売元のアボット社様及びディーラーのアーガス社様の御厚意で、新型白内障手術機械のSignature(シグネイチャー)をデモ中です。 このシグネイチャーには、いくつかの特色があります。一番の特色は、 「エリプスFX」と言って、水晶体を削るUSチップと言う機械が前後×左右に同時にブレンドされて楕円運動で動くことです。これにより、 従来型の縦振動のみの機械よりも破砕エリアが拡大し、濁って白内障になってしまっている水晶体を効率よく安全に処理することが出来ます。 また、USチップの先っぽが真っ直ぐでも曲がりでもその能力を発揮することが出来ることも大きな利点です。 更にこのシグネイチャー、 ペリスタルティックポンプとベンチュリーポンプという、2つのポンプシステムを内蔵しているのも魅力です。ペリスタポンプはコントロール性に優れ安全、ベンチュリーポンプは効率が良い、というそれぞれ独自の長所があるのですが、このシグネイチャーは、この2つのポンプを手術の各場面において瞬時に使い分けることが出来るのです。 そのため、水晶体の核を分割し1つ吸うまでは安全にペリスタで、その後はベンチュリーに切り替えて効率よく短時間で処理する、などという芸当が実際に出来てしまうのです。 おぉ、こう書いてくるとシグネイチャーは凄いマシンですね。現実に使ってみてどうだったのか、カタログスペック通りの能力を発揮したのか、皆様気になりますよね。(恐らく眼科専門医だけでしょうが) 実際に使ってみて、感じたことは、、、、、、(続く)
2011.06.21
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黒目と白目の境目がどんどん白くなってきたのですが大丈夫ですか? と言う質問を患者様から受けることが良くあります。そうですね、大体1ヶ月に数回は聞かれます。今日はこの問題について考えて見ましょう。 まず結論から言うと、これは 老人環(ろうじんかん senile ring) というものです。「お年のせい」ということですね。加齢によって脂質が沈着して黒目の周りが白っぽくなったものですが、通常は視力低下に繋がったりはしないので気にしなくて大丈夫です。 それではこの老人環が一体どのようなものなのかを具体的に一緒に見ておきましょう。 上の写真で水色の矢印で示したのが老人環です。ちょっと分かりにくいので色を塗ってみましょう。 緑色に塗った所が老人環です。黒目(角膜)の隅っこなので視力などには影響はないので心配しなくてもいいんですね。 そしてこの老人環、70歳以上だと大体80%くらいの方に存在します。なので、 目の白髪 くらいに思って頂いて良いと思いますね。
2016.06.21
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さてここからはセミナーで印象に残った話、勉強になったことを自分のメモ代わりに書いていきます。 患者様の多くは「目には癌は出来ない」と思われているのですが、実は目にも癌は発生します。もちろんその頻度は高くはないのですが0ではないんですね。セミナーではその「眼腫瘍」の講義があったので、具体的にそのポイントを見ておきましょう。 一番良くあるのは、 この脂腺癌(しせんがん)です。まぶたにあるマイボーム腺の出口が詰まって慢性的な炎症が起き、その結果肉芽腫という塊ができる霰粒腫(さんりゅうしゅ)と非常に良く似ているので要注意なんですね。 私も実際数年前のことですが、「何度も何度もめいぼができて、色々な眼科で切ってもらったけど治らない。」という患者様が来院され、念のために外科的に切った後で病理検査に回した所やはりこの脂腺癌だったということがありました。高齢の方で何度もめいぼが再発する、と言う場合は常に悪性腫瘍の可能性を念頭に置かないといけないんですね。 それ以外でも、体のどこかに癌がありそれが目に転移してきた、眼底(がんてい)に茶褐色や薄い黄色の淡いさりげない病変が広がる「転移性脈絡膜(みゃくらくまく)悪性腫瘍」や 治りにくい結膜炎と区別が付きにくい、サーモンピンク色の鮮やかな腫瘤が広がる「結膜悪性リンパ腫」などもたまにあります。 これらの眼の悪性腫瘍はなかなか発見しにくいのですが、早期であれば局所の腫瘍摘出や放射線療法、化学療法で済む場合も多いので、眼科専門医として幅の広い豊富な知識を保ち、これらを決して見逃さないように努力していかなくてはならないと決意を新たにしました。(続く)
2012.06.10
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角膜に潰瘍が出来てしまいなかなか治らない患者様がいらっしゃいました。 目の状態は上の写真の様な状況で、見ただけで大きな潰瘍(写真で緑色に染まっている部分)があるのが分かりますね。 これは「周辺部角膜潰瘍」という病気で、自分で自分の目を攻撃してしまっている状態です。ステロイドの目薬を使えばすぐに治ることが多く、私達眼科専門医にとっては一般的にはそれほど難しい病気ではありません。 ところが、この患者様、とにかく全然良くならないのです。目薬を変えてみたり色々と作戦を練るのですが、全然潰瘍が小さくならず改善しません。 「潰瘍部に凶悪なばい菌が住み着いていてそれで治らないのかな? それとも自分の見立てと違う何か違う病気なのかな? これは困ったな。」私も段々と焦りの色が強くなっていきます。 そんなある日、患者様を診察していると、かなり強く目を閉じる癖があることに気付きました。「もしや?」と思って患者様に自分で目薬を点してもらうと、 点眼した瞬間に目を強く閉じてしまっており、実際には目薬が全く目に入っていませんでした。 つまり、この患者様はちゃんと目薬を点せていなかったせいで、それで全く治らなかったのです。 そこで、この日からは奥様に代わりに目薬を点してもらうようにしたところ、 潰瘍はほんの数日で見る見る良くなりました。 大変勉強になる、そして印象に残る出来事でしたね。
2017.01.15
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さて日本人では40歳以上の20人に1人(5%)、70歳以上では7人に1人(14%)の有病率ということで、非常にありふれた病気であると同時に、「失明に直結する!」という「とても怖いイメージ」があるために、多くの方から「恐れられている」病気である緑内障。 当ブログでもこれまでに様々な角度から取り上げてきましたが、この緑内障は「超慢性疾患」で進行がとてもゆっくりな病気なので、実際には発病から失明に至るまでには30年以上という時間的な猶予が与えられた、真面目に治療に取り組む患者様にとってはある意味で「優しい病気」でもあります。 そして治療の基本は、眼圧を下げるための点眼治療です。何故かというと、眼圧を下げることによって緑内障の進行を遅らせて目の健康寿命を延ばすことが出来ることは、既に質の高い多くの論文から明らかになっているからです。治療法としては他に手術も色々とありますが、結局はどれも眼圧を下げるためだけの物なので、目薬の治療だけで病気がコントロールできるのであればそれに越したことはありません。何も好き好んで痛い思いをする必要はないですからね。 そして実際全国にはとてもたくさんの緑内障点眼薬を使用していらっしゃる患者様がいます。緑内障は決して「良くなる」ことはない病気なので、世界最高レベルの高齢化がこれからも類を見ないスピードで進展するここ日本では緑内障患者様の数はこれからも増える一方です。もしかすると、このブログに辿り着いた方の中には既に緑内障の治療中の患者様もいるかもしれませんね。 そこで今日はこれまでと視点を変えて、緑内障点眼薬の世界を広く見渡してみることにしましょう。これはとても大切な視点です。何故かというと、この数年緑内障の分野では新薬ラッシュが続き、使えるお薬が爆発的に増え、その結果として以前とは比べ物にならないくらいに処方パターンが増えているからです。 それではまずはその全体像をお示ししましょう。 す、すごい量ですね。20年前には「僅かに数種類」しかなかった緑内障点眼薬は、いつの間にかこのような「爆発的な進化」を遂げているのです。そして私達眼科専門医は、これらの全てのお薬の長所・短所・有効な組合せ方を学び続けながら、毎日の診療に当たっているんですね。(続く)
2019.03.09
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目の中に入った異物や汚れを洗い流すために使う、洗眼薬という市販薬があります。小林製薬の「アイボン」がその代表的な商品です。 私も使ったことがありますが、アイボンで目を洗うとすっきりして気持ちがいいんですね。目にゴミが入ったとき・花粉症で眼が痒くてどうしようもない時などに大変重宝する良い薬だと思います。 ところがこのアイボン、使っているうちにその爽快感・スッキリ感が癖になってしまい、1日に何十回も使用している 「アイボン中毒、略してボン中」 とでも言えるような状態の方がいるんですね。 先日、「目の調子が悪くてアイボンを1日に20~30回くらいしていたのに、治らないので来た」という患者様が来院されました。目を拝見すると、 黒目(角膜)にたくさんの傷(上の写真で水色に濃く染まっている部分)が入ってしまっています。 これはアイボンのしすぎで、ムチン層という黒目の表面を守って涙の状態を安定させる大事な物質が洗い流されてしまったことによるものです。例えて言うなら、 アカスリし過ぎて皮膚がズル剥けて真っ赤っ赤 というような状態ですね。 また、我々の涙には「ばい菌をやっつける天然成分」が元々入っています。アイボンをしすぎるとこの大切な天然成分も流れてしまい、逆にばい菌への抵抗力が減ってしまうこともあるので注意が必要です。 さて、この患者様にはアイボンを中止し点眼薬を処方したところ、1週間後には、 症状はほぼ改善しました。 アイボンは良いお薬ですが、使いすぎるとこのようにかえって逆効果になることもあります。なので、アイボンを使うときには用法・用量(1日3~6回)を必ず守るようにして下さいね。
2010.05.08
