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| 著者・編者 | 角川歴彦/片方善治=著 |
|---|---|
| 出版情報 | 角川書店 |
| 出版年月 | 2010年03月発行 |
強烈なカリスマ性で角川書店を押し上げた角川春樹氏から、本書の著者の角川歴彦氏に経営権が移ってから 18 年がたった。歴彦氏は、どうしてなかなか、数々のメディアミックスを成功させ、若手作家を育ててきた。
そんな著者が、いま一番関心のある業界が IT 業界だという。著者は、「高度な IT 化が進む中、社会のさまざまな場面で大衆が参加し、大衆の嗜好や意思が社会を動かす機会が増えている。本書では、こうした現象を『クール革命』」(89 ページ)と定義する。
そして、現代日本の「文化の『ガラパゴス現象』は、否定されるべきではない。むしろ『ガラパゴスでいいじゃないか』と開き直り、日本が育んできた精神文化を大切にすることは、新しい国力創造に結びつく」(38 ページ)と指摘する。日本には一歩間違えると汎アメリカ化いなりかねないグローバリズムを提唱する経営者が多い中、こんな発言をする経営者は珍しい。
著者は「経済産業省がエコポイントの運営システムを米セールスフォース・ドットコムに任せたのは」(165 ページ)クラウドの成功例という。たしかに、いつ終わるか分からないエコポイント制度を運営するために箱物を構築するのはナンセンスだ。民間企業なら、当然、アウトソーシングする案件だ。
かつて IBM のワトソン会長が世界にコンピュータは 5 台で十分だという間違った予想をしたが、著者はこれを逆手にとって、クラウドが世界のコンピュータを 5 台に統合すると予言する。SaaS や PaaS がクラウドであると解いている IT 参考書が多い中、クラウドの本質を突いた言葉である。
クラウドは、Google や Amazon、Microsoft といった業界の巨人によって牛耳られるにちがいない。そこで著者は、「1 台は日本であってほしいと期待する私のナショナリズムでもある。さらに多少感傷的な気分をこめて東の雲=イーストクラウドを意味する『東雲(しののめ)』プロジェクトと命名したい」(201 ページ)という。
さらに、「IT の進化の先にはそれぞれの国民性と文化の哲学論争が先鋭化することを、私たちは覚悟しなければならない」(182 ページ)と指摘する。われわれ IT 技術者が、クール革命の最前線にいることを再認識させられた。
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