ジャイルズ・コンスタブル(高山博監訳/小澤実ほか訳)『十二世紀宗教改革―修道制の刷新と西洋中世社会―』
~慶応大学出版会、 2014 年~
( Giles Constable, The Reformation of the Twelfth Century , Cambridge University Press, 1996 )
著者のコンスタブルの経歴については、本書の監訳者序文を踏まえて、 Giles Constable, Letters and Letter-Collections ( Typologie des sources du Moyen Âge occidental , fasc. 17), Brepols, 1976 の記事にメモをしています。
本書は、副題のとおり、 12 世紀の修道制の刷新と社会との関係を、膨大な史料と先行研究を引きながら論じる大著です。
なお、『史苑』 75-2 、 2015 年、 426-433 頁に、大貫俊夫先生による書評が掲載されています。また、本書掲載の小澤実先生による訳者解説は、 ハスキンズの『十二世紀ルネサンス』 以降の十二世紀変革論についての非常に明快な整理となっており、有益です( 佐藤彰一『剣と清貧のヨーロッパ』 152 頁も、この訳者解説にふれています)。
本書の構成は次のとおりです。
―――
日本語版刊行に際して(ジャイルズ・コンスタブル)
序文
監訳者序文(高山博)
省略記号一覧
凡例
第1章 導入
第2章 さまざまな改革者
第3章 改革の類型とその条件
第4章 改革のレトリック
第5章 改革の現実1 共同体内の変動
第6章 改革の現実2 修道活動と世俗社会
第7章 改革の霊性
第8章 十二世紀社会のなかで
訳者解説 十二世紀変革論の現在(小澤実)
註
研究文献目録
教皇文書索引
聖書章句索引
事項索引
―――
第1章では、「ここで目的としたのは、十二世紀という時代を可能なかぎりそのまま、その当時の語に即して考察することである」 (5
頁 )
とし、語彙の分析に重点が置かれます。
第2章は、修道士、律修聖堂参事会員、隠修士など、刷新運動に携わった人々の会則や伝記などから、彼らの理念などを描きます。
第3章は、改革者たちの社会的出自、修道院に入る人々の年齢、属している修道院とは別の(より厳格でない)修道院への移動への眼差しなど、章題に関する多様なテーマを論じます。
第4章は、論争、孤独、自然など、刷新運動に関する史料に見られるレトリックを読み解きます。
以上で背景や理念的な部分を描いたのち、第5章・第6章は、刷新運動の現実を描きます。とりわけ労働、訴訟、収入などの観点から世俗社会との関わりを論じる第6章を興味深く読みました。
第7章は、贖罪、生への態度などを論じます。
まとめの第8章で特に興味深かったのは、「改革運動の全体に当てはまる側面、あるいは部分的な差異よりも相似した点に注意を向けるなら、この運動が党派ごとに割れ、互いを批判しあっている印象とはまた別に、あたかも修道士身分というひとつの家族のなかでの諍いといった様相を帯びてくる」 (403
頁 )
という指摘です。
各章、興味深い指摘、史料の引用が膨大で、非常に重厚な著作です。註に引用されている文献で、邦訳があるものについては、邦訳の該当頁も示されており、とても丁寧な訳書です。
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