のぽねこミステリ館

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2012.05.05
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~山川出版社、1997年~


 本書は、考古学研究の知見を取り入れた中世史研究をすすめている、堀越宏一先生による、農村史の簡潔な概説です。
 私の手元にある堀越先生の業績は、本書のほかに、
・甚野尚志・堀越宏一編 『中世ヨーロッパを生きる』 東京大学出版会、2004年
・堀越宏一 『ものと技術の弁証法(ヨーロッパの中世5)』 岩波書店、2009年
 があります。

 ところで、私の勉強に偏りがあるせいもありますが、あまり農村に関する通史や概説はないように思います。
 たとえば、岩波書店から刊行されたシリーズ「ヨーロッパの中世」全8巻でも、農村を対象にした巻はありません(都市はあります)。

 そういう意味でも、本書は、簡潔ながらも農村史・農民史の概観が得られる好著だと思います。

 本書の構成は次のとおりです。

ーーー
ヨーロッパ中世のなかの農村と農民
1 中世農村を取り巻く自然
2 フランク時代の農村
3 中世農村の成立
4 黄昏の中世農村
ーーー

 序章としての位置づけである「ヨーロッパ中世のなかの農村と農民」では、これまでの農村・農民史研究の概観と、近年の傾向を紹介します。中世考古学がこの領域の理解を広げている点などが指摘されます。

 その後は、第1章で自然環境について見て、第2章から第4章は、通史的に農村の歴史を描きます。

 1年間のなかで、彼らはそれぞれの月にどのような作業を行っていたのか。衣食住のありかたはどうだったのか。特に、考古学の知見を取り入れた本書は、発掘された村や住居の復元図や、長持や農民の服装の写真を掲載していて、興味深いです。

 伝統的な研究のなかで特に着目されてきた領主との関係を論じるのはもちろん、自然環境や農民の日常生活にも目を配っており、バランスの良い著作だと思います。





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Last updated  2012.05.05 09:26:40
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のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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