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2023.04.22
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小林登志子『古代オリエント全史』
~中公新書、 2022 年~


 以前紹介した小林先生による​ 『古代メソポタミア全史』
 本書の構成は次のとおりです。

―――
はじめに
序 章 古代オリエント史とは
第1章 メソポタミア―古代オリエント史の本流
第2章 シリア―昔も今も大国の草刈り場
第3章 アナトリア―最古の印欧語族の歴史
第4章 エジプト―偉大な傍流
第5章 イラン―新参者アケメネス朝の大統一
終 章 ヘレニズム時代以降のオリエント世界
あとがき

主要参考文献
図版引用文献
索引
―――

 高校時分にこのころの時代を勉強してから、ずっと気になっていたことがあります。古バビロニア王朝(メソポタミア南部)を、アナトリアにおこり鉄製武器の使用で強力だったヒッタイト(本書によればヒッタイト古王国時代のムルシリ1世)が前 1595 年頃に滅ぼします。この後、なぜヒッタイトはメソポタミア南部を支配しなかったのだろう、という点です。
 概説書ではありますが、本書を読むと、古バビロニア王朝が滅びた後、その地を支配したのは「海の国」第一王朝であったこと(「海の国」も強力だったようです)。そしてヒッタイトのムルシリ1世は、本国を長期不在にしていた中、王族たちが反旗を翻しており、無事に帰国した後に暗殺されてしまった、ということです。結局、ヒッタイトは、強力な武器をもって各地を急襲し、支配圏を拡大しようとしていましたが、メソポタミア南部については、同じく強い力をもった「海の国」が競り合ったり、内紛によりうまくいかなかったのだろう、と現時点では理解しました。とりあえず、気になっていたことがなんとなくすっきりしましたが、また機会をみて、ヒッタイトに関する文献は読んでみたいと思います。
 思い出からの関連する話ばかりになってしまいましたが、上にも書いたように、紀元前 3000 年頃から紀元7世紀頃までのオリエントの歴史を、縦糸(各国通史)と横糸(各国間の関係)をうまく紡いで概観してくれていて、とても分かりやすいです。本書冒頭には、各国の流れを比較できる年表が掲載され、また各章冒頭にはその国(地域)の年表と地図が掲げられており、理解の助けになります。
 分かりやすく、古代オリエントの歴史を概観できる良書だと思います。

(2023.03.15 読了 )

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Last updated  2023.04.22 16:06:23
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のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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