愛川晶『黄昏の罠』
~光文社文庫、 2000 年~
栗村夏樹シリーズの長編第1作です。
それでは、簡単に内容紹介と感想を。
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近所に住み、家族ぐるみのつきあいが続いている大学4年生の桂木亜沙美が、誘拐された。
失踪直前に彼女に出会っていた栗村夏樹は、祖師ヶ谷警察署の牧田刑事から、そのときの様子などを聞かれる。しかし、夏樹に心当たりもなく、また犯人からの追加の連絡も途絶えていた。
そんな中、身元不明の焼死体が発見された。しかし、歯の治療の状況から、亜沙美とは別人と判断される。
誘拐事件が解決されない中、亜沙美からの連絡が桂木にかかってくる。青森というキーワードに、青森の警察が捜査を進める中、亜沙美が失踪時に着ていた衣服が発見され…。
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剣道が強く、ショートヘアで、声は低く、男性と間違えられがちの栗村夏樹さんが主人公です。剣道の強さとは裏腹に、どちらかといえば控えめな性格なのですが、亜沙美さんの手がかりが青森で発見されたと聞き、牧田刑事たちと同行するという行動力もあります。
亜沙美さんの誘拐犯はなぜ全く連絡をとってこないのか。また、本編の途中に挿入される、自分が殺したはずの「小夜子」そっくりの「満月」と「私」の出会いと奇妙な生活を描く手記は、何を意味するのか。などなど、気になる謎も多く、どんどん読み進めました。
まるでドラマを見ているかのように読めたのも印象的です。たとえば、牧田刑事と夏樹さんの試合の状況を描く部分や、青森で警察官が地元の方と言葉を交わすシーンなど、なんでもないのですが、とても映像的に入ってきました。(ふだん読書しているときは、あまり映像的に入ってくることは少ないので、印象的でした。)
真相が明かされる過程も鮮やかで、楽しく読めた1冊です。
このシリーズは三部作なので、続けて読んでいこうと思います。
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