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この日記でも何度か取り上げている期待の緑内障の新薬、ザラカム配合点眼液ですが、ようやくサンプルを戴けました。 黄色いキャップで可愛い点眼瓶ですね。さて、さし心地はどうか、効き目はどうか、気になりますね。そこで早速試してみました。まずは点眼します。 くー、しみる!! これはしみます。他の緑内障薬に較べてかなりきますね。まあ1日1回点眼で便利なのでこれは我慢するしかないか、、、 さて、効き目のほうはどうだったでしょうか?今回は期待の大型新薬ということもあり、院長の私とスタッフ2名の合計3人がチャレンジです。 まずは私から、、、 眼圧15.5→11.0です。良く効いてますね。 次はスタッフのきみちゃんです。眼圧15.3→12.0です。まずまずですね。 最後は同じくスタッフのゴンちゃんです。 眼圧13.0→9.7でした。 ザラカム配合点眼液は4月発売予定です。実際の発売が楽しみですね。
2010.03.18
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さて第5回東京眼科アカデミー2日目で一番勉強になったのは、「ドライアイを訴えたがドライアイではなかった症例」という講演でした。 ドライアイは今や日本人の国民病とも言われるありふれた疾患ですが、その患者様数が多くかつ症状が多彩であるために、「何でもかんでもドライアイ」と診断してしまいがちな側面があります。また、マスコミでもドライアイに関する情報が溢れかえっているので、患者様自身が最初から「自分はドライアイ」と思い込んで受診される、と言う部分もあります。 ただ実際には、調節異常による眼精疲労が原因だったり、瞬目不全(しゅんもくふぜん)といって、まばたきが弱くてちゃんと目を閉じていないために、 ドライアイのような症状が生じていることもあります。この場合は「強くまばたきをする」ことを心掛けるだけで症状が改善することもあります。 我々眼科専門医は「一見ドライアイ」の中に隠れている様々な疾患を見逃さないように、常にたくさんの鑑別診断を念頭において患者様の診察に当たらなくてはならないな、と気持ちを新たにしました。 これで「第5回東京眼科アカデミー参戦記」は終わりです。皆様、お付き合い戴き有難う御座いました。(完)
2012.03.31
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さて今日も「第117回日本眼科学会参戦記」の続きです。 ラウンジの中には新聞や週刊誌がたくさん置いてありました。 そこで週刊誌を手に取ってパラパラと見ていると、 日本サッカー界の至宝、本田圭佑選手がレーシック手術に失敗してしまい、それでワールドカップ予選に欠場することになったのではないか?という気になる記事が出ていました。 この記事だけでははっきりとしたことは分かりませんが、裸眼視力をしっかり出すためにやや過矯正気味に角膜を削りすぎてしまい、それで様々な心身の不調が出ている可能性があるという内容でした。心配ですね。 レーシックは基本的には非常に安全で確実な手術ですが、しばらく前には銀座眼科での集団感染症の発症もありましたし、「レーシック難民」という言葉があるように術後にドライアイ・微細な両眼視機能異常を始めとする様々な多彩な症状に悩まれている患者様が一部にいることも事実です。 ただこの手の週刊誌での「医療バッシング記事」はやや割り引いて読まなければならない場合もあります。というのは、バッシングされるのは美容外科、歯科のインプラント手術、眼科のレーシック手術などの保険の効かない「自由診療」のことが多いのですが、これらの業種は広告宣伝費を多く使うことで知られています。 そして広告代理店はマスコミに医療バッシングの記事が出ると、バッシング先に出かけていって「あなた方のアピール力が足りないからこういう記事が出るんです。もっと広告をする必要があります。」という営業をかけるということがあるんですね。それは巡り巡って広告料の還元と言う形でマスコミを潤すことがあり、マスコミ側にはそういった動機・インセンティブが少なくとも無意識下のレベルで働いている可能性があるということです。全てマスコミの記事と言うのは多面的に深く捉える必要があるんですね。 すいません、少し話が脱線してしまいました。最初の話の続きですが、皆様もレーシック手術を検討されるときには、手術の長所ばかりでなく短所もしっかりと説明してくれる、術前に十分な問診と両眼視機能検査を含む詳細で慎重な検査をしてくれる、また術後のフォローアップ体制がしっかりとしているクリニックを選ぶようにしてくださいね。(続く)
2013.04.11
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さて、「目の周りに塗るだけでそれがじわじわ滲みて目の中のかゆみが取れる」という魔法のような世界初の機序を持った、アレジオン眼瞼クリーム。 こちらが実際の製剤になります。 ノズルがめちゃ細いです。目の周りにちょっとだけ塗るものなので、あまりクリームが多く出過ぎないようにと言う配慮だと思います。日本ナンバーワンの眼科薬メーカーの参天製薬のお薬と言うのは、使いやすいようにいつも隅々まで細やかな配慮がされているんですね。 院長が寝る前に塗ってみました。実際にアレルギー持ちなのですが、次の日の朝の目のかゆみが明らかに少なくなっていました。これはやはり効能が期待できそうです。 このアレジオン眼瞼クリーム、専門的に言うと、瞼(まぶた)の皮膚を通過して目の玉(眼球)と白目(結膜)に届いてかゆみを取ってくれると言うものです。 ただこれを実際に製品化するには極めて高度な製剤技術が必要で、「薬を溶かす技術が世界一」の参天製薬だからこそ実現できた薬だろうと思います。おそらく他の後発メーカーには至難だろうと思いますし、参天製薬のレベルの高さに眼科専門医として改めて感嘆しました。 今のところ、発売は5月下旬と噂されています。実際に世に出る日が楽しみですね。
2024.05.14
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さて1月28日(土)の学会もお昼になりました。お弁当を食べながら勉強するランチョンセミナーに向かいます。 今回参加したのは、ヒーロンVという白内障手術で用いる補助薬剤の効果的な使い方についてのセミナーでした。ここで勉強になったことを自分用のメモ書きとして残しておきます。以下眼科専門医向けの内容となります。 ヒーロンVが必須なのは、術中の虹彩の動揺の激しいIFISと成熟白内障のCCC。その成熟白内障のCCCでは、最初に眼球圧迫した上で、ヒーロンV→穿孔してから稲村式ダブルノズルカニューラで減圧→なるべく小さ目を意識してCCC→必要なら更にダブルCCC。また、成熟白内障のCCCは絶対にビスコートではやらないこと! IOLの交換・摘出にはヒーロンVが必須。ただし破嚢時にはVが抜けないので使用しないこと。 ヒーロンVは、クスリではなく道具。注入ではなくそこに置く感覚で使う。 会場との質疑応答。 Q ヒーロンVでCCCすると小さくなったりフラップが切れたりする。どうしたら良いですか?(これは自分も同じ悩みを持っており役立った) A CCCをゆっくり回す。フラップは角膜内皮側に少し持ち上げるくらいでちょうど良い。またCCCは正方形を作るくらいのイメージを持つとちょうど良い。 実践的で明日からの手術にすぐに役立つ素晴らしい内容でした。(続く)
2012.02.15
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しばらく前のことですが、「子供のめやにと充血がひどい。」との訴えで、女の赤ちゃんを連れた若いお母さんが受診されました。 目を診せて頂くと、確かにひどく充血し目やにもびっしりと付いています。ところが目を良く観察していると、まつげがチリチリでほとんどありません。 「あれ? お母さん、まつげ、どうかされましたか?」 と質問すると、 「はい、まつげを短く切っておくと、毛根の生命力が刺激されて大きくなった頃にまつげがフサフサの美人になると聞いたので、全部私が切りました。」 とのことでした。 まつげは、目の中にゴミなどの異物が入らないようにするために生えており、とても大切なものです。この赤ちゃんはまつげを切られてしまったので、それで目が剥き出しになり炎症を起こしてしまったのです。 赤ちゃんの時にまつげを切ると将来フサフサになる、かどうかは検証した論文もなく真実は分かりませんが、目の健康のためには間違いなく良くないことですし、またどうしても将来まつげフサフサになりたければ、 ↑ このような「プロスタグランジン関連薬」という系統の緑内障用の目薬をまつげの付け根に塗れば、驚くほどあっという間にフサフサに出来ます。それはこれらの薬に「増毛」の作用があるからです。(ただし、美容薬として保険診療機関で処方することは出来ません。一般に美容外科や美容皮膚科での自費での購入となります。) まつげは大切な役割があるからこそ生えているのです。ですので、皆様も安易にまつげを抜いたり切ったりしないようにして下さいね。
2013.07.06
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さて白内障手術をするときには、開瞼器(かいけんき)という目を開く器械を使うのですが、私が開業をしているエリアは、目が奥に窪んでいたり(奥目)、目が細くて物理的に開きにくい(狭瞼裂:きょうけんれつ)患者様が多いんですね。 そのため手術の時に術野に水が貯まって見えづらくて苦労すると言うことが以前からありました。それに対しては吸引開瞼器という、術野の水を吸い取る器械で対応してきたのですが、最近新型の、 この「秦/三好氏 調節式開瞼器 吸引孔付」という器械を買って使ってみたところ、べらぼうに使い勝手が良く手術の安全性が上がることが分かったので、たくさん買い増しして白内障手術全症例に導入しました。 一般的な吸引開瞼器は、水を吸い取る吸引孔が大きすぎて結膜(白目)を吸いつけてしまって水が吸えないというトラブルが割りと頻繁に起こって使いにくいものが多いのですが、この「秦/三好氏 調節式開瞼器」はちびっこい孔がたくさん開いていてその弱点が劇的に緩和されています。また開瞼器自体も元々奥目・狭瞼裂(きょうけんれつ)様のものなのでその意味でも最高です。 奥目の患者様が多いエリアで白内障手術を手掛けていらっしゃる先生方には是非お勧めしたい素晴らしいアイテムだと思います。
2013.06.23
