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サーカスの象は、小さい頃に、頑丈な鎖でつながれる。子象は鎖をひっぱって逃げようとするが、まだ小さいので鎖は切れない。そのうち、逃げられないと観念して暴れるのをやめてしまう。 さて、この子象は年月がたつうちに大人になる。もう、つながれている鎖など簡単に切れるパワーを身につける。ところが、象は決して鎖を切って逃げようとはしない。象は、鎖が切れなかった経験はしているが、鎖を切った経験はしていない。「鎖は切れない」という観念が植え付けられているのである。 人間も、この象と同じだ。一度失敗したことを、「これは自分にはできないことなのだ」と思い込む。「苦手意識」を自分で植えつけてしまう。 しかし、考えてみて欲しい。人間も子象と同じで、日々成長しているのである。いつまでも「これはダメだ」と思っていたら、本当にいつまでもできるようにはならない。そこまでである。 しかし、何度でも挑戦すれば、少しずつでも状況は変わってくる。ダメだと思っていたことが、あまりにすんなり出来てびっくりすることもある。今までのコンプレックスが、突然、自信に変わることもあるはずだ。是非、こりずに挑戦して欲しい。 作家・北杜夫が、こんな話を書いている。まだ小説家としてデビューする前に自費出版した「幽霊」を、母が岩波書店に見せに行った。ところが、その編集者に、「優等生の作文で、どこといってとりえがない」と突き返された。母は、「もう小説なんか書くのはやめなさい」と忠告した。しかし諦めなかった。いい悪いという判断は、あとになってみなければ分からないという自負があったという。 結局、信じたとおり、この本は別の編集者の目にとまって評価を得た。そして小説家への道を歩み始めたのである。 今、うまくいかなくても、マイナスの結論を出す必要はない。できることをまずやって、できなかったことの評価は保留にしておこう。そのうちに、保留にしておいたことを、もう一度やってみよう。いい評価をたくさんためていけば、苦手なことに挑戦する勇気も湧いてくるであろう。
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