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2006.01.12
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ゲームの話をしよう。

トゥームレイダーというイギリス製のゲームの名前は、知っている人は多いだろう。なにしろハリウッドで二回も映画化されたから。
1996年の第一作以来、何度も続編が作られ、この春にはTOMB RAIDER LEGENDが発売の予定だ。

私がこのゲームを知ったのは1996年の後半頃だったとおもう。
仙台駅近くの雑居ビルの五階、今から数えると八年も前に閉店したパソコンショップで買った英字のパソコン雑誌に載っていた、新製品告知欄でのことだ。
ほんの数センチ角のスクリーンショットに、当時中学生だった私は妙に心ひかれ、仙台のパソコンショップというパソコンショップを回ってこのソフトを探した。
しかし、過去の販売実績のないソフトメーカーの、それも輸入ものソフトを手に入れることは仙台では難しく、ついには日本の販売代理店に電話をかけることまでしたが、ついに入手はかなわなかった。

昔話はこのくらいにしておこう。

そのTOMB RAIDER第一作目を、私がYahooオークションで見付けたのは今年の一月一日、つまり元旦のことだった。もちろん、それが可能でさえあれば、楽天フリマで見付けたかったことは言うまでもない。

案の定、十年前の、それも実行環境の構築に手間のかかるDOSゲームに5000円も出すものは他におらず、私が落札者になった。

品物は届いた。

早速インストールを試みる。幸い、私のシステムに組み込まれている古いPCIサウンドボードのチップ、FM801はサウンドブラスター互換機能を持っているので、レガシーフリーな最近のパソコンでDOSゲームを実行する場合につき物の『SoundBlaster問題』はクリアしている。
早速DOS窓を開き、サウンドブラスター互換機能を有効にし、インストールをする。
ゲームを始めると、音は出ることは出るが、激しいノイズで聴くに耐えない。同じ環境で実行した他のDOSゲームではなかった症状である。
TOMB RAIDERは、実行のはじめにProtectDOS4GAMESを導入する。名前から察するに、これによってCPUのモードをリアルモードからプロテクトモードに切替えて32bitのメモリ空間を直線的に扱えるようにし、かつファイルシステムやリアルモードドライバを利用できるようにしているらしい。DOS-EXTENDERの類かと思われる。
とにかく、これがノイズの原因であろう。とすれば、DOS窓の仮想的なリアルモードから純粋なリアルモードに降りて、つまりこの場合MS-DOSモードでWindowsを終了して実行すればよさそうに思うが、そう一筋縄ではいかない。私のシステムに組み込まれているPLEXTOR製(その実体はNECのOEMではあるが)PX-504Aにはリアルモードドライバが用意されていないからだ。
そこで一計を案じ、Windows98SEのインストールディスクをドライブに入れてマシンを再起動する。
With CD-ROMを選択してCD-ROMドライブを使用可能な状態にして、FM801のサウンドブラスター互換機能を有効にした上でTOMB RAIDERを実行する。
脈動的、かつかなり大きなプチノイズが恒常的に発生するものの、音声自体はまともに聞くことができる。
これでようやくゲームになる。



画面は640*480で256色
効果音は16bitステレオPCM
BGMはCDオーディオ再生、いわゆるミックスCD。
ストーリの節目節目にはデジタルムービーが挿入される。
フル3Dゲームであるが、DOSゲームのことゆえハードウェアアクセラレーションは利用できず、CPUの力でレンダリングまでを行う。


以上のような仕様を持つTOMB RAIDERが実行された様子を、目にやさしいという、一畳ぶん離れた距離から見た場合、セガサターン版とこのDOS版は、よくも悪くも見分け、聞き分けがつかない。
しかし、通常パソコンを扱うときの位置まで画面に近付いたとき、見分けの方はつくようになる。
明暗がなだらかに変化している部分に、明らかに不自然な虹模様が出るからだ。
これは、かたやセガサターン65536色、こちら256色という差に原因する現象だ。色が少な過ぎて、十分に滑らかなグラデーションにならないのだ。
とはいえ、このような不具合は、不快といわんよりは当時の限界を懐かしく思えるがゆえに愛らしくすら感じる。むしろこういった当時のマシンの性能ゆえの欠点は、このゲームの技術、演出両面の素晴らしさを私に強く印象づけるための触媒として働いてくれるのだ。

Laraは本当によく動く。よくもまぁDOSゲームでこれだけ人が動かせるものだと関心しそうになる。実のところは、開発の手間さえ惜しまなければDOSの方がむしろマシンパワーを稼げるので人もよく動くわけだが。
レンダリングエンジンも素晴らしい。Z-Buffer、Textuer Mapping、Gourand Shading、使われ方は限定的であるがライティング処理も行われている。
これらは全てDirectXという強力なライブラリが存在する現在においてはあまりにも陳腐な技術であり、またその実装は造作もないことでもあるが、DOSの時代にあってはその大抵を、開発者自身がコードしなければならなかったのだ。いや、「ならなかった」などと否定的にとらえることはやめよう。かつてアンドレ・バザンを元祖とするヌーヴェルヴァーグの批評家達が、
「全ての映画(的な要素)は既に撮られてしまっており、自分たちが為し得るのは過去の映画(的な要素)の引用と反復しかない」
と、諦観した如く、
『書かれるべきコードは、既に書かれてしまっている』
今、を生きる我々にとっては、
「することができた」
ことは羨望をもって語られるべき事柄なのだから。

『書かれるべきコードは、既に書かれてしまっている』

TOMB RAIDERを十年後の今日遊んでいて、多少不安に思うことがある。
それは、TOMB RAIDERにおいて既に、3Dアドベンチャーが十分にゲームとして成立ち、ショウとして成立ち、劇として成立ち、ゲームとして面白いということだ。

『書かれるべきコードは、既に書かれてしまっている』

『作られるべきゲームは、既に作られてしまっている』

この春登場するというTOMB RAIDER LEGENDは、その初作に美麗かつ緻密な映像と、豪華な音響を付け加えた以外のなにかでありえるのだろうか。





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最終更新日  2006.01.15 10:53:02
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