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さて当院で最新型の インテグラ プロスキャンレーザー光凝固装置(イエロー&レッド) というパターンレーザーを導入してしばらく経ちました。 今日はこの新型のパターンレーザーと従来型のレーザーとで、どのように手術痕が違うのかを実際に見てみましょう。 これが新旧レーザーの移行期に、糖尿病による合併症である網膜症(DMR)の進行予防のための汎網膜光凝固(PRP)を施行した患者様の眼底写真です。小さな粒粒が見えると思うのですが、その1つ1つがレーザーの手術痕となります。 次に新旧のレーザー痕を図解してみます。 新型のパターンレーザーの方が手術痕が均質で焼けムラが少ない のが見て頂ければすぐに分かると思います。 コンピューターで高度に制御されているからこその美しさ ですね。また従来型のレーザーは1発当たり0.2秒のレーザー発射時間が必要で、そのためにレーザーによる痛みや術後の網膜の腫れを起こしやすかったのですが、新型のレーザーは1発当たり僅か0.02秒しかレーザーを発射しないので、 レーザー時の目の痛みがほとんどなく、かつ術後の合併症も激減 します。素晴らしいマシンの進歩ですね。 このように良い事ばかりの新型パターンレーザー装置と共に、これからも皆様の目の健康維持のためにスタッフ一同頑張って参ります。
2016.07.26
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さて今日も「フォーサム2012横浜参戦記」の続きです。 7月15日(日)の午前中は、日本眼感染症学会の一般講演をひたすら聞いていました。毎年この眼感染症学会はフロアの討論のレベルも高くて滅茶苦茶勉強になるんですね。 以下に勉強になったことを数回に分けてメモ書きします。眼科専門医向けの内容となりますことを御了承下さい。 一番勉強になったのは、「眼内炎」のセッションでした。 白内障の手術後には1000~2000分の1の確率で眼内炎という感染症が起こることがあり、 その発症予防にはプリセット眼内レンズ(目の中に入れる眼内レンズが予め機械にセットされていて、眼の表面に触れることなくレンズを眼内に挿入できるもの。ちなみに当院でも全ての症例に対してこのプリセットタイプの眼内レンズを採用している。) の使用が推奨されています。プリセット眼内レンズでの眼内炎の報告は少ないですが、今回の学会では実際に起こった症例の発表がありました。 それは術後3週間程度経ってからの発症であり、原因菌はP.acnes(プロビオニバクテリウム。皮膚に一番多く存在する菌)と考えたとのことでしたが、フロアからの討論で「P.acnesなら4~6週はかかるのでちょっと発症が早すぎる。電子顕微鏡所見からS.epidermidis(表皮ブドウ球菌。主として鼻腔や表皮に常在する。通常は非病原性だが体内に入ると今回のように病原性を発して悪さをすることがある。心臓のOPでカテーテルや心臓弁に付き易い)だろう」。との指摘があり、すごく勉強になりました。 今回の症例では眼内レンズ(IOL)ループの最先端に菌の塊とバイオフィルム形成を認めており、IOL挿入前に創口付近をBSSで十分に洗浄していなかったことにより、そこにいた菌をIOL挿入時に拾ってしまいそれが眼内炎発症に繋がった可能性があるとの結論でした。 私はいつも術野を常に水で洗い流して綺麗に保つように気を付けているのですが、今後、眼内レンズ挿入前の洗浄をいつも以上に更に徹底して行こうと肝に銘じました。(続く)
2012.07.30
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今日の日記は新型白内障手術機械インフィニティの、白内障進行具合別の自分用の設定のメモ書きです。眼科専門医向けのちょっと特殊な内容ですので興味のない方は読み飛ばしてください。 UStipは0.9mmミニフレアーABS Ozil12 45°を使用。フルケルマン使わなくてもこれで十分という印象だった。 グレード2.0~3.5くらいまでの通常症例では、 水晶体核の溝堀 その後の処理 ↑ 吸引圧は、230から280まで最後は上げたが、それでも前房は全く安定しているので問題なかった。 Ozil IP IA グレード3.5~4.25くらいの固い症例では、 溝堀 ↑ かなり縦を入れている。このくらいはないと無理。 その後の処理 ↑ 同じく吸引圧は230から280へ最終的には上げたが、全く問題なかった。 表画面はグレード2.0~3.5用のモードに近いが、、、 ↑ 裏のOzil IPのthreshold(閾値)を93%に落とし、phaco pulse on timeも20に上げている。 グレード4.25以上の、従来ならECCEで対応していた症例。 溝堀 その後の処理 ↑ グレード4.25~は暫定的に設定してみただけ。実際にはまだ使用していないので、購入した場合には今後更に詰める必要がある。 インフィニティ、確かに極めて良いマシンですが、設定出来る項目が非常に多く、使いこなすにはその全てをしっかりと詰める必要があり、それは結構ハードルが高いと言う印象でした。ある先生が「インフィニティ、業者の方が入ってくれると抜群にいいんだけど、いなくなって一人になっちゃうとうまく使いこなせないんだよなあ。設定が難しいんだよ。」と仰っていましたが私も良く分かります。 もしも実際に買う場合には、更なる猛勉強が必要と感じました。
2011.06.20
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当院では、眼科手術補助薬のトリアムシノロンアセトニド(商品名マキュエイド硝子体内注用40mg)を採用しました。 このマキュエイドは「硝子体(しょうしたい)手術時の硝子体可視化」に用いるものです。具体的には白内障手術時に後嚢破損(こうのうはそん)という合併症が起こった場合に使用します。 後嚢破損が起こると、硝子体という目の奥の組織をうまく処理しないといけないのですが、この硝子体というのは透明から半透明のゲル状のものであるためなかなか見えにくいという問題があります。今までは経験と勘と処理する機械が硝子体を吸い込む音などを頼りに対処していたのですが、このマキュエイドを振り掛けると見えなかった硝子体が可視化されるので、より確実に安全に硝子体を処理できるようになります。 本当はこのマキュエイドが登場しないのが一番良いのですが、手術と言うのは「常に何があるか分からない」ものですし、これからも万全の備えを持って白内障手術に臨んで行きたいと考えています。
2011.09.06
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さて来たる6月11日に、全国の患者様からその登場が熱望されていた緑内障新薬のコソプト配合点眼液がいよいよ日本でも発売となります。 このコソプト配合点眼液は、房水の産生を抑制する「β遮断剤」のチモロールと「炭酸脱水酵素阻害剤」のドルゾラミドの2種類のお薬が1瓶に入ったものです。 薬の承認に関しては世界一厳しいと言われるアメリカFDAで唯一承認されている配合点眼液であり、その売上高は緑内障薬の中ではPG製剤のラタノプロストに次いで世界2位のベストセラー薬です。その効果はまさに「折り紙付き」、この名薬をついに日本でも使用できることを、私は緑内障治療医として本当に嬉しく思っています。 サンプルを戴いたので、早速当院のスタッフがチャレンジしてくれました。まずはきみちゃんから。 眼圧は16.0から11.7へと下降しています。 次はゴンちゃんです。 眼圧は15.0から11.3に下がっています。2人とも良く効いていますね。 このコソプト発売日には、同時に以前紹介した「デュオトラバ配合点眼液」も発売となります。新薬の登場スピードに負けないように私自身も勉強を重ね、ひとりひとりの緑内障患者様それぞれの状態にぴったりと合った、オーダーメード感覚のベストの緑内障治療を提供できるように努力していきたいと思っています。
2010.06.05
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まだまだ蒸し暑い時期が続きますね。草刈り等の農作業も多く、「目にゴミが入った」などの訴えで受診される患者様が多い季節です。 さて、この目の中なのですが、実に様々な異物が入り込みます。今日はどのようなものが入るのか、いくつかその内の珍しい事例を見て頂きましょう。 ↑ この患者様は以前も紹介したことがありますが、農作業中に田んぼで転んでその時に目にヒルが食い付いてしまいました。非常にすばしっこく逃げるので摘出するのが大変でした。 ↑ この患者様はみかんの摘果作業中に目にゴミが入り「洗っても何してもどうしても取れない」との訴えで受診されました。それもそのはず、蟻が目から振り落とされないように結膜(白目)に足を深く刺してしがみついたまま絶命していました。このありんこも引っぺがすのが大変でした。 ↑ この患者様は、「まぶたの裏で何かがもぞもぞ動いている!」との訴えで来院されました。上まぶたをめくって調べて見ると、ショウジョウバエと思われる2ミリ大の虫が目の中で既に絶命していました。 このように、目の中と言うのは様々な異物が入り込みます。自力ではなかなか取れないもの、取るのが危険なものもあります。ですので、「あれ?何か目にゴミが入ったぞ。」という時には、是非気軽にお近くの眼科専門医を受診するようにしてくださいね。
2012.09.01
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さて2010年12月の発売以来、今や日本人の国民病とまで言われる「ドライアイ」の治療を革命的に進歩させた参天製薬の名薬、ジクアス点眼液。 このジクアス点眼液は従来型のヒアルロン酸の点眼薬(商品名で言うとヒアレインやティアバランス)よりも明らかに効果が強い、目の表面の傷を改善する力が高い、ドライアイ分野では15年振りの待望の大型新薬だったわけですが、発売後の売上高の順調な伸長(現在年間75億円)がジクアスが非凡なお薬であったことを明白に証明しています。 ところで ジクアス はその薬理作用上、目の細胞からの水分とムチンという物質の分泌を促進するので、点眼後に目を潤す効果が強いお薬です。そのため多くの方が苦しんでいる [ソフトコンタクトレンズ装用中の目の渇き] に抜群な効果を発揮する のですが、残念ながら今まではソフトコンタクトレンズの上からは「原則として」点眼することが出来ませんでした。 それはジクアスが防腐剤としてベンザルコニウム塩化物というものを使用していたからです。このベンザルコニウム塩化物(我々の業界では「塩ベコ(えんべこ)」と略す)は非常に防腐剤としての効力が強い反面、角膜(くろめ)の表面を荒らしたり、ソフトコンタクトレンズを劣化させたりするという副作用があったのです。ただこの塩ベコを使わずに目薬を作るのには非常に高い技術力と費用が必要なので、特に安いジェネリック医薬品には大量で高濃度の塩ベコがべっとりと含まれているのが実情です。 さて今回ジクアス点眼液は製品改良により、 この悪の元凶である「塩ベコ」を取り除くことに成功 しました。 それによって、 ソフトコンタクトレンズの上からも安全に点眼が出来るようになりました。 ジクアス×ソフトコンタクトレンズのコラボレーションは非常に目が潤いますので、コンタクトレンズ使用中のドライアイ患者様にとっての大きな福音と思います。 素晴らしい製品改良 ですね。 我々眼科専門医が世界トップレベルの眼科医療を提供できているのは、この参天製薬に代表される日本の点眼薬メーカーの高い技術力に負うところが大きい のです。本当に感謝・感謝ですね。
