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ある女性が自分の恋について、こう話していた。つきあう人ができると、スペアの男性を必ずつくる。ふたまたをかけるのである。なぜなら、その人にふられた時がこわい。失恋のショックを和らげるクッションを用意しておくわけだ。 この話を聞いて、「なんたること」と思う人がいるかもしれない。しかし私は、案外、人間というのは、多かれ少なかれ、無意識にこういうことをやっているのではないかと思う。 失恋の不安は、誰にでもある。恋愛にかけるエネルギーというのは、相当に大きいものだ。そのエネルギーが行き場を失ったときは本当につらい。誰だって失恋なんかしたくないのだ。キープだのスペアだのと、いろいろなボーイフレンドをつくる女性が最近は多いようだが、きっと、本当に好きになって傷つくのがこわいのだろう。 その気持ちは分かるが、やはり自分のショックのクッションのために、他の男性をキープしておくのは賛成できない。その男性だって、モノではない。他の人間を自分の道具のように使う人は、いつか自分もそんなふうに使われても仕方がないのではないだろうか。自分がごまかしの恋をしていると分かっているのは結構だが、ごまかしはやはりごまかしなのだ。 他の男性をキープしたり、女性をふたまたかけるより、失恋したとき、あなたを慰め、クッションになってくれる同姓の友達はいないのだろうか。同姓の友達と酒でも飲んで失恋を癒そう。いい友達がいれば、それが精神的な支えになって、思いきって恋の相手にぶつかっていく勇気もわいてくるはずだ。 不幸のあとには必ず幸福がやってくる。幸福にひたりきっている人や、不幸にひたりきっている人には、そのことが分からない。いつまでもその幸福が続くと思っていたり、いつまでもその不幸が続くと思っている。 失恋をしたって、いつまでもその不幸が続くわけではない。きっとそのあとには素晴らしい恋がやってくる。大失恋をすれば、そのあとにはきっと、素晴らしい幸せが待っているに違いないのだ。 そう信じて欲しい。そう思えば、心のクッションになるだろう。 私は、職場恋愛から職場結婚したけど、最初はそんなに意識はしていなかった。第一、職場恋愛は苦手というか、皆に知れわたるのがイヤだったので、まさか本当にこうなるとは思いもよらなかった。自然と相談に乗ったりして何度か会っているうちに、気を使わなくて良いし、お互い逢っていても楽しかった。喧嘩もしたけど、長続きしないで、いつの間にか仲直りしていた。今となっては良い思い出になっているけど・・・。 でも、今の若い人たちの恋愛風潮には驚くことがある。複数のボーイフレンドを持つのは悪いことではない。ひとりだけの男性しか知らないより、男性を見る目も養われるだろう。 けれども、選択肢が多ければ多いほど幸せかというと、そうでもない。あまり選択肢が多いと、かえって自分が何を欲しいのか分からなくなってしまう。 そして、たったひとりの愛する男性を見つけられない淋しさから、次から次へと交際しているのではないだろうか。 それだけ現代は、強烈な孤独感が特徴の時代なのだろう。しかし、孤独感に負けて、適当な異性とつき合ってみても、決して癒されないのではないだろうか。 『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』を書いたキングスレイ・ウォードもこう言っている。 「今日の若者の結婚に対する姿勢は、一般に無造作すぎるように思われる。うまくいかなかったら、別れればいい」という言葉を聞くことがあまりにも多い。世の中には、ただ一度のチャンスをつかまえて結婚をものにしてしまう人びとがある。こうして始まる最高に幸福な結婚も少なくない。なぜか?そのような結びつきはたいてい、互いに思いやりがあるだけでなく、必ず成功させようという固い決意があるからだ」 もしもあなたが今、孤独なら、この言葉を思い出して欲しい。孤独感を適当なつきあいでごまかさずに、たっぷりとさみしさを味わったあとには、きっと、最高に幸福な恋が待っている。この恋を大切にしようという気持ちが生まれ、思いやりと固い決意を持って、その恋に向えるだろう。 チャンスが多いことは、必ずしもいい出会いにめぐりあう必要条件ではない。たったひとつのチャンスをつかまえればいいのだから。 選択肢が少ないあなたは、「あれもこれもいい」ではなく、本当に自分の欲しいものが分かる人だろう。きっと、ひとつの恋を大切に育てていけるはずだ。
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