泡坂妻夫『奇術探偵 曾我佳城全集(上)』
~創元推理文庫、 2020
年~
若くして引退した奇術師・曾我佳城さんが活躍する短編集です。
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「天井のトランプ」
教師の法界は、教室の天井にトランプが張り付けられていることに気づく。家の天井にも付いていて驚くが、自分の子どもが知っているという。誰がやり始めたのかを辿っていくうちに、法界は殺人事件を追う竹梨刑事と知り合うことになる。
「シンブルの味」
アメリカ・カナダへ旅行に訪れていたメンバーの一人が失踪した。彼は前日、手品を披露する際に、手品用の指ぬきであるシンブルを飲み込むという芸当を披露していたが…。
「空中朝顔」
曾我佳城を驚かせた、空中に咲いたような朝顔の由来とは。
「白いハンカチーフ」
非常に衛生的な学生寮で起こった集団食中毒事件の真相は。
「バースデイロープ」
ロープ奇術の得意な奇術師が招かれたホテルの一室で、ロープで絞殺された女性が発見された。バースデイケーキの蝋燭が意味するものとは。
「ビルチューブ」
吹雪の夜、カナウマ荘に宿泊したメンバーたち。その一人が、燃やしたはずの紙幣を復元させる奇術を披露した翌日、彼は失踪し、メンバーたちのカメラのフィルムなどが消えていた。
「消える銃弾」
銃を使った奇術中、本当に銃弾が発射され、アシスタントが死亡するという事件が起こった。奇術師はなぜ失敗したのか。
「カップと玉」
奇術材料専門店、機巧堂に届けられた奇妙な原稿。それは、執筆者からのSOSだった。カップと玉の奇術を利用した暗号が示すものとは。
「石になった人形」
有名腹話術師が、演技後、楽屋で死亡しているのが発見された。腹話術人形が入っていたはずの箱には、かわりに巨大な石が入っていた。
「七羽の銀鳩」
鳩を使った奇術を演じていた男に起こった悲劇。佳城が見に来ていたその日、何者かに鳩が全羽すり替えられてしまっていた。
「剣の舞」
三本の剣で女性の体を支える奇術を演じていた男が殺され、アシスタント女性も殺されていた。奇術を見ていた佳城が指摘した、奇術師の犯したミスとは。
―――
自身も奇術家として有名な泡坂さんが描く、奇術探偵が活躍する短編集ということで、すべてにわたって奇術がモチーフになっています。
作品の発表順に収録されているそうですが、第一話の天井にトランプがはりつけられているというつかみから、もう物語に引き付けられました。
その他印象に残っているのは、「白いハンカチーフ」、「「石になった人形」、「剣の舞」です。「白い…」は、生放送の番組のなかで佳城さんがすぐに真相を見破るというスリリングな展開。「石になった人形」「剣の舞」は、ユーモアの効いた作品も多い中、シリアスさが強く、特に「剣の舞」のクライマックスで視点がかわるところは秀逸でした。
(2020.09.16 読了 )
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