2015.12.21
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さて今日からは、緑内障治療の第一選択剤である、プロスタグランジン関連薬の世界を見ていきましょう。 初回となる今回はキサラタン(一般名 ラタノプロスト)点眼液です。その強力な眼圧下降効果で1999年の発売と同時に爆発的な大ヒットとなり、「日本の緑内障治療を変えた」と言われる歴史的名薬ですね。 ちなみに私は1999年に眼科医になったのですが、ちょうどこのキサラタン発売と時期が重なったために、緑内障の点眼治療が飛躍的に進歩したことと掛け合わせて「キサラタン世代」と呼ばれていました。今から考えると特に意味はないのですが、当時は何だか最先端の様に感じていましたね。(笑) ところでこのキサラタンが出るまでは、上の一覧表の中のレスキュラ点眼液 が同じプロスタグランジン系統(厳密にはちょっと違う)唯一のお薬としてバカ売れしていたのですが、このキサラタンが発売になるやいなや、見る見るうちにそのシェアを落として、当時販売していた製薬会社のMR(営業マン)の方が真っ青な顔をして夜遅くまで大学医局の廊下に立っていたのを思い出します。多分会社で売り上げ減を怒られて必死だったんでしょうね。 さてこのキサラタン点眼液の特徴を一言で言うと、 眼圧が良く下がる上に副作用が少なくてバランスが良い ということになるかと思います。 前回紹介したPAPという副作用が少なめで、かつ眼圧下降のキレが良い、いいお薬なんですね。 ちなみにこのキサラタンが発売されて20年が経過した今では同じ系統にも色々な薬が出ているのですが、緑内障専門医の先生たちと飲んでいると、「ぶっちゃけていうと、やっぱりキサラタンがトータルで見たら今でも一番いいよね。」というお話になったりもします。(ちょっと秘密) そして私も、「キサラタンはやっぱりいい薬だなあ。」とこの記事を書いていても改めてしみじみと思います。キサラタンに救われた患者様の数というのは莫大と思いますし、もしもこの薬が登場していなかったらと思うと、ちょっとゾッとしますね。 ところで、キサラタンは発売後20年が経過しているので当然ジェネリック(後発)医薬品が存在します。「ラタノプロスト点眼液」というのがそれですが、今だとこの後発品の方が処方されるケースが多いだろうと思いますね。(続く)
2019.03.19
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さて前回の記事で、最新型のオートレフケラトメーターであるニデック社のARK-1を導入したというお話をしましたが、実はこれにはもう一つ、 別の目的 がありました。 この最新型のARK-1は、ソフトウェアの追加で調節機能を測定することが出来るのです。そして実は、 このソフトウェアが喉から手が出る程欲しかったためにマシンを買い換えた というのが本音だったのです。 それではご覧頂きましょう。じゃーん。これが調節機能測定ソフトウェアAA-2です。 このソフトウェアで何が分かるかというと、眼精疲労の原因の一つである「調節緊張や調節痙攣」の程度を調べて表示することが出来るのです。私達現代人はスマホやパソコンに取り囲まれており、そのせいで目のピントを合わせる筋肉には原始時代にはあり得なかったほどの過度な負担がかかっています。そして疲れ切ってしまった目は、IT眼症や調節緊張・調節痙攣といった病的な状態になってしまうことが急激に増えているのです。 ところが従来の眼科検査機械ではこの調節緊張の程度を調べることが出来ませんでした。患者様が目の激しい疲れ、痛み、眩しさ、涙目、視力低下などを自覚しているのに、苦しんでいるのに、どれだけ検査をしても異常が全く見つからないということが良くあるのですが、これらの症状の一部は実は調節緊張によるものなのです。 そしてこのAA-2はつらいつらい調節緊張症があるのかないのか、あるとしたらどの程度なのかをビシッと調べることが出来るのです。 それでは院長である私の検査結果をお見せしましょう。調節緊張症がばっちりと出ていますね。(汗) このソフトウェアの導入によって、当院で行える検査内容の幅は更に広がりました。そしてこれからも私達のアップデートは続いていきます。。。
2019.05.20
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さて当院では日本のトプコン社のOCT(3次元眼底撮影装置)である、 DRI OCT Triton(トリトン)2 を先日四国初導入しました。全国発売が今まさに開始されたばかりの超ホットな新型機となります。 当院では元々トリトン1を2017年に導入していたので、9年ぶりに最新型に買い替えたということになります。 このOCTと言うのは現代の眼科医療においては無くてはならない必須機械であり、日常診療の「大黒柱」とも言える最重要の存在です。買い替えた理由ですが、一番は緑内障と言う病気の検出力が圧倒的に進化したことです。 スキャンエリアが12×9ミリと広くなったことによって、ごく早期の緑内障性変化も見逃すことが無くなりました。デモで機械を持って来て貰って数日で、「これは凄まじい進化だ。新型機だからべらぼうに高価だけど、これは買うしかないな。」と強制的に納得させられた感じでした。 なぜかトプコン社の営業の方はこの「緑内障の検出力の強化」については全然ちっともプレゼンされず違うことばかりアピールされていたのですが、絶対最初にこれをイチオシで言うべきだと思います。というか、自分が営業の立場だったら絶対にそうします。 またそれ以外でも、画像の撮影スピードも凄く早くなりました。これは患者様の検査負担がとても軽くなることに直結します。 当院は「身近でコンビニ的な、気さくな開業医」として、「とにかくお待たせすることなく、スピーディーで快適、そして同時に高品質な医療サービスを提供する」ことを強く意識しており、これからもその目的達成のためにスタッフ一同全力で努力していきます。
2026.03.02
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平成20年5月八幡浜市江戸岡で開業致しましたにしわき眼科クリニックの西脇です。出身は愛知県名古屋市ですが、大学は愛媛大学で学び人生の半分近くはすでに愛媛県で過ごしております。 平成11年に愛媛大学医学部を卒業後、愛媛大学医学部附属病院、愛媛県立中央病院、愛媛県立南宇和病院で勤務し、平成18年の1月に市立八幡浜総合病院に赴任して参りました。八幡浜の明るく表裏のない人情、過ごし易い気候、美味しいご飯などに触れ「この地で開業して一生頑張ろう。」と決意を固め今回開業させて頂くこととなりました。 診療内容は一般眼科で各種レーザー治療、外来手術を行っています。手術は日帰りでの白内障手術を中心に、翼状片、眼瞼内反、結膜弛緩症などの外眼部疾患にも対応しています。八西地域は目が奥に窪んでいるいわゆる「奥目」の方が多くまたそれ以外でも様々な眼疾患を合併されている患者様が多くて我々眼科医の間では「愛媛県で最も白内障手術の難しい症例が多いエリアの一つ」として知られています。そのため私は市立八幡浜総合病院時代より悪戦苦闘して手術をしてきたのですが、今回開業して自らの看板を背負って手術をすることになり、今まで以上に常に勉強を重ね、慎重かつ丁寧な手術を心がけています。また同時に「自らの限界」を自覚して難症例は基幹病院にお願いする謙虚さを忘れずに手術に取り組んで行きたいと考えています。 何卒よろしくお願い申し上げます。
2009.01.26
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さて当院でもいよいよ今月中を目途に導入を予定している、さまざまな病気の診断・治療に大きな威力を発揮する、OCT(Optical Coherence Tomography: 光干渉断層計)という新しい検査機械ですが、4社のマシンをデモさせて戴きいよいよどれを選ぶのか最終決断の時が近づいています。 OCTは我々眼科開業医にとって「買いたい検査機器ナンバーワン」であると学会やネット上でも報告されており、私のように「あぁ、どれ買おう。迷うなあ」と悩んでおられる先生方もいらっしゃると思います。その割に各マシンへの実際のユーザーによる評価がネット上にはほとんどありません。私も色々検索しましたが大した情報を得られませんでした。 そこで今日は私が購入候補の各マシンの長所及び弱点をまとめて語ろうと思います。それはもちろん自分の考えをまとめて最終決断を下すためでもあります。現段階で候補に残っているのは下記の3社です。デモさせて戴いた順番に取り上げます。 まず1社目は日本のトプコン社の「OCT-2000」です。 トプコン社のマシンの最大の長所はその「汎用性の高さ」です。何しろOCTだけでなく、通常の眼底写真も同時に撮影することが出来るのです。患者様に眼底写真とOCT画像を同時に見て戴いて病状を説明することが出来るので、その分かりやすさは群を抜いています。 また、マシン本体がコンパクトでデザインも洗練されていること、タッチパネルで操作性が良いこと、各撮影モードがしっかりと考えて作り込まれていることも魅力です。 更に特筆すべきなのは、その前眼部(角膜や隅角という眼の表面に近い部分)の撮影のしやすさと画像のクオリティの高さです。他社は取り付け部品が武骨に大きかったり取り付けが難しかったりするのですが、トプコンのそれは超簡単です。前眼部OCTは使って見ると緑内障やレーシック術後の患者様に説明をするのに非常に有用で重宝します。 