池上俊一『ヨーロッパ史入門―原形から近代への胎動―』
~岩波ジュニア新書、 2021
年~
池上俊一先生によるジュニア新書第6弾。「たどる」シリーズ5巻が完結し、今回はヨーロッパ史の通史前半です。
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まえがき―ヨーロッパとは何だろうか
第1章 ヨーロッパの誕生―古代ギリシャ・ローマの遺産(古代)
第2章 ロマネスク世界とヨーロッパの確立―中世前半
第3章 統合と集中―後期中世の教会・都市・王国(中世後半)
第4章 近代への胎動
文献案内
あとがき
ヨーロッパ史年表/事項・人名索引
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基本的に通史なので、章ごとの紹介は省略しますが、印象に残った部分をメモしておきます。
まえがきではヨーロッパの位置づけが示されます。「ヨーロッパとは(中略)各時代において、それ以前の時代から遺贈された諸要素を使って、その都度創られていく現在進行形の構成体であり統一体です」 (vii
頁 )
。また、本書では各国史の併記ではなく、大きな流れを描きながら、そのテーマ(「辺境」「教皇、皇帝、国王・諸侯」など)に沿って、各国の様子をながめていきます。教科書的といえば教科書的ですが、中世ではフェーデ(私戦)や異端など、教科書ではあまり触れられないテーマも扱われています。
イスラームやビザンツとの関係にも適宜目が配られていて、バランスよい構成です。
ジュニア新書ということで、ルビも多く読みやすいですが、「雄勁」(書画などに張りと力がみなぎっている様子)など、(不勉強な私には)耳慣れない言葉も出てくるので、語彙力も鍛えられます。
(2022.02.13 読了 )
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