D. L. d'Avray, Death and the Prince. Memorial Preaching before 1350
, Oxford, Oxford University Press, 1994
今回は流し読みしながら大体の概要をつかむとともに、必要なところを把握することを目指したので、詳細な紹介はできませんが、簡単にメモしておきます。
まず、本書の構成は次のとおりです。(のぽねこ拙訳)
―――
謝辞
略号
序論
1.予備調査
2.個人たち
3.君主
4.死と死後
補足 死の歴史に関する近年の著作
5.表象と現実
結論
付録 主な写本の特徴と内容
トランスクリプション
巻末注
参考文献目録
写本索引
一般索引
―――
序論は、本書が対象とする死者記念説教 memorial sermon
の意義、これに関する研究史、本書の構成を示します。
第1章は、「死者に関する説教」が万霊節に行われることもあったが、主に故人の死後毎年なされたことを示した後、この説教に分類されうる説教を残した著作家や説教師たちの紹介を行います。まず紹介されるのはミラノのアンブロシウスで、 13
世紀以降の托鉢修道会士など、いろんな人物とその説教が紹介されます。個人的には、ジャック・ド・ヴィトリの『身分別説教集』に収録された「死者を悼む者たちへの説教」について、やや詳しい紹介がなされている部分を興味深く読みました。
第2章は、死者記念説教で取り上げられた君主たちの紹介です。エドワード1世、ルイ10世、フィリップ4世たちが紹介され、彼らについての死者記念説教の概要が示されます。
第3章は、説教で君主たちがいかに描かれたかを分析します。「外的良さ」として、家系の偉大さ、名声と権力、また関連して剛毅、節制などの美徳などが強調されます。
第4章は説教に描かれた死の不可避性、死後の行方、生者によるとりなしなどが紹介されます。ここでは、補足として論じられる、死の歴史についての近年の議論の整理が興味深いです。
第5章は、様々な表象と現実の関連が論じられます。君主の模範として示される聖書の人物やアレクサンダー大王など、絵画と説教の関係などが論じられます。
結論では、本書の議論が簡明に整理されており、有用です。
(2021.02.24 読了 )
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