最後にトプコンのこのOCTは凄い勢いでバージョンアップしていることも魅力的です。今週中には緑内障3次元解析(3Dトポ)がそれまでの検査時間5分が大幅に短縮された新バージョンがデビューするとのことで、私としてはできれば一瞬でもその新マシンを見てから購入マシンを決定したいと熱望しています。 次に弱点ですが、他社、特にニデック社と較べたときにスキャンエリア(一度に調べられる範囲)がやや狭い(限界で6×6ミリ)こと、付属しているカメラのクォリティがやや低いように感じられること、また私がデモした段階では緑内障診断モードでの視神経乳頭のオートでの検出力がかなりダメダメだったことです。 さて次の2社目は同じく日本のニデック社のRS-3000です。 ニデック社のマシンの最大の長所はその撮影のしやすさ・早さです。操作はほぼフルオートで簡単、非常に簡単に快適にレベルの高い撮影が出来ます。また検査結果の画像の美しさはまさに絶品、流石は「技術のニデック」を思わせる素晴らしい機械です。 更に素晴らしいのが、9×9ミリと言う驚異のワイドスキャンエリアを持つことです。このワイドエリアで撮影すると、視野検査では全く検出できないレベルの初期の緑内障も丸分かりです。まさに鳥肌が立つほどの技術力、ニデックは凄い会社だと思います。余談ですがニデックの機械と言うのは本当に壊れません。恐らく技術の精度が高いんでしょうね。 次に弱点ですが、機械のサイズが大きくてややかさばること、その高性能を反映して価格が他社と比較すると高いことがあげられると思います。また、ニデックは技術オリエンティッドな会社なので伝統的にそうなのですが、検査結果表示画面が他社に較べると洗練されていないというか直感的に分かりにくい感じがあります。また後眼部(網膜と視神経)撮影モードが驚異的に優れている半面、前眼部撮影モードはこれまた逆に驚くほど出来が悪いです。(ただしメーカーによるといずれバージョンアップで改善する予定とのことですし、ニデックの技術力を考えればそれは間違いないでしょう) さて最後の3社目はドイツのカールツァイス社の「シラス HD-OCT モデル400」です。 このカールツァイス社のマシンの最大の長所は「ワールドスタンダードである」と言うことです。学会発表や論文(特に海外)でのOCTデータは、カールツァイスのものを使用することが多く、大学等の研究機関ではこのカールツァイスのマシンはマストアイテムです。 また検査結果画面の表示の分かりやすさも非常に魅力的です。この点においては他社の追随を許しません。前眼部・視神経・網膜、全てのレポートが必要十分かつ簡潔にまとめられており、パッと見ただけで瞬時に直感的に結果を理解することが出来ます。 弱点は、患者様があごを載せる台の操作性がかなり悪いこと、更にそこが故障しやすそうなこと、ソフトのバージョンアップ代金がかなり高額なこと、スペックだけで見ると国産マシンに見劣りすることです。 さて、いよいよこの3社の中から購入マシンを決定します。それぞれのマシンに魅力があり決断は困難を極めそうです。。。。。。
2010.08.24
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さて当院では7年前の開業時に日本のコーワ社のAP-6000という視野検査装置(緑内障の方の見える範囲を調べる検査で使うもの)を導入していました。 このAP-6000はその後ずっと快調に作動しており特に問題も無かったのですが、この7年の間に新型のAP-7000へとモデルチェンジしており、ディーラーの吉田メディカル様の御厚意でそれをデモする機会がありました。 デモする前は、「以前に学会場でコーワのブースに立ち寄った時に営業のおっちゃんが「ぶっちゃけ正直に言うと、別に買い換えるほどではない。」と言ってたし、多分大したことはないだろう。」と踏んでいました。 ところが実際にデモをしてみると、この機械、実に素晴らしかったのです。それでは具体的にどこが良かったのでしょうか? 2点あります。 1. 新たに600人以上の日本人の正常眼のデータベースを搭載していて、これのおかげで検査の精度が物凄く上がっている。 2. 緑内障かどうかを判定する診断ソフトを新たに本体に内蔵しているのだが、これの出来が滅茶苦茶良い。 ということでした。この2について具体的に解説しましょう。 これはある患者様の視野検査の結果です。左上の円で黒いところが視野が欠けているところになります。しかし視野が欠けている=緑内障ではありません。何故なら、白内障、近視性網脈絡膜萎縮、BRVO(網膜静脈分枝閉塞症)のレーザー治療後、頭部外傷後の視神経萎縮、SSOH(上方視神経低形成)など、多彩な疾患が緑内障に似た視野異常を来たすからです。つまり、緑内障と診断するには「視野の異常と目の底の視神経の異常の状態が一致していること」が必要なのです。 ところが実際の臨床の現場では、「うーん、これは微妙だな。。。」と診断に迷うことも少なくないのです。そういった時にAP-7000内蔵の緑内障判定ソフトが非常に役立ちます。 簡単に言うと、上の図のPSD、GHT、PDの3つの指標の内1つでもオレンジ色に変わっていると緑内障性の視野異常があるということになります。 ということで、このAP-7000、実際に使ってみるとAP-6000から較べると物凄く進化していたのでした。コーワの営業のおっちゃんはちょっと謙遜しすぎだと思います。(笑) 私は借りて3日くらいで「あ、これは買うしかないな。」と確信したくらいには出来が良く、そのまま購入となりました。全国のAP-6000ユーザーの皆様も、是非一度使ってみてください。
2015.09.30
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さて新型白内障手術装置のセンチュリオンですが、使ってみると旧機種であるインフィニティに較べて圧倒的に進化していました。 実はセンチュリオンのデビューからは既に結構年月が経っているのですが、目の中に入れるハンドピースにセンサーが新規に掲載されて、目の中の圧を常にモニターしながらより安全に手術できるように進化したことが今回の購入の決め手となりました。 さてこのセンチュリオンを実際に使ってみると、目の中で水晶体を削る先端のチップの性能が上がっていて非常に効率が良くなっていることに感心しました。 ただ、実はそれ以上に、水晶体核を処理した後の、周りの皮質というものを除去するI/A(アイエー)という過程での前房(ぜんぼう:目の中のこと)の安定性の向上が凄いと思いました。インフィニティユーザーの先生なら、100%その差が実感できると思います。私はセンチュリオンで最初に手術をした瞬間に「後嚢(こうのう:水晶体の後ろ側の袋のこと)がぴくりとも動かない。すげえ安全になってるな。これは買い替えて良かった。」としみじみ実感しました。 これからどんどんセッティングを煮詰めながら、新マシンと共に更に白内障手術に精進していく所存です。
2021.07.05
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進行すると最後は失明してしまうことのある怖い病気緑内障、治療は主に目薬で眼圧を下げることですが、目薬ではどうしても目標とする眼圧まで下がらない場合に外科的な手術を選択することも当然あります。 手術は、大多数の場合は目の中の水の出口(線維柱帯:せんいちゅうたい)の一部を切り取って眼圧を下げる、「線維柱帯切除術」が行われます。 上の写真で水色の部分の奥に線維柱帯があり、それを切除したことによって房水(ぼうすい)という目の中の水が外に流れ出し、濾過胞(ろかほう)という水ぶくれ(上の写真でblebと書いている所)を目の上の部分に造ることによって眼圧を下げています。 ところがこの緑内障の手術というのは、術後に一定の確率で感染症を起こすことがあるのです。文献によって多少差はありますが、平均で2~3%の頻度でこの濾過胞(=bleb)感染が起こると言われています。 そのため当院でも年に1人くらいはこの濾過胞感染症(=blebitisと言います)の方の治療をすることがあります。つい先日、このblebitisを発症された患者様が来院されたので、それがどのような状態のものなのかを実際に見て頂きましょう。 この患者様は「4、5日前から左目がかゆい、おかしい」と言って来院されたのですが、上の写真で真ん中にある濾過胞が黄白色に混濁し周りも強く充血しています。 この炎症が目の中にまで及ぶと最悪の場合失明してしまうこともあるため、速やかに強力な治療を開始する必要があります。この方に関してはニューキノロン系+セフェム系という2種類の広い範囲のばい菌に効く目薬を1時間ごとに点眼するという治療を開始し、 次の日には症状はかなり改善しましたが、まだ油断できない状態が続いています。 このように緑内障の外科的手術を受けた患者様には、常に術後の感染症発症のリスクが付きまといます。なので、強い目の痛みや充血などを感じたときには、すぐに我々眼科専門医を受診するようにして下さいね。
2010.03.19
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目にゴミが入ったら皆様どうされますか? まず目をこすって取ろうとしたり、それでも取れなければ洗面器に水を張って目を洗ったりしますよね。それでも取れなければ? 眼科を受診されますよね。 今日は 「みかんの摘果をしているときに何かゴミが目に入って、 洗っても何しても取れない」 という訴えで患者様が来院されました。 この摘果というのは「実が小さいうちに取ってしまい、果実の数を制限することにより,1つづつの果実により多くの栄養がいき届くようにし、外観の美しい果実、適当な大きさの果実を残すようにすること」なのですが、私のクリニックのある八幡浜エリアは全国有数のみかん産地で今がその摘果の最盛期ということもあり、作業中にゴミが入って受診される方が後を立ちません。 患者様は強い目の痛みを訴えて苦しんでおられます。早速目を拝見すると、 確かに目に黒いゴミが入っています。ピンセットで軽くつかんで引っ張ってみてもなかなか取れません。良く見てみると、、 なんと、ありんこでした! 足を白目(結膜)に深く刺して落ちないようにしがみついたまま絶命しています。なので、洗ったくらいでは取れなかったんですね。 このように、実は目の中というのは色々なものが入ります。洗っても取れない場合は今回のようなこともありますので、是非お近くの眼科専門医を受診されてくださいね。
2009.08.08
