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2007.10.13
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支那扇の女

~角川文庫、1975年初版(1977年7版)~

 金田一耕助シリーズの中編が2編収録されています。
 それでは、それぞれの内容紹介と感想を。

「支那扇の女」 『明治大正犯罪史』に、「支那扇の女」として紹介されている八木克子は、八木家にとついでからも画家・佐竹恭介と交際を続け、家族を毒殺しようとしたとして、毒殺魔として知られることになる。佐竹が八木夫人となった彼女を描いた一枚の絵のタイトルが、「支那扇の女」だった。
 ときはうつり、昭和32年(1957年)8月。成城の住宅街をパトロールしていた木村巡査は、近頃多発している盗難事件にかかわる手掛かりをえることができず、どこか物足りない気持ちでいたが、自殺を企てる女と出会うことになる。巡査に路上であった女は、彼から必死に逃げ、線路に飛び降り、向かってくる電車にひかれようとしたのだった。住民たちの協力をえて、彼女―朝井美奈子―の死はひきとめることができたものの、朝井家では、彼女の夫の先妻の母親と、使用人が殺されていた。美奈子のパジャマには血も付着しており、さらに、美奈子には夢中遊行という病があるという。
 美奈子は、自分が毒殺魔の八木克子の遠縁にあたることから、自分には犯罪者の血が流れているという。夢中遊行の中、自分が二人を殺してしまったのではないか…。
 一方、彼女の夫で小説家の朝井照三は、供述を聞くかぎり、なんとも怪しい人物のように思われた。
 そして、「支那扇の女」事件の真相が明らかにされるなど、事件は急展開を見せる。

「女の決闘」
 後日、パーティにも参加していたジャック安永が映画にたずさわることになり、ロビンソンさんのパーティに参加していたメンバーが集められた。多美子は、体調不良で欠席していたのだが。その後、泰子と藤本が並んで帰っていると、藤本が苦しみだし、そして絶命した。急いで金田一耕助に事件を伝えた泰子は、ぽつりとつぶやいた。マギー(ロビンソンの妻)だけが知っている、と…。

 表題作「支那扇の女」は、明治にさかのぼる因縁、夢遊病など、ミステリとして魅力的な設定が生きています。
 なお、メモですが、この頃には、金田一さんは緑が丘の高級アパート、緑が丘壮を住居兼事務所としておられるようですね。金田一さんが洋服を着て登場する場面もあり、なんだかテンション上がりました。似合わないみたいですね(笑)
 事件年代は明記されていませんが、「女の決闘」事件も、金田一さんが緑が丘に居を構えた後の事件のようです。こちらは、衆人環視の中の毒殺(未遂?)事件ということで、横溝さんの手によるこういう事件はなんだか新鮮な感じがしました。衆人環視の中の毒殺といえば、有栖川有栖さんの「ロシア紅茶の謎」など、いろいろ思い浮かべますけれど、それらの物語と比べて、全然遜色ないですね。
 本自体は読むのは二度目だと思うのですが、「女の決闘」の方は特に記憶が薄れていたので、新鮮な気持ちで読むことができました。ロビンソンとマーガレット夫人が素敵ですね。

*表紙画像は、横溝正史エンサイクロペディアさまからいただきました。





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Last updated  2007.10.13 17:36:24
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