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| 著者・編者 | 小笠英志=著 |
|---|---|
| 出版情報 | 講談社 |
| 出版年月 | 2024年10月発行 |
第1章では、結び目の解説を通じ、超弦理論(超ひも理論)がなぜ究極理論なのかに触れる。超弦の現れ方として、トーラスやメビウスの輪の性質を、実際に紙工作をしながら確認する。
第2章では、4次元を見るためにクラインの壺を取り上げる。クラインの壺は、3次元空間ではどうやっても自己接触するが、4次元空間では自己接触せずに実現できるという。
第3章では、「テッセラクト(tesseract)」「4次元キューブ(4-dimensional cube)」などと呼ばれる4次元立方体の展開図は、3次元立方体を組み合わせた形になる――これは3次元立方体の展開図から類推できることだ。
第4章では、宇宙の果てを考えるのに、傍聴する3次元球面 $ S^3 $ を持ち出す。これは、じつは中身が空の4次元立方体(先ほどのテッセラクト) $ \mathbb{R}^4 $ のなかで
$$ \{ (x, y, z, t)
第7章・8章では宇宙の形のまとめに入る。
宇宙の条件は、
+宇宙のどの点も、その点のまわりは、小さい3次元空間だ。
+どこまで行っても境界はない。
+有限の大きさを持つ。
無限に大きい3次元空間$ \mathbb{R}^3 $は3.を満たさないが、3次元球体は $ S^3 $ は3つの条件を満足する。3次元実射影空間$ \mathbb{R}^4 ^{P^3} $やポアンカレ・ホモロジー球面(ポアンカレ球面)も3つの条件を満たす。つまり、宇宙の形は1つに絞られているわけではない。
宇宙の大きさが有限だが境界はない――思い返してみれば、この宇宙モデルをすんなり受け入れられたのは、UFOブームの延長線上で、数学で立体図形を扱うよりも早くクラインの壺のような謎造型に出会っていたからだろう。最初に読んだトポロジー本は、たしかブルーバックスの『やさしいトポロジー』だったと思う。
4次元立方体が登場するSF作家ロバート・A・ハインラインの『歪んだ家』は私も読んだが、本書の説明を読んで、ようやくその仕組みが理解できた。『歪んだ家』は数学的にも決済であるのだ。
私は図形(幾何学)は苦手なのだが、代数は得意なので、3次元球面 $ S^3 $ を方程式で $ x^2 \ + \ y^2 \ + \ z^2 \ + \ w^2 \ = \ R^2 $ と書いてくれた方が助かる。2次元球面の方程式から容易に類推ができるからだ。第2章で唐突に登場する「3次元空間 $ \mathbb{R}^3 $
」の $ $\mathbb{R}$^3 $ は実数空間を表す数学の記号だ。これは分かりやすい。
波形やLLMをやっていると、次元数が11になっても12になっても、それほど驚かないのだが、ただ「宇宙の形」となると、実際の図形(モデル)として表現できないだけに、なんとももどしかしい。ただ、われわれが知覚しているのは、宇宙を切り取ったほんの一部であることは確かだろう。残りは想像で埋めるしかない。
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