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学校の視力検査で近視が進行して引っ掛かり眼科を受診されるお子様はたくさんいます。お父さん・お母さん方は「ウチの子の近視が進んでメガネをかけさせるのは絶対イヤ!」と思われる場合も多く、「近視が治る目薬ってないんですか?」という上記の質問を受けることが非常に良くあります。 結論から先に言うと、「近視の治る目薬はあるような、ないような感じです。」という謎掛けのようなお話になります。今日はその「近視の治る目薬」のお話をしてみましょう。 昔の言葉で言う「学校近視」、今の言葉で言うと「仮性近視」、「偽近視」と呼ばれるものがあります。イメージ的には「近視が進行してきているけどまだ固まりきっていない状態」とでも言えるでしょうか。 医学的にはこの「仮性近視」については、 1. そもそもそのような病態が存在するかはっきりと分からない。 2. 仮性近視は存在するかもしれないが、治療可能なものは数少ない。 3. 仮性近視の治療には一定の効果が認められるものがあるのは事実だが、治療を中断すると元の近視に戻ってしまうことが多いので、結局はあまり意味が無い。 あたりがコンセンサスかと思います。まとめると、「平均的には我々眼科専門医は仮性近視の治療は根本的にはあまり意味が無いと考えている。ただし治療中には一定の効果をあげる可能性のある目薬というのは実際に存在し、また近視のお子様を持つご両親の希望が強い場合には処方する場合もある」くらいの感覚なのです。 それでは実際に、その「仮性近視」の治療ではどのような目薬を使うのでしょうか? それには、、、、、 この「ミドリンM」と「ミオピン」という2種類の目薬を使用します。我々の業界ではこれを略して「MM療法」と呼んでいます。 ミドリンMは、目のピントを合わせる筋肉である毛様筋(もうようきん)の緊張を和らげてリラックスさせ、仮性近視を戻らせる作用があります。ただし散瞳(さんどう)といって瞳を開く効果が同時にあり、昼間に使用すると日常生活に支障が出るため通常夜寝る前に1回使用します。 ミオピンは1日に4回使用します。この目薬は目の毛様筋(もうようきん)の反応を良くし、また目の疲労回復作用を持つことから、毛様筋が昼間に緊張状態に戻るのを妨げる作用があると考えられています。そのため、ミオピンはミドリンMのすき間を埋める役割をするので、ミドリンM単独療法よりも併用療法の方がより効果があるとされています。 実際、このMM療法の有効性を報告した文献も古いものですが存在しています。 また、このミドリンMもミオピンも歴史のある薬剤であり、長年の経験から安全性が非常に高いことも証明されています。 ここまで読んで頂くととっても効きそうな感じのするこのMM療法なのですが、実際に患者様に処方してみると「点眼中は少し近視が改善することもあるが、それで近視が実際に治るかと言われるとなかなか厳しい」といったところです。 近視が治る目薬が開発されたら私も眼科専門医として本当に嬉しいのですが、現状ではこのMM療法以外に「近視に効く」と言われている目薬はありません。でも医学の進歩と言うのはとにかく早いので、いつの日かそんな夢の目薬が開発されるかもしれないですね。
2010.10.29
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現在緑内障の治療では「プロスタグランジン関連薬」という系統のお薬を第一選択薬として使います。眼圧(眼の血圧)を下げる効果が一番強いからですが下に示すのがその代表的な薬(プロスト系)です。 上の写真の中で、左端の 「キサラタン点眼液」 が発売されたのが1999年、この薬の登場が緑内障治療を劇的に変えたといわれる、当時まさに画期的な新薬でした。ちなみに私が眼科医になったのも1999年のことで、それで我々は「キサラタン世代」と呼ばれています。 キサラタンはあまりに画期的なお薬だったためにその後何年もライバルが現れませんでした。数年前からようやく「トラバタンズ点眼液」、「タプロス点眼液」という同系統の薬が発売されたのですが、その薬の効果はキサラタンとほぼ同等で、「もっと眼圧の下がる」キレの良い薬の発売が望まれていました。 10月第一週に 「ルミガン点眼液」 という新薬が発売になるのですが、 この薬は前述の「キサラタン」に対して有意差を付けて眼圧が下がるというデータが出ています。 簡単にいえば 「過去最高の効き目の薬」 ということです。その理由を下の図に示していますが、分かりやすく言えば 「患部に直接ガツンと効く」 ということになります。 ただ、良いお薬には当然副作用もあります。このルミガンは今までの薬よりも 強烈に目が充血する と言われています。早速当院のスタッフにお願いして実験してみました。 右目だけにさしたのですが、 明らかに左目 より強く充血していますね。ただ、肝心の眼圧の方は、 13.7→8.7と確かに良く下がっています。これは期待できそうですね。! この期待の新薬、ルミガン点眼液、発売と同時に当院でも採用します。少しでも緑内障患者様の不安が減ってくれたらと思いますし、私も発売を心待ちにしています。
2009.08.21
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毎年この時期はタウンページへの広告掲載の原稿をやり取りする時期なのですが、 その広告の内容で悩んでいます。 前回は初めてのタウンページへの広告掲載ということで、 頑張って2分の1ページの大きな広告を載せたのですが、タウンページへの広告はやはりその効果・知名度・配布先の多さもあり非常に高額なんですね。そのため、今回は金額と効果の面からのベストバランスを探りたいということで、「サイズを小さくしてその分カラーを入れるようにしようかな?」と考えて、NTT電話帳の担当者の方に何パターンかの新しい原稿をお願いしていました。 順番に見ていきましょう。 これは4分の1ページサイズのフルカラーバージョンです。綺麗で分かり易いですが、去年のモノクロの2分の1サイズと料金は同額となります。 これは6分の1ページバージョンです。このくらいでもいいかな? これは、ちょっと小さすぎるかな? うーん、悩みますね。NTT電話帳の担当者の方ともう少し相談しながら最終決定したいと思っています。
2009.12.11
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当院は開院2年目を迎え、より安全で快適な医療を提供できるように様々な部分で見直し・改善を進めているのですが、その一環としてこの度「手術前問診表」を導入いたしました。 表の項目は今までも私が患者様に口頭でお尋ねしていた内容ではあるのですが、確実性を増すためにこのような形としました。ちょっとその内容を御覧戴きましょう。 眼科の手術、特に白内障手術というのは、現在術式が極めて洗練されたものとなっており安全性も非常に高くなっています。ただやはり手術ですので思わぬ大きな合併症が起こることも0%ではありません。 当院では全ての手術を日帰りで行っているので、なおさら手術には万全の備えが必要となります。このような項目に事前にお答え戴くことにより、手術をより安全・確実に施行する事ができますので、皆様のご協力をよろしくお願い致します。
2009.05.25
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さて当院では新型白内障手術機械のインフィニティを購入したところですが、今日は製造販売元の日本アルコン社のサージカル担当の方にお願いして、A-Vit(エービット:前部硝子体切除)の勉強会をしました。 このA-Vitというのは、白内障手術時に後嚢破損(こうのうはそん)という合併症が起こった場合にトラブル処理に使う機械です。登場頻度は極めて低いのですが、だからこそ事前の入念な準備が必要なんですね。 本物のセットを開けて、インフィニティに接続して使用してみます。 このインフィニティには、アキュラスという硝子体(しょうしたい:目の奥のドロドロした物質)切除用の本格的で切れ味の良いカッターをつなぐことが出来ます。しかも25Gという極めて細い最新型の物が使えます。傷口を拡大せずに小さな切開創から使用できるので患者様の負担も軽いんですね。 ただ、インフィニティで唯一問題なのは、A-Vit使用時に毎回「Vitrectomy Cut I/A」モードを選び直さなくてはならないことです。元々の設定が「Vitrectomy I/A Cut」モードになっており、これを修正できないんですね。 A-Vit時には、必ずCut→I/Aモードを最初に使用する必要があります。I/A→Cutモードを先に使うと網膜はく離などの重い合併症に繋がることがあるので要注意なんですね。 素晴らしいマシンであるインフィニティがこんな単純なおかしな設定を修正できないというのは不思議な気がするのですが、サージカル担当の方によると「アメリカでは専門が別れているので、白内障手術専門医は本当に白内障しかしない。トラブルが発生して追加のA-Vitが必要になるとそのまま硝子体手術専門医に送るシステムになっておりあまりA-Vitを使わないので、多分そのせいで細かい設定に大らかで気にならないのでしょう。」ということでした。 うーんなるほど、機械を通してその国の医療システムが透けて見えると言うことなんですね。とっても勉強になりました。
2011.10.13
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さて本日5月11日、大型緑内障新薬のアイファガン点眼液がいよいよ全国発売となります。「アイファンガン点眼液って何?」という方はまず こちら をご覧下さい。さてこのアイファガンがアメリカで発売されたのは1996年と実に16年前のことでした。そしてその後ずっとベストセラーを続けている名薬です。日本はとにかく新薬の認可が遅く、我々眼科専門医はこの名薬を長年使うことが出来ずに悔しい思いをしてきましたが、今日ようやくその夢が実現し嬉しい限りです。 さて今日はその実際のサンプル品をスタッフと共に試して見た時の体験を実際に見て頂きましょう。 一瞬、「緑内障の目薬なので、まさか悪ノリして液まで緑色なのかな?」とびっくりしましたが、緑なのは外側の包装だけで中身は透明で安心しました。(笑) さて今回は大型新薬ということもあり、5人で点眼にチャレンジして見ました。 まずは院長の私から。 眼圧は点眼前が12.3で点眼後が11.7です。うーん、イマイチですかね。ただ私は様々な目薬を試し過ぎているので、ちょっと目薬に耐性が出来ているせいがあるかもしれないですね。(笑) 次はスタッフで点眼チャレンジ初登場のゆみちゃんです。 眼圧は13.7→10.7です。良く下がっていますね。 次は点眼チャレンジ常連のきみちゃんです。 眼圧は13.7→11.0です。うん、良く効いていますね。 次はゴンちゃんです。 良く下がっています。ちなみにゴンちゃんは素直な目をしており、どの目薬も良く効く素敵な体質のようです。(笑) 最後は点眼チャレンジ初登場のともちゃんです。 眼圧は15.0から13.7に下降しています。まずまずですね。 以上をまとめると、アイファガン点眼液はどうやら期待通りの優れた眼圧下降効果を発揮しそうです。また点眼時の不快感もほとんどなく非常に点しやすい目薬であると言う点ではスタッフ全員の評価が一致しました。かなり総合戦闘力が高そうですし、実際どれほど患者様のお役に立ってくれるのかが本当に楽しみですね。
