Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2006/12/14
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カテゴリ: BAR
 神戸・三宮にあるそのビア・パブのドアを開けるまでは、不安が消えなかった。「ほんとに来ているんだろうか…」。ちょっとワクワクしながら、入り口に通じる階段を登った。そして、ドアを押し、真っ先にカウンターに座る人たちを見た。いた! 忘れもしない、あのロバさんの顔が…。ロバさんと再会

 17年ぶりの再会だった。少し太ったような感じだけれど、あまり変わっていおらず、元気そうな様子。「ロバさん、お久しぶりです。いつも店にお邪魔していた**です」。

 少し戸惑った表情を見せたロバさんだったが、「よく来てくれたね。元気?」と、相変わらず少したどたどしい日本語で歓迎してくれた。

 僕は心底、本当に嬉しかった。ロバさんとはもう一生会えないだろうと思っていたから( 写真左 =17年ぶりに再会したロバさんと僕)。

 出会いはもう20数年前になる。神戸で仕事をしていた頃、僕はBAR好きの友人に連れられて、元町界隈のいわゆる「外人BAR」によく出入りしていた。なかでも僕が一番お邪魔する回数が多かったのは、中華街の少しはずれにある 「サンシャイン」 というBARだった。

 「サンシャイン」はデンマーク人船員のたまり場だった。夜、店内にはいつもヒゲもじゃの船員たちが集い、アクアヴィットの杯を重ね、賭けダーツに興じていた。デンマーク語が飛び交う店内にいると、まるで日本にいるのを忘れるような空間だった。

 同じくデンマーク人のロバさんは、その「サンシャイン」のマスターだった。元デンマークの船会社の船員だったが、寄港した神戸が気に入って居着いてしまい、Bar Sunshine 写真右 =店の写真は1枚も持っていない。成田一徹氏の切り絵に描かれた「サンシャイン」が唯一、店内の様子を伝える)。

 だが、コンテナ船の荷の積み下ろしの機械化が飛躍的に進む中、80年代後半になると、朝入港し、夕刻には出港というのが当たり前になってきた。昔は岸壁で一晩船体を休める間に、船員たちは陸に上がり、お気に入りの酒場で航海の疲れを癒した。

 技術革新は船員たちの陸に上がる時間も奪ってしまった。そして、ミナト神戸の「外人BAR」からは、外国人船員たちもが急速に姿を消していった。当然の如く、「サンシャイン」は苦境に陥り、折しものバブル経済の過熱による地上げ攻勢もあって、1989年、ロバさんはやむなく店をたたんだ。

 この日僕は、「ほんとは、店をずっと続けたかったんでしょう?」と聞いた。ロバさんは「船が港に一晩とまってくれないから、(閉店は)仕方なかったよ…」と応えた。ロバさんは「いい時に店を売ったよ」とも言ったが、その表情は少しさびしそうだった。

 「デンマークに帰ろうとは考えなかったんですか?」と僕。「もう30年以上も神戸に住んでるし、ね。もうここ(神戸)の方がいいよ」とロバさん。Polo Dogこの日、ロバさんの本名も初めて聞いた。ロバート・ローセン(Robert Laursen)。デンマーク語だと「ラウルセン」とでも読むのかな?

 年齢もことし70歳だと知った(店を閉じた時は、まだ53歳の若さだったんだ!)。でも、70歳には見えないロバさんはいたって元気そう。このパブに毎週水曜日夕に訪れて、神戸在住のデンマーク人や昔の「外人BAR」の経営者仲間との旧交を温めているという。

 ロバさんがこのパブ( 写真左 )に毎週水曜に出没しているという「特ダネ」を僕に教えてくれたのは、あの 「チャーリー・ブラウン」 のマスター、キディ(故人)の奥さん、律子さんだった。律子さん、ロバさんとの素敵な再会を取り持ってくれて、ほんとに有難う!

 日本人客を取り込んで、今もしぶとく生き残っている「外人BAR」もある。「サンシャイン」は続いてほしかった酒場だったが、ロバさんは自分自身で、「ミナト神戸が華やかだった頃の象徴」の幕を引く決断をした。



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Last updated  2006/12/15 08:04:39 AM
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Re:17年ぶり、ロバさんとの嬉しい再会/12月14日(木)(12/14)  
B・G(^ ^) さん
チョッと寂しいお話ではありますが
素敵な再会をされましたね。

時代の流れに逆らえないのはわかりますが
便利になった分だけ大切な何かを失っているんですね。
それが残念です。
(2006/12/15 04:43:27 AM)

Re:17年ぶり、ロバさんとの嬉しい再会/12月14日(木)(12/14)  
素敵な笑顔ですね。うらんかんろさもきっと。
港近辺のBARは外人さんが滞在してる時に来る人が多かったでしょうね。水兵さんとか。
名残惜しい光景、ですね。 (2006/12/15 09:23:14 AM)

B・G(^^)さんへ  
 B・G(^ ^)さん、こんばんはー。

>チョッと寂しいお話ではありますが、素敵な再会をされましたね。時代の流れに逆らえないのはわかりますが、便利になった分だけ大切な何かを失っているんですね。それが残念です。

 再会はとても嬉しかったのですが、確かに、マスターのままで会いたかったです。港町の盛り場には、どこかミステリアスで、妖しげな部分が絶対必要だと思います。そういう部分を排除してただ、見かけだけが綺麗な盛り場になればいいというのは、悲しいです。できることなら、60~80年代の神戸にもう一度戻ってみたいです。 (2006/12/16 01:12:39 AM)

まつもとちあきさんへ  
 ちあきさん、こんばんはー。

>素敵な笑顔ですね。うらんかんろさもきっと。港近辺のBARは、外人さんが滞在してる時に来る人が多かったでしょうね。水兵さんとか。名残惜しい光景、ですね。

 僕も、見えないけど、とてもいい笑顔をしてますよ(笑)。

 「外人BAR」には外国人の客は多かったですが、ほとんどが船員とか船会社関係の人たちで、ふだんは意外と水兵とか軍人は見なかったですね(軍艦が入港したときは別なのでしょうが…)。外国人が集まる酒場は今も神戸にはありますが、ほとんどは(永住または長期・短期の)神戸在住の外国人で、船員のような「旅の人」が来ないのがさびしいです。

 たまに外国の大型豪華客船が入港しても、朝着いたら夕方出港してしまうし、だいいち豪華客船の客はお年寄り夫婦が多くて、BARなんぞには間違っても来ません。 (2006/12/16 01:20:43 AM)

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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
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