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2021.07.10
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芥川龍之介『河童・或阿呆の一生』
~新潮社文庫、 1989 年~


 芥川龍之介の最晩年の作品6編が収録されています。

「大道寺信輔の半生」 は、自伝的小説。幼少期から学校、本や友人についての叙述です。解説によれば、「誇張とウソがないわけではない」とのことで、たとえば内申点が低かったという奇術について、実際の芥川さんはそうではなかったとのこと。本作で面白かったのはまさに内申点が低かったというあたりで、「予の蒙れる悪名は多けれども、分つて三と為すことを得すべし」とあり、たとえば「その三は傲慢なり。傲慢とは妄 [ みだり ] に他の前に自己の所信を屈せざるを言ふ」 (19 頁 ) と、3つの悪名を逆にプラスの意味のように描いているところでした。

「玄鶴山房」 は、玄鶴という老人のもとに、彼が公然と囲っている元女中が、子供とともに訪れた後に起こる、その邸宅でのドラマを描きます。解説でも指摘されますが、看護師の役回りが印象的です。

「蜃気楼」 も、自伝的小説。友人たちと蜃気楼を見に行ったエピソードが語られます。気楽に読める一編でした。

「河童」 本書の中で一番面白く読みました。ある精神病院の患者が語る物語で、彼はある日、河童の国に迷い込んでしまったといいます。河童の言葉を覚え、河童たちと親交を結びながら、人間との価値観の違いなどを痛感しながら暮らしていた、というのですね。解説ではジャンルとして『ガリバー旅行記』などの分野に属すると指摘しますが、なるほどと思いました。

「或阿呆の一生」 こちらと次の「歯車」は死後に発表された作品。こちらは、わずか数行の短文も含む 51 の節からなります。

「歯車」 は今の私にはよくわかりませんでした。

 あらためて、本書では「河童」を読めたのが収穫でした。

(2021.02.23 読了 )

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Last updated  2021.07.10 22:34:28
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
スパイシーチューリップ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) 流行りましたね!キラキラ系、あまり知ら…
のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 なにぶん…

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