にしわき眼科クリニック。

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2019.07.05
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カテゴリ: 外来診療一般
  シリーズでお送りしている「緑内障点眼薬の世界」。






 今日も緑内障治療の第一選択剤である、プロスタグランジン関連薬の世界を見ていきましょう。


















​​ 6回目となる今回はエイベリス点眼液(一般名 オミデネパグイソプロピル)です。一般名がえらく難解ですね。そういえば、しばらく前に学会に行った時に、緑内障の世界では有名な某大学教授が、名前を言い間違えて舌を噛んでいました。















 このエイベリス点眼液は以前にも当ブログで紹介したことがあるのですが、プロスタグランジン受容体のサブタイプのひとつであるEP2受容体作動薬です。今日は復習として改めて詳しく見ていきましょう。

























​ 一番気になるのはその効き目ですが、  現在緑内障治療でファーストラインとして使用されている名薬  ​ キサラタン点眼液(一般名:ラタノプロスト) ​  に比べて「非劣性」  であるというデータが出ています。つまり、  ​滅茶苦茶良く効く​  ということですね。









 またキサラタンに代表される ​ プロスタグランジン製剤(他にはトラバタンズ、タプロス、ルミガンなどのお薬があります。) ​ には、点眼によって目の周りが落ち窪んだり、黒くなったり、毛が生えたりという、患者様に非常に嫌がられている







PAP(眼窩周囲症状  Prostaglandin associated periorbitopathy) ​と呼ばれている
副作用






 があるのですが、エイベリスはこのPAPが少ないと言われています。​










​​ ただその一方で、  結膜(白目)の充血や黄斑浮腫(目の奥の網膜の視力に関係する大切な部分の腫れ)などの副作用がやや多い  という欠点があります。そのため、  白内障術後で目の中に眼内レンズが入っている患者様や、タプロス(一般名:タフルプロスト)という点眼液を使っている方への使用は禁忌  となっています。​​



















​さて眼科専門医として正直に言うと、このエイベリス点眼液はやや副作用が多そうで、「ちょっと気難しそうな薬」という印象はあります。ただその一方で現在緑内障治療のファーストライン(第一選択薬)である前述の






プロスタグランジン製剤のPAP
という副作用をものすごく、死ぬほど嫌がっている患者様というのは実にたくさんいらっしゃるので、そういった方々へのオプション的な選択肢としての魅力は凄くある






 と思います。








 後、これはあくまでも個人的な意見なのですが、このエイベリスは副作用として角膜肥厚(点眼によって黒目が分厚くなる)が報告されているのですが、これは逆に色々な感染症や炎症性疾患で角膜が薄くなってしまった患者様に治療薬として使える可能性があるんじゃないかな?と以前から思っています。薬の作用というのは不思議なところがありますからね。






 いずれにせよ、「日本発&世界初」のこの新しい機序を持ったエイベリスの今後の活躍が楽しみです。


​​





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最終更新日  2019.07.05 18:02:48


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