2012.05.11
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本日、当院の3次元眼底像撮影装置、トプコン 3D OCT-2000 をバージョンアップして貰いました。 今回はプログラムのバグ取りなどの小さなバージョンアップだったのですが、それにしてもトプコン社のこの3D OCT-2000に賭ける気合は凄いものがあります。とにかくバージョンアップが頻繁でどんどん良くなっているんですね。 OCTに関しては現在多くの商品がしのぎを削るまさに戦国時代です。トプコンのライバルのOptovue社のRTVue-100は緑内障診断ソフトウェア(GCC)が秀逸、OCT本家のカールツァイス社はとにかくデータの見せ方が上手い、日本の二デック社のRS-3000はとにかく撮影が早く簡単で、かつ驚異の広範囲スキャンができるといった状況で、個別で見るとトプコンのOCTにはまだまだライバルに及ばない点が目立ちます。 ただトプコンのOCTは以前にも書きましたが、何といっても汎用性が高く、OCT画像と同時に通常の眼底写真も撮ってくれて、実際の眼底写真とOCT画像を同時に見て戴きながら分かりやすく病状を説明することが出来るので患者様に大好評なのが魅力です。更に前眼部(角膜・隅角)、緑内障(視神経)、網膜の各撮影モードのどれもが他社と比較した場合にムラ無くまずまず優れており、トータルバランスに秀でたマシンです。 しばらく前にトプコンの眼科部門の偉い方にお会いする機会があり、その時に私が「いやあ、3D OCT-2000、熱いマシンですね。現場で使っていて開発陣の気合が伝わってきますよ」と言うと、「そうでしょう。ここだけの話、3D OCT-2000、開発費が尋常じゃないんですよ。売れてくれないとマジでヤバイんです。」ということでした。ユーザーからすると非常にいい話ですね。 これからもこの トプコン 3D OCT-2000 のバージョンアップのスピードに負けないように、私も眼科の勉強を積み重ねていこうと思っています。
2010.10.21
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さて2月4日(土)、初日に非常に勉強になったのは「強膜炎の薬物療法」、「強膜炎の外科的治療」という2つのプログラムでした。 強膜というのは、眼球そのものを形作っている丈夫で文字通り「強い膜」で、普段は白い色をしています。そして、この膜に炎症が起きている状態を強膜炎といいます。 症状としては、強い充血と痛みです。強膜炎の充血は比較的深いところで発生してるので、黒っぽい赤色に見えるのが特徴です。充血している部分は押すと痛みを感じます。この「痛い」というのが強膜炎の最大の特色であり、しかもその痛みは患者様によっては「鉛筆を目に刺されたよりも痛い」と言うほど激烈です。具体的に実際の患者様の状態を見て頂きましょう。 この強膜炎はリウマチなどの自分で自分自身を攻撃してしまう自己免疫疾患に合併することが多いですが、色々調べても結局原因が分からないことも良くあります。 そして、これだけ医学が進歩した現在でも治療に難渋することが多く、最悪の場合は強膜が溶けて(壊死して)穴が開いてしまうことさえあるのです。そのためこの強膜炎と言うのは、我々眼科専門医にとってはその知識量・経験・状況判断力・決断力を問われる非常に厳しい病気なのです。 今回のプログラムではこの強膜炎について様々な角度から勉強することが出来ました。 ↑ このように強膜炎の原因疾患というのは無数にあり、それがこの病気の治療を難しくしています。 ↑ そして、上のスライドにあるとおり、「とにかく痛い」こと、これが困るんですね。 ↑ そして、目薬だけであっさり治る症例から、内科的・外科的治療を総動員して何とか治った症例、どうしても治せない症例まで、その予後は本当に千差万別です。 ↑ 治療法は一応のフローチャートはありますが、これがまた一筋縄ではいかないのです。 ↑ これは重症例の写真ですが、激烈な炎症で強膜が溶けてしまい、その奥のぶどう膜という茶色い組織が出てきてしまっています。 ↑ こうなると、強膜パッチ術といって、他の方の献眼された目を持ってきて弱いところに貼るという外科的な治療をするというのが教科書に書いてある定説なのですが、 ↑ うかつにこのパッチ術に手を出すと、パッチをしても次から次へと溶けてしまってまた穴が開き、「合計したら数個分の目をパッチに使ってしまった!」というような凄まじい状況におちいることがあるので、「うかつに外科的治療に踏み切らないことが大切である」ことが解説されました。 重症例の治療法の実際を聞くことが出来て、本当に勉強になりました。(続く)
2012.03.23
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さて、必死の思いで発売に漕ぎ着けたムコスタ点眼液ですが、実際に出来上がってきた製品は成分が安定しにくいために一回毎の使いきりタイプのみで、液は濃く白濁し点眼すると強い苦味を感じる、という典型的な、 「良薬口に苦し」のややハードボイルドな使いにくい目薬 でした。 また、ドライアイの患者様には高齢者の方が多いのですが、この1回1回使いきりのユニットドーズの目薬は、「開封が難しい」、「小さいので点しにくい」などの大きな欠点がありました。 また、目薬が白色の濁り液なので、点眼した後にしばらく目がかすんで見えにくくなる、点した後に強い苦味が来る、というのも大きな欠点でした。 このような弱点から、発売後のムコスタ点眼液は臨床の現場では「かなり処方しにくい」、「処方した後に患者様からのクレームが出やすい」、気難しい薬となってしまいました。 製造販売元の大塚製薬では発売前のマーケティング調査で、「使いきりタイプで濁り液なので、それにより普通のフルボトルタイプの無色の点眼液だった場合に較べて売上が1割程度減る。」というデータが出ていたということなのですが、私は初めてムコ点の見本を見た瞬間に「これは実力の3分の1売れればいいところだろうな。」と直感したくらいだったので、やはり発売前のマーケティングに甘さがあったのは事実ではないか?と個人的には考えています。 そしてこの厳しい状況に輪をかけたのが、ライバルの参天製薬のジクアス点眼液の「トータルでの圧倒的な完成度の高さ」でした。 参天製薬は「クスリの成分を溶かして目薬に仕立て上げる能力」では世界一と言われており、またその眼科薬メーカーとしての長い歴史から、「使いやすくて点しやすい」目薬を作ることに長けています。 具体的には参天製薬の目薬というのは、 瓶の真ん中にくぼみ(ディンプル)があって、高齢者等指の力が弱い方でも楽に確実に点眼しやすい工夫がされています。 また目薬に含まれる防腐剤というのは、角膜(黒目)や目の周りの皮膚の荒れを引き起こすことがあるのですが、参天製薬はこの防腐剤に関する 特許 をたくさん持っており、他社よりも目に優しくて安全な目薬を作ることが出来ます。 つまりジクアスは「点眼薬としての総合力が抜群」で、しかも販売でも既に圧倒的に先行していたのです。 発売が遅れ、しかも製品としての総合的な洗練度もガクッと落ちるムコスタ点眼液、その戦いに数多くの苦難が待ち受けていることは初めから明らかだった、残酷な言い方をすれば「最初から勝負は見えていた」ともいえるんですね。(続く)
2013.03.11
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どうして人間の瞳は丸いのですか? という質問を患者様から戴きました。今日はこの問題について考えて見ましょう。 まずここで言う瞳と言うのは目の真ん中に開いている「瞳孔」のことですね。私達人間は 「外界からの情報の80%を目から手に入れている」 と言われており、その入り口となるとても重要な部分となります。 さてこの瞳孔、我々人間はたまたま丸いわけですが、 実は動物によって異なる のです。! (眼科セカンドオピニオン 銀海舎 P53より引用) 猫が縦型なのは割と皆さんも御存知かと思うのですが、 ヒキガエルはなんとハート型 なんですね。 また我々人間でも、たまにこのハート型の瞳を見ることもあります。 これはある患者様に検査のために散瞳薬という目薬を入れたところなのですが、上方の虹彩(茶目)の一部がその後ろの水晶体とくっついている関係で、偶然「ハート型」になっています。 患者様に「目がハート型になっていますよ。」とこの写真をお見せしたら大変喜んで頂いたのですが、とっても珍しいものが見れて私も嬉しかったです。こういった様々な楽しいことがあるので、私は毎日の外来診療が大好き なんですね。
2016.06.06
