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profile:山本ふみこ
随筆家。1958年北海道生まれ。つれあいと娘3人との5人暮らし。ふだんの生活をさりげなく描いたエッセイで読者の支持を集める。著書に『片づけたがり』 『おいしい くふう たのしい くふう 』、『こぎれい、こざっぱり』、『人づきあい学習帖』、『親がしてやれることなんて、ほんの少し』(ともにオレンジページ)、『家族のさじかげん』(家の光協会)など。

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2008/01/18
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カテゴリ: 生活

 床に蒲団を敷いて寝るのが、どうやらわたしは好きらしい。 いちばん好きなのは、寝室という、とってもプライベートな空間が昼間はたたまれて消えてしまうところかな。



 子どもたちは3人とも、それぞれにふさわしい、それぞれらしいベッドで寝ているのに、そして、それがうらやましくなって、ときどき、子どものベッドにもぐりこんで昼寝することもあるのに、わたしはゆるぎなく敷き蒲団派だ。
 子どもたちのベッドは、すごくいい(高価で立派という意味では、ない)。
 そういえば、3人ともベッドではあるけれど、マットレスで寝ている者はいないな。木製で、寝台がすのこになっていて、そこに蒲団を敷いて寝ているところが、共通している。子どもたちも、部分的には、蒲団派なのかもしれない。



 長女のは、変わったところのない素朴なベッド。彼女の性格をあらわしているような……。
 二女のは、あるときとつ然、ふたつ折りになる。
 彼女が洋裁をするとき——とくに裁断をするようなとき——、床面積を広げたいときに、敷きも掛けも蒲団はそのまま、まんなかを持ち上げてふたつ折りにするのだ。わたしが選んだというのに、ベッドがふたつ折りになっているのを見るたび、「ひゃー、すごい、すごい」と、手を打って驚く。
 そして末の子どものベッド。うちに遊びにやってきてくれるひとの半分が、このベッドを見て「いいね、これ、ほしいかも」と言う。
 まず、ベッドの下が3段ずつ2列のひきだしになっている。ひきだし部分は
タテ半分だけで、もう半分は、空きスペースになっていて、ここに、季節外の寝具と、泊まってゆく友だち用の寝具2組をしまわせてもらっている。この収納力が、人気の由縁らしい。末の子どもの部屋にだけ作りつけのワードローブがなく、小さな観音開きの押し入れ(仏壇などを納めるのによいような)がひとつあるきりなので、ベッド下のひきだしには、彼女の下着類、ブラウス、Tシャツ、半ズボン、デニムが仕舞ってある。



 さて、わたしと夫。
 わたしたちにも、寝室専用の部屋は、ない。 わたしの仕事部屋に、蒲団を敷いて寝ている。
 夜になるとたちまち寝てしまい、朝、けっこう早く起きても、まずは家の仕事を片づけるので、なんら困ることは、ない。ここは洋間で、木の床の上に蒲団を敷くことになる。 



 蒲団を敷く。
 蒲団を上げる。
 これが、めんどうではないか、と言うと、そうでもない。
「蒲団、敷いておくれよー」
 と、夫に向かって猫なで声をだすこともある。
 そういえば、敷くのより、上げるほうが、わたしは好きだ。



 さあ、ここからが、きょうのトピック。
 蒲団は、敷きも掛けも、くるくる巻いて仕舞う。
 どちらもふたり用のサイズなので、まずタテにふたつ折りにし、下からきっちり巻くのである。
 いまよりずっと狭い家に住んでいたとき、押し入れのすみっこにやっとの思いでつくった蒲団用のスペースをみつめながら、ここに蒲団をしまうには……ふとんを、おしぼりみたいに巻いて仕舞うしかないわね……と思いついた。そのときから、ずーっとこうしている。
 こんな蒲団のたたみ方を見たら、わたしたちの先代、先先代のひとたちは目を丸くするのにちがいない。
 でも、これ、なかなかいいんだ。
 仕事部屋の、わたしのワードローブには、洋服のほかにも、マンガの本や自分の本が置いてあるので、蒲団を三つ折りにして仕舞うことはむずかしい。
 で、くるくると巻いて……、仕舞う。



 これを真似しようと思ってくれるひとがいたら、うれしいなあ。ま、いてもいなくても、わたしはこれからも巻くんだけど。


Photo_3





4



くるくる蒲団に、布を1枚かけておきます。
これで、寝具というプライバシーは、消滅。




Photo_2



子どもを代表して、末の子どものベッドを。
ベッドの上の3つのクッションは、昨年のクリスマスに、
サンタクロースが持ってきてくれたのです。







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最終更新日  2008/01/18 10:02:46 AM
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