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2017/07/04
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 58.モヒート(Mojito)

【現代の標準的なレシピ】 【スタイル】 ビルド

 「モヒート」はキューバ発祥で、現代のバーでも超人気なカクテルの一つです。英国が新大陸でスペインと領土戦争を繰り広げていた16世紀、英海軍の手助けをしていたリチャード・ドレイクという海賊が、1586年、キューバに持ち込んだ「ドラケ(Draque)」という飲み物がその前身と伝わっています(出典:Wikipedia英語版&日本語版ほか多数)。

 カクテル研究家・石垣憲一氏の著書「カクテル ホントのうんちく話」(柴田書店、2008年刊)には、モヒートの元になったドリンクとして、キューバ人作家、ラモン・デ・パルマが1837~38年に著した小説に、現在のモヒートのレシピに近い「ドラケシート(Draquecito)」という飲み物が登場していることが紹介されています。

 しかし、厳密に言えば、この「ドラケシート」には決定的なものが欠けています。それは氷です。熱帯地方のキューバには天然氷はありません。米国東海岸北東部から天然氷が輸入され始めたのは1850年代で、その後19世紀後半、バカルディ社(1862年創業)が、「ドラケ」のべースとなっている酒、「アグアルディエンテ」(サトウキビ原料とした荒削りなスピリッツ)を、同社のラムに替えたレシピをPRして普及させましたが、氷はまだ貴重品なので、そうふんだんには使えなかったと思います。

 確実なところで言えば、1910年頃には首都ハバナのバーでは、モヒートは人気カクテルとして定着していたことが、同時代のバーテンダーの証言で確認されています(出典:上記・石垣氏の著書)が、この時期どの程度氷が自由に使えたのかはよくわかりません。バーの現場で氷があまり不自由なく使えるようにようになるのは、欧米はもちろん、キューバでも1920年代以降で、現代のスタイルに近いモヒートが飲まれるようになるのもこの頃からです。

 「モヒート」が最も早く活字として確認できるのは、カクテル史に詳しい米国のバーテンダー、ジム・ミーハン氏によれば、1929年にキューバで発行されたバー・ガイド「Libro de Ccocktail」で、「ラム・モホ(Rum Mojo)」の名で登場します。また、1930年にスペインで出版されたカクテルブック「La Ley Mojada, Sucesores de Rivadeneyra, SA」(Pedro Chicote著)には「モヒート・クリオーリョ(Mojito Criollo)」という名前で紹介されています(出典:バカルディ・ジャパン社のHP)。
 さらに、その翌年の1931年に出た「Cuban Cookery」というカクテルブックにも、「キューバン・モホ(Cuban Mojo)」という名前で収録されています(出典:「BAR-TIMES」HPの特集「カクテル・ルネッサンス:モヒート」)。「ラム・モホ」以外の2つのレシピは以下の通りです。

・Mojito Criollo:氷を入れた大きめのグラスに、バカルイディ・ラム1Glass、レモン・ジュース1tsp、粉砂糖1tsp、レモンの皮1枚、ペパーミント(イエルナブエナ)数本を入れて、ソーダ水で満たす。
・Cuban Mojo:氷数個を入れたミディアム・サイズのグラスに、バカルディ・ラム1jigger、ライム・ジュース&ライムの皮、シュガー1tsp、生ミントを入れて、ソーダ水で満たす。
 ※いずれのレシピも、ラムは「バカルディ」を指定しており、「モヒート」の世界的な普及にバカルディ社と同社のラムの存在が大きかったことが伺えます。

 ちなみに、「Mojito(モヒート)」というカクテル名は、「濡らす・浸す」という意味のスペイン語の動詞「Mojar(モハール)」に由来するというのが多数説です。「Mojar」から派生して生まれた「Moje(モヘ)=ジュースの意」、「Mojo(モホ)=ソースの意」という言葉の語尾に「-ito」が付いて誕生した言葉という説がほぼ定着しています(従って「Mojito」は、元々「ちょっとしたジュース」「のどを潤すもの」というような飲物を意味したようです)。ちゅうキューバでは「Mojito」の名で定着するまでは「Mojo」や「Mojecito」という言い方も使われていたそうです。

