~岩波新書、 2017 年~
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はじめに 「心」の哲学者
第 I 章 アフリカに生まれて
第 II 章 遅れてきた青年
第 III 章 哲学と信仰と
第 IV 章 一致を求めて
第 V 章 古代の黄昏
終章 危機をくぐり抜けて
文献案内
アウグスティヌス略年譜
おわりに
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偉大な神学者であり、異端への反駁も多く著しているアウグスティヌスですが、心から信仰に目覚めるのは 30
代のことでした。 19
歳で修辞学校の最上級過程に進み、キケロの著作に感銘を受けます。キリスト教徒であった母モニカの影響がことから、「キケロの論述にキリストの御名がなかったことだけが熱意を冷まさせるものだった」という一方、聖書については、「キケロの荘重さと比べてみて取るに足りないものと見えました」と感じていたようです。このエピソードが特に興味深かったです。
第 I 章から第 V 章まで、アウグスティヌスの生涯を追った後、終章では、後世へのアウグスティヌスの影響が紹介されます。日本への伝播と受容も紹介されており( 16 世紀のキリシタン時代など)、興味深いです。
文章も読みやすく、また苦しみ悩みながら生きたアウグスティヌスに共感を覚えながら読み進められました。
良い読書体験でした。
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