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さて当院に導入して半年以上が経過した、イギリス オプトス社の超広角眼底カメラ(目の奥の網膜の写真を撮るマシン)のオプトスデイトナ。 このオプトスの凄さを改めて復習すると、普通の眼底カメラは画角30度くらいの狭い範囲しか撮影できないのに対して、オプトスは一度に200度、網膜の80%をカバーする範囲が撮影できるということです。しかも無散瞳(むさんどう、瞳を開く検査薬を使わずにそのまま撮影できる)、非接触(目に器械が触れない)、短時間という、3拍子揃ったいい所だらけのまさに夢のマシンです。 さてこの夢のマシン、オプトスを導入してから私は毎日の外来診療がより楽しくなったのですが、その最大の理由が、 目の奥の網膜の状態が手に取るように全て分かる ようになったことでした。従来の眼底カメラだと画像を継ぎ合わせないと網膜の全体像と言うのは把握できなかったのですが、このオプトスだとそれが一発でOKなんですね。 今日は恐ろしい病気として知られている 網膜剥離(もうまくはくり) の術後の網膜の状態をご覧戴きましょう。 上の図の矢印の部分に丸く開いているのが網膜剥離(RD)の跡です。この大穴から水が入って網膜が剥がれてしまい緊急手術を要しました。穴の周りがブツブツに見えるのは穴を塞ぐ為にレーザーを何重にも打ってカチカチに固めてあるからなんですね。非常に綺麗に手術が出来ており今は視力もすっかり良好に回復しているのですが、術後の状況が手に取るように分かります。 このように オプトスと言うのは毎日の外来診療に凄まじい効果を発揮 してくれます。「もう2度とオプトス無しの生活には戻れない。」と言っても過言ではないですね。
2016.06.10
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さて2010年12月の発売以来、今や日本人の国民病とまで言われる「ドライアイ」の治療を革命的に進歩させた参天製薬の名薬にして、発売7年が経過した今もベストセラー街道をばく進する、ジクアス点眼液。 このジクアス点眼液はその薬理作用上、目の細胞からの水分とムチンという物質の分泌を促進するので、点眼後に涙の量を増やしてくれます。そしてその「うるおい効果」が点眼後約1時間も持続するという、画期的で優れものの目薬です。 その為、「ジクアスが無いともう生活が成り立たない。」と仰られる患者様もたくさんいらっしゃるくらいに大人気のお薬なのですが、ベストセラーで売り上げが多い(2018年3月期で見て、1年間で128億円)が故に、逆にクレームが目立つ点眼薬でもあります。 そしてそのクレームの中で断トツに多いのが、 ジクアスを点眼すると、その後で半透明のネバネバした目やにがたくさん出てきて気持ち悪い というものです。この「ジクアス点眼後に目やにが出る」という患者様からの訴えは非常に多く、私が1週間外来をしていると、最低でも1、2回は聞きます。 これは一体何なのでしょうか? ジクアスの何か危険な副作用なのでしょうか? 今日はこの「ジクアス点眼後の目やに」の正体について、私が眼科専門医として分かりやすく回答しましょう。 先ほども書いたように、ジクアスを点眼すると目の表面からムチンという物質が放出されます。これは納豆の様にネバネバしたものなのですが、この ジクアスの効果で出てきたムチンが、目の表面の常在菌をトラップしてトリモチのように絡めとって「目やに」として出てくる のです。 つまり、 ジクアス点眼後の目やには、お薬が効いている証拠 でもあるということなんですね。 ちなみに、このジクアス点眼後の目やには、無構造でバクテリアなどをトラップしたものであり、炎症細胞はほとんど認められない、いわば無害なものであることが専門的な研究によって既に分かっています。 以上をまとめると、 ジクアス点眼後の目やにに対してはそれほど神経質になる必要はない と思います。ただドライアイ治療ではジクアス以外にも有力な選択肢はたくさんありますので、どうしても不快で気になる場合には違う点眼薬に変えればそれで済む話でもあります。 なので、どうしても気になる方は、是非気軽に次回の外来で私達眼科専門医に相談してくださいね。
2018.06.11
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シリーズでお送りしている「緑内障点眼薬の世界」。 今日も緑内障治療の第一選択剤である、プロスタグランジン関連薬の世界を見ていきましょう。 6回目となる今回はエイベリス点眼液(一般名 オミデネパグイソプロピル)です。一般名がえらく難解ですね。そういえば、しばらく前に学会に行った時に、緑内障の世界では有名な某大学教授が、名前を言い間違えて舌を噛んでいました。 このエイベリス点眼液は以前にも当ブログで紹介したことがあるのですが、プロスタグランジン受容体のサブタイプのひとつであるEP2受容体作動薬です。今日は復習として改めて詳しく見ていきましょう。 これは今までに全くなかったブランニューの効き方をする画期的な新しいお薬となります。具体的には、目の中を流れている「房水(ぼうすい)」を2種類の経路を使ってその流出を促進することで眼圧を下げてくれます。 一番気になるのはその効き目ですが、 現在緑内障治療でファーストラインとして使用されている名薬 キサラタン点眼液(一般名:ラタノプロスト) に比べて「非劣性」 であるというデータが出ています。つまり、 滅茶苦茶良く効く ということですね。 またキサラタンに代表される プロスタグランジン製剤(他にはトラバタンズ、タプロス、ルミガンなどのお薬があります。) には、点眼によって目の周りが落ち窪んだり、黒くなったり、毛が生えたりという、患者様に非常に嫌がられている、 PAP(眼窩周囲症状 Prostaglandin associated periorbitopathy)と呼ばれている副作用 があるのですが、エイベリスはこのPAPが少ないと言われています。 ただその一方で、 結膜(白目)の充血や黄斑浮腫(目の奥の網膜の視力に関係する大切な部分の腫れ)などの副作用がやや多い という欠点があります。そのため、 白内障術後で目の中に眼内レンズが入っている患者様や、タプロス(一般名:タフルプロスト)という点眼液を使っている方への使用は禁忌 となっています。 さて眼科専門医として正直に言うと、このエイベリス点眼液はやや副作用が多そうで、「ちょっと気難しそうな薬」という印象はあります。ただその一方で現在緑内障治療のファーストライン(第一選択薬)である前述の プロスタグランジン製剤のPAPという副作用をものすごく、死ぬほど嫌がっている患者様というのは実にたくさんいらっしゃるので、そういった方々へのオプション的な選択肢としての魅力は凄くある と思います。 後、これはあくまでも個人的な意見なのですが、このエイベリスは副作用として角膜肥厚(点眼によって黒目が分厚くなる)が報告されているのですが、これは逆に色々な感染症や炎症性疾患で角膜が薄くなってしまった患者様に治療薬として使える可能性があるんじゃないかな?と以前から思っています。薬の作用というのは不思議なところがありますからね。 いずれにせよ、「日本発&世界初」のこの新しい機序を持ったエイベリスの今後の活躍が楽しみです。
2019.07.05
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さて数か月前に新規導入した新型白内障手術装置、センチュリオンですが、日本アルコン社の担当の方と相談しながら、セッティングを煮詰めてきました。 私はすべての手術を「自分の両親の目の手術をするような気持ちで、とにかく丁寧に確実に施行する。」と決意しています。そのためマシンセッティングは時間短縮&効率重視ではなく、若干効率が悪くても合併症を起こさないことを最優先したマイルドなところを目指しました。 ただそうは言っても、早い手術=患者様の負担の少ない手術という側面もあるので、安全性を担保できる範囲内での効率化も同時に追求しました。 そして試行錯誤の末、「まずまずだな。これでイケるな。」というところに到達できたと考えています。 以下は現時点でのセッティングの画面です。ちょっと眼科専門医向けのマニアックな内容になりますが、自分用のメモも兼ねて貼っておきます。 私はCCC(水晶体の前嚢というところを丸く切除する手技。手術で一番重要なところ)の時に安全性最優先のためにヒーロンVという目の中の空間保持力が一番強い粘弾性物質を使って行っています。そのためUS(水晶体の中身を超音波で削る手技)の前に、内圧を下げるためにヒーロンVを一部抜かなくてはなりません。ただセンチュリオンは以前使っていたインフィニティに較べてtipの内径が小さいため、詰まってしまうことが多発しました。そこで細かく何度も設定を変えて、結局吸引の立ち上がりを300mmHgからと高めにし、更にトーショナルという超音波の横振動を10%入れることによって、問題はほぼ解決しました。 USは全例「ディバイト&コンカー」というこれまた安全性最優先のやり方で、核の2分割後の設定がこちら。自分は前房(手術時の目の中の作業スペース)がしっかりと保たれているのが好きで、それでボトル高は高め。そして吸引圧と流量は低め。核の寄ってくるのがマイルドで若干物足りないが、合併症防止のためにはそのくらいでいいと思っている。 最後のI/A(水晶体核を処理した後の、残った皮質を取る手技)はこちら。これもマイルドな設定。それにしても本当にセンチュリオンのI/Aは優れている。安心感が半端無い。まだ旧機種のインフィニティーを使っている先生はこのI/A目的だけで即買い替えて良いレベル。
2021.09.08
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さて当院では開院時からドイツのカールツァイス社のルメラという手術顕微鏡を導入しています。17年前には我々眼科専門医の間で「最近出たツァイスのルメラ、ヤバいくらいに良く見えるよ。」と話題騒然となったニューマシンで、当時目が飛び出るほどに非常に高額だったものの、頑張って買ったのでした。 それから長い時が流れましたが、このルメラは今でも現行機種として販売が継続されています。「時を超える力のある名機だった」ということですね。 さてそんなルメラですが、手術中の操作は全て足元のフットスイッチで行います。ただ17年間ずっとぶっ通しで使ってきたことと、経年劣化によって急に動かなくなるというトラブルが他院で発生しているという話を聞いたので、新型に買い替えました。 本当は顕微鏡ごと丸々新型に買い替えるというアイデアもあったのですが、白内障手術が滅茶苦茶上手い友人の眼科医に当院の顕微鏡を見て貰ったところ、「顕微鏡と言うのは光学系の関係でそもそも当たり外れがあるもの。この個体は凄く良く見えるので当たり。買い替える必要はないし、要らないなら俺が欲しいくらい。」という評価だったので、足元だけ買い替えることにしたのでした。 当院ではこれからも設備投資と機器のメンテナンスに一切のお金を惜しまず、常に万全の状態を保って大切な患者様の診療に当たって参ります。
2026.01.07
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