 なお「少数説」として、アフリカのブードゥ教の言葉で「軽い魔法をかける、虜にする」という意味の「Mojo」という言葉に由来するという説を紹介しているHP(出典:日本ドリンク協会公式ブログ)もありましたが、裏付け資料は明示されておらず、信憑性は現時点では判断不能です。 

 ご参考までに、キューバのハバナで1935年に出版されたカクテルブック「Bar Florida Cocktails」と、同じ年に米国で出版された「The Waldorf-Astoria Bar Book」ではモヒートがどのように紹介されているか紹介しておきましょう。

・Bar Florida Cocktails:8オンスのグラスにクラッシュド・アイス、バカルディ・ラム2オンス、シュガー1tsp、レモン・ジュース、生ミントの枝数本、レモン・ジュースを入れ、よくかき混ぜる。最後にソーダ水を入れる。
 (※「Mojito」という名ではなく「Mojito Criollo」との名で登場します。ライムではなく、レモンを使っているところが興味深いところです。なお同著ではジン・ベースのモヒートも併せて紹介しています)。

・The Waldorf-Astoria Bar Book:ハイボール・グラスに角氷を2個入れる。バカルディ・ラム1ジガー、ライム・ジュース(半個分)、シュガー少々、生ミントの枝数本、ソーダ水(作り方についての言及はなし)。

 「モヒート」はその後、フロリダ経由で米国へも伝わり、米国内で急速に人気を高めていきました(なおバカルディ社は、キューバ革命(1953~59年)の影響で撤退したため、現在のキューバでは、ベースのラムには「ハバナ・クラブ」が使われることが多いということです)。

 このドリンクが、いつ頃から「モヒート」と呼ばれるようになったのかは、まだよく分かっていませんが、上記の「Bar Florida Cocktails」の出版年から考えても、少なくとも1920年代後半~30年代前半までには、「モヒート」カクテルがある程度認知されていたことは間違いないでしょう。なお、英米ではかつて「モジート」と英米語式発音で呼ぶ人がほとんどでしたが、今日では、スペイン語読みで「モヒート」と正しく発音する人も少なからずいます。

 「モヒート」は国内外の文献で、「フローズン・ダイキリとともに、かの文豪ヘミングウェイがこよなく愛して、(1940~50年代の)ハバナ在住時によく飲んだ酒」とよく紹介されています。しかし、併せてよく紹介される彼の有名な言葉「我がモヒートはラ・ボデギータで」については、彼自身の言葉ではないという指摘もあります。さらに、このバー「ボデギータ・デル・メディオ」に、ヘミングウェイが本当に足を踏み入れたのかどうかもについて疑う声もあるとのことです(出典:上記・石垣氏の著書)。

 ヘミングウェイ伝説の真偽はともかく、この「バー・ボデギータ」は現在もハバナでの人気の観光スポットにもなっていて、モヒートはこの店の人気ナンバー1カクテルとなっています。実際に訪れた人の話によれば、モヒートの注文がやたら多いこともあって、ベルトコンベア式に次々と作られるため、“元祖モヒート”の味わいは結構大ざっぱだったということです。

 「モヒート」は日本には戦後の1950年代に伝わったと思われますが、バーの現場でよく知られるようになるにはその後、かなり時間がかかりました。カクテルブックで紹介されたのは60年代に入ってからです。そしてバーの現場で人気が出るようになったのは、(私の記憶からしても)ごく最近で、1980年代後半か1990年代以降だと思っています。

 日本では昨今、モヒートづくりの技術が世界でも一、二を争うレベルと言われ、新世代のバーテンダーの中では、ベースの酒や材料をあれこれ替えたバリエーションづくりがとても盛んになっています。

【確認できる日本初出資料】 「カクテール全書」(木村与三男著、1962年刊)。そのレシピは「プエルトリカン・ラム30ml、ライム・ジュース4分の1個分、シュガー1tsp、ミントの葉2~3枚、クラッシュド・アイス」となっており、ソーダは使わないレシピです。
 なお、同著では「Bar Florida Cocktails」が収録していた「モヒート・クリオロ(Mojito Criollo)」も収録しています。そのレシピは「バカルディ・ラム60ml、レモン・ジュース2分の1個分、シュガー1tsp、ミントの葉5~6枚、ソーダ水、クラッシュド・アイス」と、紹介しています。

 ※この「モヒート」の項については、石垣憲一氏の著書(書名は本文中に)に大変お世話になりました。この場をかりて厚く御礼申し上げます。



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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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