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2025.11.29
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フェーヴル『大地と人類の進化―歴史への地理学的序論―(上)』
~岩波文庫、 1971 年~
(
Lucien Febvre, La terre et l’évolution humaine , 1922
 リュシアン・フェーヴルは 1878 1897 年に高等師範学校に入学。 1929 年、マルク・ブロック (1886-1944) とともに『社会経済史年報』を創刊、アナール学派の第一世代を代表する人物です。 1947 年に高等研究実習院第6部門を創設、 1956 年に亡くなります。
 彼の感性の歴史に関する論稿のいくつかは、
・​ フェーヴル/デュビィ/コルバン(小倉孝誠編)『感性の歴史』藤原書店、 1997
 に収録されています。
 さて、本書は、彼に影響を与えたアンリ・ベールによる叢書「人類の進化」の1冊として、 1922 年に公刊されました。
 本書(上巻)の構成は次のとおりです。

―――
解題

第1版緒言( 1922 年)
第2版緒言( 1924 年)

序論 地理的影響の問題
第1編 問題はいかに提起されるべきか。方法についての疑問
 第1章 社会形態学か人文地理学か
 第2章 原理の問題と研究方法。人類の進化、歴史的進化
第2編 自然的区画と人類社会
 第1章 区分の問題。気候と生活
 第2章 自然的区画の決定
 第3章 自然における人類、個人か社会か
―――

 原著は 100 年以上前の著作ですが、たとえば​ ロベール・ドロール/フランソワ・ワルテール(桃木暁子/門脇仁訳)『環境の歴史―ヨーロッパ、原初から現代まで―』みすず書房、 2007 ​でも本書に言及があること、アナール学派創始者の1人として関心があったことから、本書を手にとってみました。
 正直、私の力量ではとても理解できたとはいえませんが、簡単にメモしておきます。

 訳者による解題は本書の位置づけを簡潔にまとめています。
 序論・第1編は、地理学の業績と、それへの社会学からの痛烈な批判を紹介しつつ、とはいえその批判が一部の研究者の業績を極端にとりあげたものであることなどを指摘し、全体として地理学の意義を認めるという論調と読みました。文庫本で約 150 頁に及ぶ重厚な議論です。
 第2編からは、より具体的な議論に移ります。第1章は、旧来の環境・地理的条件と人間の肉体的特徴の関係などの議論を(批判的に)概観した上で、本書で採用する地域的区画は、環境的・植物的なものであるとの立場を明示します。それを受け、第2章は、熱帯、亜熱帯など、地球上の大きな気候的・植物的区画を提示し、そこには「一種のシンメトリーが成立している」 (251-252 ) ことを指摘します。第3章は、いわば夫婦が先か・国家が先かといった議論の後、人類が食糧の獲得可能性によって居住地を決めているというよりも、明らかに食べられるものがあるのにそれを食べないなど、宗教的な事情などを含めて議論を進めます。

 稚拙な紹介となってしまいましたが、以上からも分かるとおり、本書は、本書のタイトルから想像されるような、「大きな地理的単位、大きな自然的地域区分を出発点として――それを次ぎ次ぎに絞殺し、…たがいに入れ代わり立ち代わった諸民族の歴史に [ その ] 諸特徴をいわば照らし合わせてみる」 (65 ) という構成ではありません。そうではなく、地理学者の業績を踏まえて、歴史学者の観点からそれを批判的に研究することが、本書の計画・方針とされます( 64-75 頁参照)。
※冒頭のフェーヴルの略歴については、以下の著作を参照しました。
・​ 竹岡敬温『「アナール」学派と社会史-「新しい歴史」へ向かって』同文館、 1990
・​ ピーター・バーク ( 大津真作訳 ) 『フランス歴史学革命-アナール学派 1929-89 年-』岩波書店、 1992

(2025.09.13 読了 )

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Last updated  2025.11.29 13:01:05
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