愛川晶『カレーライスは知っていた 美少女代理探偵の事件簿』
~光文社文庫、
2003
年~
根津愛シリーズの短編集です。このシリーズについては、長編の 『夜宴 美少女代理探偵の事件簿』
本書には、ミステリの短編だけでなく、根津愛さんによる(!)独白やネコマンガも収録されていて、バラエティに富んでいます。また、 2000
年に刊行された単行本版には収録のない「納豆殺人事件」や、文庫版特別ボーナストラックとして「スケートおじさん」への読者解答が2編収録されているなど、文庫版は豪華になっていますね。
それでは、簡単に内容紹介と感想を。
―――
「カレーライスは知っていた」
桐野刑事が「殺される」との電話を受けた翌日、マンションの1室で女性が殺されているのが発見された。現場にはカレーライスを食べたようなあとがあったが、解剖の結果、被害者はカレーを食べていなかったことが発覚し…。
「だって、冷え性なんだモン!」
マンションの1室で発見された女性の遺体には、手袋やスリッパなどが、左右でばらばらという不自然な点があった。なぜこのような状況になったのか…。
「スケートおじさん」
通学中、怒ったような顔をして凍結した道路をスケートのように滑っていた男の秘密とは…。
「コロッケの密室」
倒叙形式の作品。犯人がマッシュポテトに指輪を隠したのち、被害者はそれを使って料理を作っていた。しかし、その後に犯人が作ったコロッケから指輪が発見される。指輪はなぜ「ワープ」したのか、犯人はどこでミスをしていたのか。
「死への密室」
人の目の前で壁を通り抜けると豪語した男のもとへ、根津愛とともに訪れた桐野刑事。ところが愛は、男がトリックを披露する前に仕掛けを見抜き…。
「納豆殺人事件」
有名明石焼き店の店主が殺された。納豆嫌いで有名で、納豆が原因で離婚したというその男の司法解剖の結果、胃には大量の納豆が入っていて…。
―――
冒頭にも書きましたが、「スケートおじさん」については、ホームページで募集した読者からの別解答のうち、2編がボーナストラックとして掲載されています。個人的には「その1」の世界観が好みでした。(本編も 10
ページ程度のショートショートです。)
表題作は提示される謎も面白いですし、背表紙にもあるように「たった一口 [
現場に残った ]
そのカレーを食べただけで、犯人をずばりと名指ししてしまう」という謎解きの妙も楽しめます。
身に着けたものが左右ばらばらという「だって、冷え性なんだモン!」も論理的な解決が楽しめます。倒叙ものの「コロッケの密室」も興味深いです。
「死への密室」は、「根津愛の独白」にもあるようにオチャラケ感があり、「納豆殺人事件」も私にはやや不気味に感じられる話で、この2編は少し苦手でしたが、全体としてはバラエティに富んでいて楽しめました。
(2025.10.11 読了 )
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