西洋中世学会『西洋中世研究』7
~知泉書館、 2015
年~
西洋中世学会が毎年刊行する雑誌『西洋中世研究』のバックナンバーの紹介です。
構成は次の通りです。
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【特集】中世のなかのローマ
<序文>
金沢百枝「中世におけるローマ観の多様性」
<論文>
草生久嗣「「ビザンツ」帝国の「ローマ人」:アイデンティティの射程」
大谷哲「トゥールのグレゴリウスにおける 177
年ルグドゥヌム迫害」
加納修「フランク王国における「ローマ法」認識に関する一考察―書式集の証言を中心として―」
山本成生「スコラ・カントールムの生成と伝播」
伊藤喜彦「再利用・再解釈・再構成されるローマ―コルドバ大モスクにおける円柱―」
山本潤「中世ドイツ文学に見るローマ観―『皇帝年代記』および『ディートリヒの逃亡』を題材に―」
【論文】
神谷貴子「紙から羊皮紙へ―中世後期フリブールの二つの市民登録簿をめぐって―」
古川萌「芸術庇護としての弔い―フィレンツェ公国におけるジョルジョ・ヴァザーリとエピタフ、墓碑、追悼―」
【新刊紹介】
【彙報】
赤江雄一「西洋中世学会第7回大会シンポジウム報告「托鉢修道会―中世後期の信仰世界―」」
草生久嗣・髙田京比子「 2014
年度若手セミナー報告」
クリスティーヌ・デュクルシュー=ヴェルボヴァン/田辺めぐみ「メネストレル:中世学のネットワークとポータルサイト」
―――
特集は、中世のなかのローマ。ローマの遺産がいかに中世に受容されたか、あるいは中世はローマにどのようなまなざしを向けたのかを論じます。
草生論文は、ローマ帝国分裂後、東で存続したビザンツ帝国における「ローマ人」アイデンティティの諸相を見ます。
大谷論文は、トゥールのグレゴリウスが 177
年に起こった迫害事件をどう認識していたか、彼が典拠とした史料を丹念にたどり、グレゴリウスの矛盾の理由を明らかにします。
加納論文は、フランク王国における「ローマ法」認識について、ゲルマン的「サリカ法」同様、「慣習」としても認識されていたことを明らかにします。
山本論文は音楽組織「スコラ・カントールム」について、その孤児院との関係など、やや概説的に論じる興味深い論考。
伊藤論文は建築の観点から、ローマの柱の再利用(スポリア)の意義を論じます。
山本論文は東ゴート王テオドリック(文学作品ではディートリヒ)の歴史叙述と文学作品の対比から、彼の描かれ方の相違と意義を論じます。
神谷論文は、紙で管理されていたフリブールの市民登録簿が、 1416
年に記録法の一新とともに羊皮紙に記録されるようになったという興味深い事例を取り上げ、その背景を分析します。
古川論文は、『芸術家列伝』で有名なヴァザーリを中心に、エピタフ(故人を追悼する詩)、メディチ家の関係を分析し、弔いがもつ芸術庇護の役割を指摘します。
新刊紹介は 47
の外国語文献の紹介。十字軍へのまなざしは中世においても肯定と称賛のみだったわけではないことを論証する著作の紹介(神崎先生)、中世写本彩色における風景像の機能を分析する著作の紹介(鼓先生)、クリュニー修道院創設 1100
年に際して開催されたシンポジウムをもととした論文集の紹介(関沼先生)、中世における贖罪の歴史を描く著作の紹介(佐藤先生)と、興味深い著作が多く、勉強になります。
彙報は3本。第7回シンポジウムは大変興味深かったのを覚えています。若手セミナーについては、髙田先生による運営の簡素化の提言が興味深いです。自身の仕事にも通じるものがありました。デュクルシュー=ヴェルボヴァン研究員と田辺先生は中世研究に有用な情報の無料提供を使命とするメネストレルの紹介です。
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