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2005.05.28
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子どもたちは夜と遊ぶ(上)

~講談社ノベルス~

 二年前-。再優秀賞には、セーラ大学への四年間の留学がつけられた、学部生対象の論文コンクールがあった。D大学工学部、狐崎孝太と木村浅葱が、再優秀賞の候補者と考えられたが、意外な結果に終わる。重要な役割を果たしたのは、「i」と名乗る人物。
 大学受験を控えた少年が、行方不明になった。その後、次々と人が殺されていく。現場には、文章が記された紙が残されていた。

 なんだか、内容紹介にはあまりふれたくない。読んでもらいたいから。
 主要な登場人物は、月子、狐崎、浅葱。あとは、秋山先生あたりだろうか。紫乃さんも、重要な役割を果たす…のかな。それからもちろん、「i」。
 とにかく、いろんなことを感じた。50ページまで読まない段階で既に泣いたし、その後も、とにかくいろんな考えが頭に浮かんだ。考えさせられる物語。
 ひどい虐待を受けた少年。ひどい虐待を加える親。よってたかっていじめる子どもたち。パニックに陥った目の不自由な方を、助ける学生。保育実習で、上手に子どもたちの関心をひき、また驚かせる月子。自分の趣味、研究に没頭する一方で、学生にもきちんと気を配る秋山先生。
 やはり、特に考えさせられたのは虐待の話。

   *
 胸が痛む。この言葉につきると思う。自分の精神が不安定なことを再認識。
 私は、ニュースをほとんど見ないし、ラジオも聴かない。ひどいニュースを聞くと、ゆさぶられてしまうから。事故。パニックになる人々。涙。火事、暴行、殺人、虐待…。
 月子さんも、ニュースで心を痛める人として描かれている。どうしても、私自身をシンクロさせてしまう。彼女が言っていることは自分自身感じているところで、結局は、自分をせめるような思考に走っていく。
 私は気になった箇所、感動した箇所に付箋をはるのだが、この本には10枚近くはった。
 明日は下巻を読もう。心がゆさぶられたり、きっと泣いたりするのは目に見えているが、面白い作品である。楽しみだ。
   *
 追記。見返しの著者の言葉で、すでに怖さを感じる。前作『冷たい校舎の時は止まる』も、上巻はそうとうホラーだと思ったが、中巻、下巻であまりに感動したので、辻村さんの作品は感動できるのだ、と先入観(あるいは期待)を持っていたが、やっぱりホラーの要素を存分に使える方だと思った。もっとも、本作でも、上巻の時点で感動し、あるいはもっと広いいろんな意味で心を動かされた。前作の感想でも書いたが、今後も物語を紡いでいってもらいたい方である。





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Last updated  2005.05.28 21:18:23
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